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1.イノベーションは、既存のものを再現性高く生産し続ける「生産する組織」ではなく、想いやビジョンを持って集まった人々が有機的に結びつく「創造する組織」で生まれる。
2.新しいものを生み出すには、「人」「場」「意志」「創造」の4つが必要である。フラットな仲間が集まる場に、ビジョンやミッションなどの意志が付与され、外部と共創することで創造が行われていく。
3.「創造する組織」では、市場分析からの戦略ではなく、人の意志により方向性を決める。「生産する組織」で不要とされてきた、働く人ひとりひとりの主観が重要になるのだ。
「妄想」という言葉には、なんだかよからぬことのような感じがして身構えてしまう、そんな響きがあるかもしれない。だが本書でいう「妄想」とは、「こんなことができたらいいな」とか「こんな世の中になったらいいな」という「希望」のようなものだ。働く人ならば誰しも、大なり小なりこのような「妄想」を抱いて、日々を過ごしているのではないだろうか。
しかし旧来的な企業だと、そうした妄想を実現させるのは難しい。それどころか「個人の主観は排除するべき」という風潮すらあるように思われる。著者は実現されない「妄想」を「モヤモヤ」と表現し、多くの企業人が抱えていると指摘する。
だがいま潮目が変わりつつあるのも確かだ。情報革命によるインフラが社会全体に波及する中で、既存のものを再現性高く生産し続けるトップダウン式の「生産する組織」は限界を迎えつつある。著者はいまこそ意志を持った仲間が有機的につながり、ボトムアップ式の「創造する組織」へ転換するべきだと主張する。
本書は企業内でイノベーションを起こす方法について、著者が行なった大企業での変革を実例に解説している。既存事業を進めながら新規事業を立ち上げる難しさについて言及しつつ、「起業」「独立」とは違うかたちでイノベーションを起こすことのインパクトが語られており、企業にいる者にとってはとても勇気づけられるはずだ。
日々「モヤモヤ」を抱えるビジネスパーソンにとって、「妄想」を形にするための道しるべとなる一冊である。