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7月30日、『思考の整理学』でも知られる外山滋比古さんが、胆管がんのため96歳で亡くなりました。
外山さんはお茶の水女子大学名誉教授で、英文学者、評論家。『思考の整理学』は1983年に刊行、1986年に文庫化されて以来、30年以上経った今も読み継がれ、累計で124刷・発行部数253万3,400部の大ベストセラーとなっています。
同書は、毎年の大学生協書籍ランキングにも必ず名を連ねる“大学生定番の必読書”。現在も年間平均約10万部の重版が出続けており、300冊以上ある外山さんの著書のなかでもとりわけ支持されている、代表作といえる一冊です。
その内容は、「自らの体験に則し、独自の思考のエッセンスを明快に開陳する、恰好の入門書」とした学術エッセイ。表紙をめくってみると「これからの時代で必要とされるのは、自力で飛び回れる飛行機人間である」とあり、知識偏重型の勉強ではなく、エンジンを積んで自らの頭で考え、自力で飛び回ることの重要性を、1980年代にいち早く提言していました。
2007年時点で16万部のロングセラーではありましたが、2007年にさわや書店(岩手県盛岡市)で当時店員だった松本大介さんによる「もっと若いときに読んでいれば…」という店頭POPがきっかけで再び注目を集め、翌年には東京大学(本郷書籍部)・京都大学生協の書籍販売ランキングで第1位を獲得。「東大・京大で1番読まれた本」のフレーズでさらに売上を伸ばし、2009年には累計発行部数100万部を突破、2016年には200万部を突破し、現在まで読者を増やし続けることとなりました。
なお2008年以来、東大(本郷書籍部)・京大生協では変わらぬペースで売れ続けており、2019年までの12年間でそれぞれ7度、年間文庫ランキング第1位を獲得しています。また2018年には、甲子園を制覇した大阪桐蔭高等学校の根尾昴選手(現・中日ドラゴンズ)の愛読書として紹介され、こちらも大きな話題になりました。
「知識を詰め込むだけでは“考える力”は養われない」。この考えは浸透してはいるものの、現代においても重要なテーマであり、外山さんのこの洞察にはまだまだ痛感させられる読者が多いのではないでしょうか。
なお『思考の整理学』は、8月27日出荷分より、追悼帯巻きの文庫版が順次書店店頭に並ぶ予定です。
・『思考の整理学』著者・外山滋比古に学ぶ、考えの“伝え方” 『伝達の整理学』