'); }else{ document.write(''); } //-->
1. 現在、不確実性の高い環境変化を読み解いた上で、確実性の高い結論を生み出す「推論力」が求められている。この推論力は、ビジネスにおける中核能力となるため、希少価値となりえる。
2.帰納法は、事実から共通点を見出し、結論を導き出す方法である。演繹法は、前提に物事を当てはめ結論を導き出す方法だ。そして、アブダクションは、起こった現象に対して法則を当てはめ仮説を導き出す方法である。
3.これら3つの推論法の合わせ技によって、新たな法則、仮説を発見し、未来を予測できるようになる。
「帰納法」や「演繹法」といえば、哲学や論理学の授業で聞き覚えがあるものの、具体的にはどのように使えば良いのかわからないという人も多いのではないだろうか。哲学や論理学の文脈では、抽象的な方法論として扱われるので、具体的にどんな場面でこれらの方法が役立つのか、なかなかイメージしづらいところもあるだろう。だが、いわゆる「頭の良い人」は、推論の習慣を自然に身につけ、実践している。その思考法を誰でも身につけられる方法論に置き換えたのが、著者が紹介する「推論法」である。
注目したいのは、帰納法と演繹法に加えて、プラグマティズムの哲学における仮説的思考法である「アブダクション」についても説明されている点だ。いずれも豊富な具体例を示しながら、どのようにビジネスに活かせばよいのか、活用の手順が実にわかりやすく解説されている。しかも、3つの推論法を組み合わせた合わせ技の活用方法まで示されている点は独創的といえるだろう。
AIの普及により、これから多くの職種が淘汰されていく見込みだ。これまで重宝された、大量の知識を覚え、決められた手順を効率的に行なう能力は、これからの時代にはあまり役に立たなくなるかもしれない。しかし、著者が提唱するような、自らの頭で推論し、問題解決に活かしていく力は、古びることがない。いつの時代も、新しい価値を創造するうえで欠かせない武器になってくれるのではないだろうか。