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1.人間のからだには、「自然免疫機構」と「獲得免疫機構」という2種類の免疫のしくみが備わっている。それでも体内に侵入してくる病原体による感染を防ぐため、免疫系を刺激するのがワクチンだ。
2.科学的な免疫力増強法は、ワクチン接種だ。ワクチンは、インフルエンザや子宮頸がんなど、引き起こされる感染症ごとに異なるものを接種する必要がある。
3.血管系やリンパ系における細胞の往来をすみやかにすれば、免疫力が高まる。
2020年4月時点において、新型コロナウイルスの感染が世界を震撼させている。世界規模のパンデミックは、私たちの生活に深刻な被害を与え、混乱を引き起こしている。それにしても、なぜこれほどまでに新型コロナウイルス感染症が広がったのか。そしてどんな対策が有効なのか。情報が溢れすぎていて、何を信じてよいのかわからないという読者も多いのではないだろうか。
本書は、新型コロナウイルスの蔓延が広がる前に、免疫学者の著者が感染予防のために「私たちができること」について記した書籍である。からだがもつ免疫のしくみ、ウイルス感染のメカニズム、さらにはがん免疫療法といった最新の免疫療法の可能性と限界について、科学的なエビデンスをもとにわかりやすく解説されている。一読すると、免疫のしくみやワクチンの有効性に対する理解が深まることだろう。
本書を執筆した背景には、近年増加しつつある免疫力増強を謳う健康食品やワクチン不要説への懸念があるようだ。それらの多くは科学的なエビデンスに欠けていることが多い。私たちも正しい知識を持って、誤った治療法を選択しないようにしなければならない。
新型コロナウイルス感染症が蔓延し、その予防や治療のための策が試行錯誤されている現在だからこそ、免疫に関する正しい知識と、科学的なエビデンスのある情報を見極める眼が求められているのだ。免疫学の第一人者による「知識のワクチン」が世に広まることを願ってやまない。