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1. IT革命がもたらす変化の大きさは、産業革命の比ではない。テクノロジーだけでなく、社会制度や価値観も劇的に変わる可能性がある。
2.21世紀において、安定性は高嶺の花だ。これから最も重要になるのは、変化に対処し、新しいことを学び、馴染みのない状況下でも心の安定を保つ能力である。
3.人間は人生を物語のように捉えたがるが、あらゆる物語は間違っている。もしこの世界の意味や自分自身について知りたければ、自分の苦しみに目を向け、その正体を明らかにしたほうがいい。
『サピエンス全史』で人類の「これまで」を、『ホモ・デウス』で人類の「これから」を描いたユヴァル・ノア・ハラリ氏。それぞれ全世界で1200万部、600万部と驚異的な売上を誇ったのは、この大いなる物語なき時代に、ハラリ氏が確かな視点を提示してくれたからだろう。
第3作目となる本書『21 Lessons』では、ついに人類の「いま」が主題となる。大まかな全体の流れとしては、まずテクノロジーの発展が私たちの社会制度やイデオロギーに与える影響についての考察があり、それを踏まえたうえで、今後私たちはどうあるべきなのかが検討される。
本書に登場する21の論点は、「自由」や「平等」のような政治思想から、「雇用」や「ポスト・トゥルース」といった社会問題、「謙虚さ」や「意味」などの哲学的議論まで、じつにさまざまだ。だが「それなりの明確さを提供するように努め」と文中で述べられているとおり、どれも明快かつ興味深い内容となっている。
私たちホモ・サピエンスという生き物は、物語(=虚構)を生み出すところに最大の特徴がある。その能力はこれまでさまざまな希望を生み出すとともに、多くの絶望を撒き散らしてきた。なにが虚構を「真実」のごとく映し出し、私たちを惑わせるのか。そして虚構に飲み込まれないようにするためにはどうするべきなのか。
どの物語も信じられなくなったとき、それでもなお立ち返るべき場所があることを、本書は私たちに思い出させてくれる。21世紀のいまだからこそ読むべき快作である。