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1859年に出版された、ダーウィンの『種の起源』。
160年以上が経ったいまも不朽の名著として知られていますが、その主たる内容である「生物は、生存競争と自然淘汰の中で徐々に変化していく」というダーウィンの考え方(進化論)は、表層だけをとらえて「弱肉強食の理論」「優生思想」と誤解されることもしばしばです。
しかしダーウィンは、その価値観においては人種差別・奴隷制度の反対論者で、すべての生き物は平等で、多様性があるからこそ素晴らしいと考えていました。また「競争」や「淘汰」を肯定していたわけではなく、それはあくまで生物の科学的法則をさぐるうえでのことであり、弱者を排除しようとも考えていませんでした。
8月25日(火)に発売される『ダーウィン 種の起源 未来へつづく進化論』は、「進化とは何か」を知るとともに、これらの誤解を解くことに主眼を置いた本。
進化生物学者の長谷川眞理子さんが、『種の起源』とはどんな内容で、ダーウィンはどのように考えて進化論を組み立てたのか、そして現在の進化生物学がどのような状況になっているのかを解説。最後に収録された〈特別章〉では、現在の生物進化に対する理解と、ダーウィンの理解において、特に大きなギャップが見られる話題を取り上げています。
本書「はじめに」より
歴史のなかに散らばるさまざまな現象をジグソーパズルのように複雑に組み合わせながら「生命がいかなる道筋を経て、今に至るのか?」を探っていくのが生物学です。そうした壮大なパズル全体の完成予想図を、完璧ではないにせよ、私たちに最初に示してくれたのが、ダーウィンの著書『種の起源』なのです。しかしこの本は、ダーウィンが自分の理論を証明するために、可能な限り数多くの事例を挙げて説明を試みていることから、冗長でまわりくどい文章になり、生物学に馴染みのない人にとっては読みにくく感じるかもしれません。また当時は、遺伝子の仕組みなどについては解明されていなかったため、間違った記述も少なからず見受けられます。そのためでしょうか、今ではダーウィンの著書を実際に読んだ人はあまり多くないと思います。
(中略)ダーウィンによる進化論は決して過去の理論などではありません。本のなかにちりばめられた疑問のなかには、未だ解き明かされていないものも多く、想像力が刺激されます。さらには、ダーウィンが仮説を立ててそれをさまざまなデータから証明していくくだりには、推理小説を読むような面白さがあります。それをみなさんに少しでも伝えることができましたら、ダーウィンの研究者として、またダーウィンのファンの一人として、これほどうれしいことはありません。
【本書の構成】
はじめに 生き物の多様性こそすばらしい
第1章 「種」とは何か?
第2章 進化の原動力を解き明かす
第3章 「不都合な真実」から眼をそらさない
第4章 進化論の「今」と「未来」
ブックス特別章 『種の起源』が開いた扉
読書案内
あとがき