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    原ゆたかさん・原京子さんインタビュー:“夫婦”で作った「かいけつゾロリ」スピンオフ

    2019年12月28日
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    日販 ほんのひきだし編集部 浅野
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    1987年に始まって、2017年に30周年を迎えた「かいけつゾロリ」。2020年春には、実に13年ぶりとなるTVアニメ新シリーズの放送も始まります。

    そんな「かいけつゾロリ」に、イシシ・ノシシがゾロリと出会う前のことを描いたスピンオフシリーズがあるのをご存じでしょうか?

    その名も「イシシとノシシのスッポコペッポコへんてこ話」。実はこのお話、「かいけつゾロリ」の作者・原ゆたかさんと、絵本作家である原京子さんがご夫婦で作っているのです。

    今回は10月に第3弾『百桃太郎』が刊行されたのを記念して、お二人にお話を伺います。

    文・原京子(はら きょうこ)
    東京都に生まれる。和光大学芸術学科卒業。1978年、KFSコンテスト・講談社児童図書部門賞受賞。作品に「くまのベアールとちいさなタタン」シリーズ『サンタクロース一年生』『もりのゆうびんポスト』『もりのともだち、ひみつのともだち』(以上ポプラ社)、「ザックのふしぎたいけんノート」シリーズ(メディアファクトリー)、「にんじゃざむらい ガムチョコバナナ」シリーズ(KADOKAWA)など。絵本の作品に『もりのおやくそく』『もりのみんなのたんじょうび』『おやすみなさいのプレゼント』『みつごのうさぎ プリン・タルト・トルテのきょうはたんじょうび』『はるにあえたよ』(以上ポプラ社)など多数ある。

    絵・原ゆたか(はら ゆたか)
    1953年、熊本県に生まれる。1974年、KFSコンテスト・講談社児童図書部門賞受賞。作品に『ちいさなもり』(フレーベル館)、「かいけつゾロリ」シリーズ、「ほうれんそうマン」シリーズ、『サンタクロース一年生』『おばけがっこうのユータくん』、「魔法のおみやげ」シリーズ (以上ポプラ社)、「プカプカチョコレー島」シリーズ(あかね書房)、「よわむしおばけ」シリーズ(理論社)、「モグルはかせ」シリーズ(偕成社)、「ザックのふしぎたいけんノート」シリーズ(メディアファクトリー)、「にんじゃざむらい ガムチョコバナナ」シリーズ(KADOKAWA)など多数ある。

     

    原ゆたかさんは“プロの小学生”、では原京子さんは……?

    ―― ご夫婦揃ってお話を聞けることはなかなかないので、貴重な機会をいただけてうれしいです。原ゆたかさんは日頃から「プロの小学生でありたい」とお話しされていますが、京子さんはどんなお子さんだったのですか?

    京子: わりと地味な子だったかもしれないです。本を読むことと絵を描くことが好きで、よく漫画のキャラクターを真似して描いていました。それから母が洋裁が得意で、私の服をいろいろ作ってくれていたので、スタイルブックを見ながら「この布でこういう服を作ってほしいな」と考えるのも好きでした。だから小さい頃は、ファッションデザイナーになりたかったんです。小学校のときは自作のスタイルブックを何冊も持っていて、洋服だけじゃなくて、アクセサリーなどもあれこれ描いていました。考えるのは好きだったけど作るのが苦手だったので、結局デザイナーにはなれなかったんですけどね。

    ゆたか: でも「かいけつゾロリ」に出てくる女の子のキャラクターの服は、ほとんど彼女が考えてくれています。

    ―― 京子さんも原ゆたかさんと同じく、もともとは絵描きさんなんですよね。

    京子: そうです。「絵本を作るなら、自分でお話も絵もかいたほうが世界が広がるな」と思って始めたんですけど、元ポプラ社社長に「文章がいいからお話を頑張りなさい」と言っていただいて、それがきっかけでお話を書くようになったんです。

    ゆたか: ゾロリのお話も、いつも「こういう言葉のほうがわかりやすいよ」とチェックしてもらっています。

    京子: でも実は私、子どもの頃は、作文はおろか日記を書くのも嫌いだったんですよ。それが文章を書くようになって、母にはよくからかわれます(笑)。

     

    イシシ・ノシシがゾロリに出会うまでの物語

    ―― 今回発売された『百桃太郎(ももももたろう)』でも、京子さんが文章を担当していらっしゃいます。『百桃太郎』は、「イシシとノシシのスッポコペッポコへんてこ話」シリーズの第3弾。『へいきのヘイタ』『オーボラーラ男爵の大冒険』に続き、オオカミの山賊に捕まってしまったイシシとノシシが何とか生き延びようと繰り出すのが、『百桃太郎』というヘンテコなお話です。

    あらすじ
    森に迷い込んだイシシとノシシは、森の奥で見つけた家でトイレを借り、冷えた体を温めるため家にあった腹巻きをもらっていくことにする。しかしその腹巻きは、オオカミの山賊・ウルウルが大切にしている父の形見だった! 怒ったウルウルは、イシシとノシシを食べてしまおうとするが……

    生き延びるために物語をでっちあげ、5日目までは『へいきのヘイタ』、6日目から11日目までは『オーボラーラ男爵の大冒険』の話を聞かせたイシシとノシシ。
    さて、12日目から始まった“ももももたろう”のお話とは……?

    ―― まずは、この「へんてこ話」シリーズが生まれたきっかけを教えてください。

    京子: 確か最初は「落語シリーズにしてもいいね」って話していたんじゃなかった? 原ゆたかさんが「落語を子どもにとってわかりやすく面白いお話として書きたい」と、シリーズとして作ることが決まる前から、1作目『へいきのヘイタ』の原稿を書いていたんです。それを、本にするにあたってページ数が合うように、文章を広げたり、少し書き変えたりさせてもらいました。特に、お話のつなぎに入るイシシ・ノシシとウルウルの会話が、毎回書いていて楽しいです。

    ゆたか:「落語や昔話を、今風でもっとめちゃくちゃなお話にできないかな」という構想でざっと書いたものを、京子さんに「ちょっとまとめてみて」って渡したんだったね。「イシシとノシシのスッポコペッポコへんてこ話」は、「かいけつゾロリ」をもう読んでしまった子たち、ゾロリ読者より少し上の小学校高学年の子どものための読み物にしたいなと思いました。ゾロリに出会ったことで本が好きになった子たちに、ゾロリの次に読むのにぴったりなちょっと長いお話をこのシリーズで作れたらなと。

    ―― 原ゆたかさんは、落語がお好きなんですか。

    ゆたか: 全集もほとんど揃えていますよ。でも落語をそのまんま読み物にしても、時代設定が昔なので、今の感覚とまったく違うから子どもたちはちょっとピンとこないでしょう。それを一番感じるのは、友達の子どもにお土産を持っていくとき。自分たちの好みで和菓子を選んじゃって、ガッカリされることが多いんだよね(笑)。やっぱりショートケーキとかのほうが魅力的じゃない。そう考えたとき、「まんじゅうこわい」をケーキに変えてみたらきっと面白がってくれるだろうし、「もとのお話は『まんじゅうこわい』っていう落語なんだよ」と教えてあげたら、それをきっかけにして「落語ってどんなもの?」って興味をもってくれるかもしれない。落語の要素は「かいけつゾロリ」にもかなり入れているけど、落語でも歌舞伎でも、こういうふうに今風にするのも一つの手だなと思っています。スピンオフシリーズを出すことにしたのは、それも理由の一つ。あとは、絵描きである僕の都合です(笑)。

    ―― どういうことでしょう?

    ゆたか: ゾロリは年に2冊新しい本を出すことが決まっているので、普段はゾロリにかかりっきりという感じなんですが、絵描きとしては息抜きというか、「筆で描いてみたいな」「ちょっと違うテイストの絵も描いてみたいな」と思ったときに描ける場がほしかったんです。

    ―― なるほど。このシリーズはイシシとノシシが出てくるお話ですが、内容は彼らがウルウルに聞かせる“ゾロリの世界とはまったく別のお話”ですもんね。

    ゆたか: そうです。毎回何の話でも、どんなジャンルでもいいわけだから。『へいきのヘイタ』は「落語のお話とこの昔話をくっつけたら面白そうだな」と考えてできた話で、「次は西洋の話がいいな」「ほら吹き男爵の話はどうかな」と考えて、2作目の『オーボラーラ男爵の大冒険』ができました。それで、2作目を作ったときにはもう「次は桃太郎でいきます」と決めていたんです。

    京子: 二人で「昔話だったらどの話がやりたい?」って話していて、まずは桃太郎がいいかなということで作り始めました。桃太郎だったら、だいたいの子がお話を知ってますよね。

     

    本当は桃太郎は、100匹の家来を連れて鬼ヶ島へ行くはずだった!?

    ゆたか:『百桃太郎』は、桃太郎がお供を連れていざ鬼ヶ島へ……という大まかなストーリーは同じです。でも最初はイヌ・サル・キジだけじゃなく、100匹近い動物が家来になる。それがいざ鬼ヶ島へ渡る段になると、みんなあれこれ言い訳して家来をやめていくんです。それで、結局イヌ・サル・キジの3匹だけになってしまう。

    京子:「桃太郎に家来が100匹いたら面白いよね」「それで結局言い訳してどんどん減っていって……」と構想を話し合っているときは楽しかったんですけど、いざ100種類も言い訳を考えるのはけっこう大変でした(笑)。絵描きさんのほうも、大変だったと思います。

    ゆたか: これも実は、落語からきているんですよ。「寝床」という噺で、長屋の大家が語って聞かせる下手くそな義太夫を聞くのが嫌で、みんなあれこれ言い訳したり、よけいな話を延々しゃべったりして何とか逃れようとするという場面が面白いんです。

    ―― 特にゴリラの言い訳は傑作でしたね。最終的にアンケート結果風にまとまっているのも笑えました。

    ゆたか: これだけでもずいぶんネタばらしをしているように思うでしょうけど、面白いのも、大変なのもここからです。誰もが知っているお話だからこそ、そのぶん「えっ、桃太郎ってこういうお話じゃなかったの?」「じゃあこの後どうなっちゃうの?」と思うような展開にしました。そのほうが盛り上がるでしょう?

    京子: ウルウルと同じ気持ちになって読んでもらう、という感じですね。「なんだよ、どうなってるんだよ!?」と続きが気になったところで「はい、今日はおしまい」。このシリーズは、自分で読むにしろお父さん・お母さんが読み聞かせるにしろ、「続きを読みたくなっても1日1話を守る」というのをおすすめしています。

    ―― さながら千夜一夜物語ですね。

    ゆたか: 今は便利な世の中になったから、すべてをあっという間に知ることができるようになりましたよね。でも本当は「続きが気になって仕方ない」って、一つのワクワクみたいなものじゃない。だから“待つ”こともエンターテインメントなんだって、今の子どもたちにもわかってもらえたらいいなと思います。

    後編へ続きます
    ※12月29日(日)11:00公開

    百桃太郎
    著者:原京子 原ゆたか
    発売日:2019年10月
    発行所:ポプラ社
    価格:1,210円(税込)
    ISBNコード:9784591162620
    オーボラーラ男爵の大冒険
    著者:原京子 原ゆたか
    発売日:2009年03月
    発行所:ポプラ社
    価格:1,100円(税込)
    ISBNコード:9784591105306
    へいきのヘイタ
    著者:原ゆたか 原京子
    発売日:2007年10月
    発行所:ポプラ社
    価格:1,100円(税込)
    ISBNコード:9784591099315




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