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デザイン書・ビジュアル書を中心に、世界のさまざまなデザイン・アート・文化を紹介してきたパイ インターナショナル。同社から2018年8月に発売された『おむつのなか、みせてみせて!』が現在7万5千部と、快調に版を重ねています。
『おむつのなか、みせてみせて!』は、ベルギーの人気作家ヒド・ファン・ヘネヒテンさんによるしかけ絵本で、世界20か国以上で読まれているロングセラー。
知りたがりのネズミくんが、次々と友だちのおむつをめくっていくと、それぞれの動物ならではのうんちが出てくる……という子どもの大好きな要素に加え、意外なオチで「トイレトレーニング」にもつながる絵本です。
そんな本書について、パイ インターナショナル代表取締役の三芳寛要さん、編集部の吉村真樹さん、営業部の近藤吉之さんにお話を伺いました。
(左から)
パイ インターナショナル 編集部 吉村真樹さん
同 代表取締役 三芳寛要さん
同 営業部 近藤吉之さん
――本書はどういうきっかけで出版されたのですか。
三芳 これまでも、同じ著者の作品を含め翻訳絵本を出版してきたのですが、なかなか実績があがらず、「洋書は売れない」という定説が社内にできてしまいました。
でもヘネヒテンさんの絵柄はすごく可愛らしいので、なんとか売り出せないかとフランクフルト・ブックフェアで原書の出版社に相談したところ、世界でロングセラーになっている本として紹介されたのが本書でした。英語版を読んでみると、単純におもしろかったんですね。
僕には娘がいるんですが、絵本を見るときにはその子に読み聞かせをする場面を想像しています。好奇心旺盛なねずみくんのセリフは、読み手がアドリブを効かせながら読むことができるなということと、受け取る側の子どもの笑顔が想像できたので、いいなと思いました。 ▲主人公は好奇心旺盛なねずみくん。ヒド・ファン・ヘネヒテンさんはカラフルなかわいいイラストで人気の絵本作家
――それで版権を獲得されたのですね。
三芳 ただ、社内にはさきほどお話ししたような消極的な空気もあったので、誰もいいと言ってくれなかったら諦めるしかない。そこで吉村が手を挙げてくれたので、出版することに決めました。
吉村 この企画が出た当時、私も2歳の子どもを育てていたので、うんちというテーマは絶対に子どもが好きだなという確信がありました。お母さんたちにとってトイレトレーニングは悩みの種という声も聞いていましたので、これは“トイトレ”そのものの本ではないですけれど、そのきっかけ作りにもなる本だと思いました。
そこで、「トイレトレーニングのはじめの一歩に」「世界20か国以上でベストセラー」「おむつをめくるしかけがたのしい」という3つのセールスポイントを表紙カバーで打ち出しています。
刊行してすぐに子どもに読んで聞かせたのですが、衝撃的でもあったみたいで(笑)。「うしくんのうんちは緑色で草が生えているみたいだね」「みんなうんちの数や形はちがうんだ」と親子で会話しながら読み進めることができると思います。▲しかけをめくると、うさぎ、やぎ、こいぬ、うし、うま、こぶたとその動物ならではのうんちが登場
――私はラストにかなりの衝撃を受けました(笑)。
三芳 「おむつのなか、みせて」「いいよ」と友だちはみんなニコニコしながら見せてくれますが、ねずみくんが「きみのおむつのなかをみせてよ」といわれると中はからっぽ。その理由が明かされて、「これはそういう絵本だったのか!」と僕もかなりの衝撃を受けました。
「うんちが生々しい」というご意見もあるのですが、ラストはぜひ大人の方にも手に取って見ていただきたいですね。
――ほかにはどのような感想が届いていますか?
近藤 読者ハガキでは、最初に想定した通り「何度も読んでと言われる」「うんちが大好きだし、この本がきっかけでトイレに行くようになった」という声が届いています。
三芳 この絵本を出版して気付いたのは、この本は子どもを喜ばせる、エンターテインメントから入っているということ。説教がましくないけれど、最後は「トイレに行くのはポジティブなことだ」と教えています。そういう「実用性を兼ねたエンターテインメント性」が、この絵本のいいところだと思っています。
絵本はまず楽しいかどうかが重要で、子どももそれを望んでいます。原書の出版社には、引き続き「エンタメの皮をかぶった実用的な絵本を紹介してほしい」と伝えています。今回『おむつのなか、みせてみせて!』がヒットしたことで、「それならこれもどうか」と紹介されたのが、今年の6月に発売された『だーれだ?』になります。
近藤 こちらは『おむつのなか、みせてみせて!』を上回るスピードで売れており、発売4か月で3万7千部を突破しました。
吉村 『だーれだ?』は、同じようにしかけで親子のコミュニケーションが図れるのと、しかけを開く前には想像もつかないものが出てくるおもしろさが魅力です。▲しかけをひらくと、最初のいきものが思わぬ姿に変身!
――『だーれだ?』は0~2歳向けとのことですが、英文が付いているのもポイントですね。
吉村 小学校でも英語が教科となりますので、子どもたちが英語を学びだした時に、もう1回この絵本を開いて楽しんでもらえたらいいなと思って、英語版の原文を残しています。読者アンケートでも、英語が載っていることで、もうちょっと大きくなった時にもまたこの絵本が使えると好評をいただいています。
――これからのプレゼントシーズンにもぴったりですね。
近藤 特に『おむつのなか、みせてみせて!』については、トイレトレーニングは春先から夏のイメージがあったのですが、昨年夏の発売以降、冬もギフトなどでまったく動きが落ちませんでした。
三芳 子どもにとって、絵本は読み手の大人が楽しく読んでくれることがうれしいコミュニケーションツールでもありますし、大人も子どもの喜ぶ顔が見たいですよね。この2冊は、そんなときにぴったりの絵本としておすすめです。