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1.開業準備としてやるべきことはたくさんあるが、思い立ったらすぐ始められることは、事業計画書をつくることだ。事業計画書を周りの人にも見せることで、考えを練り上げることもできる。
2.本屋の日常はルーティンワークが中心だ。その中で反応の良かった本を見つけて、大事に売っていく。地道に信用を積み重ね、店のファンを増やしていくということは、小さな本屋が安定する一番の近道である。
3.本はどこで買っても同じとはよく言われるが、「実はどこで買っても同じではない」と著者は訴える。本の価値を「場」の力で引き立てれば、その本は買った店とともに記憶に残る一冊となる。
「起業」と聞くと、ITを駆使して社会を変える、成長産業の分野でベンチャー企業をつくるといったような、最新技術や画期的なアイデアで成長性の高いビジネスをイメージされる方も多いだろう。
一方で、自分が居心地のよいと思えるような小さなお店を持ちたいという夢を密かに抱いている人も多いのではないだろうか。そのような個人経営の新刊書店を開業した実録が本書である。
著者は、大手書店チェーンリブロ池袋本店マネージャーを経て、東京・荻窪に2016年1月、新刊書店Titleを開業した。「小さな本屋」のブームを起こした一人である。本書では、物件探し、店舗デザイン、カフェのメニューづくりから、イベントやウェブ、そして「棚づくり」の方針までが詳細に語られる。さらに巻末には事業計画書や開店後の売上利益の表も収録されている。つまり、小さなお店を持ちたい人にとっては、ひとつのお手本とすることができる情報が満載なのである。
と同時に、新刊書店は今の時代では困難だと言われるのになぜやるのか、店を通してどんなことを実現したいのか、という著者の考えも多く記されている。それらは、改めて自分の仕事の価値を見つめ直したり、人生を賭けてやるべき「天職」について考えたりしようとする読者にとって、大いに参考になるだろう。
全編を通して感じられる、神聖ともいえるような著者の本への想いを、じっくりと味わっていただきたい。
・『本屋、はじめました』 Title店主・辻山さんによる“本屋をはじめるための参考書”
・本屋「Title」店主・辻山良雄さんが懐かしく思い起こす「通り過ぎてきた書店たち」