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1. 他人を許せない「正義中毒」には、誰もが陥る可能性がある。人間は脳の構造上、自分の属している集団以外を受け入れられず、攻撃しやすい傾向にある。
2.社会全体で「正義中毒」の方向へと突き進むと、多様性を狭めてしまうことになり、非常に危険だ。
3.正義中毒から自分を解放させるには、普段から前頭前野を鍛え、メタ認知の力を身につけることが重要となる。
インターネットが普及した今、世の中の出来事を知るのは非常に簡単になった。それは裏を返せば、良いことも悪いことも、瞬く間に広がってしまうということでもある。特に芸能人の不祥事、スキャンダルなどは格好のネタとなる。
そんなときに必ず起こるのがSNSなどでの「炎上」である。問題の当事者でもないのに、行き過ぎたコメントもあるわけである。彼らの指摘は間違ってはいない。だが、それをわざわざ全世界の人々が見られる場で、そんな攻撃的な言葉で叩く必要があるのか。
脳科学者としても著者としても活躍する著者・中野信子氏は、そのような状態を「正義中毒」と呼んでいる。この言葉を目にしたとき、軽い衝撃を受けたと同時に腑に落ちたように感じた。「そうか、あれは中毒状態なのか!」と。
怖いのは、誰しもがその状態に陥る可能性があるということだ。他人に「正義の制裁」を加えると、脳の快楽中枢が刺激され、快楽物質のドーパミンが放出される。すると、罰する対象をさらに探し始めるようになってしまう。本書を読むと、それが他人事ではないと身をもって感じられる。こうした負の状況から距離をとるために、できることは何なのか? 「許せない」と思ってしまう人間の脳の仕組み、穏やかに生きるために著者が推奨する脳のトレーニング方法など、知っておきたい内容ばかりだ。「正義中毒」への処方箋として、モヤモヤや生きづらさを感じている方に本書をおすすめしたい。