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  • “わしは世間に出たらあかん人間や――” 映画「閉鎖病棟―それぞれの朝―」監督・原作者らが語る作品への思い

    2019年11月01日
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    日販 ほんのひきだし編集部 浅野
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    11月1日(金)、映画「閉鎖病棟―それぞれの朝―」が全国公開されます。

    監督は、「愛を乞うひと」などで知られる平山秀幸さん。原作は、1995年に山本周五郎賞を受賞した帚木蓬生(ははきぎ ほうせい)さんの小説『閉鎖病棟』で、2008年に同作に出合い惚れ込んだ平山監督が、初めて自ら脚本を執筆し映画化を打診。今回、11年越しで映画化が実現しました。

    閉鎖病棟
    著者:帚木蓬生
    発売日:1997年05月
    発行所:新潮社
    価格:737円(税込)
    ISBNコード:9784101288079

    物語の舞台は、長野県にある精神科病院。執行失敗により世間から隠されて生きながらえてきた“元死刑囚”の「梶木秀丸」、幻聴によって暴れ出したことから任意入院している「チュウさん」、父親のDVが原因で病院へやってきた「島崎由紀」という3人の人物を中心に、ある日病院で起きた事件と、それぞれの迎える“朝”が描かれます。

    メインキャストは、今作が10年ぶりの単独主演となる笑福亭鶴瓶さん(役:梶木秀丸)と、綾野剛さん(役:チュウさん)、小松菜奈さん(役:島崎由紀)。とりわけ笑福亭鶴瓶さんが演じた梶木秀丸の、優しく温かく、哀しい存在感は圧巻です。

     

    見知らぬ人が“家族”になることもある 秀丸、チュウさん、由紀が迎える「それぞれの朝」

    10月19日(土)に行なわれた映画「閉鎖病棟―それぞれの朝―」試写会&座談会には、平山秀幸監督と原作者・帚木蓬生さんに加え、元厚生労働省事務次官で「若草プロジェクト」代表呼びかけ人の村木厚子さんが登壇。

    平山監督と原作の出会いや本作の見どころだけでなく、本作でも描かれる「生きづらさ」について、それぞれの立場から思うことが語られました。

    平山監督が小説『閉鎖病棟』に出合ったのは、冒頭でも紹介したとおり2008年。「『閉鎖病棟』というタイトルだけを最初に見たときは、ホラーというかキワモノというか、そういう内容なのかなと思っていました。でも実際に読んでみると、当時は“統合失調症”という病名もあまり広くは知られていませんでしたけれど、『この人達のことを俺は知っている、他人事じゃないぞ』と。えらいものを読んでしまったなと思って、それからずっと頭から離れませんでした。それで、シナリオを書き始めたんです」

    それから北九州市出身の平山監督は、帚木さんの住む福岡へ赴き映画化を打診。帚木さんは「それから10年くらい音沙汰がなかったので『これは(話が)なくなったかな』と思っていた」といいますが、「脚本を拝見して驚きました。大きな声では言えませんが、映画は原作を超えています。皆さんはこれ(小説)を買うだけにして、読まなくてもいいくらいです(笑)」と大絶賛。

    「まず、映画化にあたって、チュウさんではなく秀丸を主人公にしたこと。作家本人としても、秀丸さんがどう生きてきたのかはずっと気になっていたんです」
    「それから、小説を書いていたときは『患者それぞれをしっかり書き分けて、ともすると世間には十把一絡げにされがちな彼らにも、一人ひとりに個性がある』と表現するのが目的でした。映画ではそれを、役者さんたちが見事に演じてくださっている。映画の撮影現場も生まれて初めて拝見しましたが、鬼気迫る演技で、患者のキャラクター一人ひとりが立ち上がっていて圧倒されました」

    また「若草プロジェクト」で若い女性の支援活動を行なっている村木さんは、「由紀のつらさが非常によく伝わってきて、祈るような気持ちで映画を観ました」とコメント。

    「由紀もそうですけど、問題を抱えていること自体がつらいだけじゃなく、誰にも言うことができなくてどんどん孤立していくことが、本人を追い込んでいくんです。チュウさん、秀丸さん、由紀という3人の主人公それぞれの“居場所のなさ”がとてもリアルに描かれていました」

    それからトークテーマは、そんな「生きづらさ」に対して私たちができることは何か。「生きづらさを抱えている人たち」に対して何ができるのかへと移っていきます。

    帚木さんは「セネガルのことわざに、『人の病の最良の薬は人である』というものがあります。私の経験からいうと、生きづらさは案外、家族関係の中から生じることが多い。でも人は“再組織化”といって、その後の出会いによっても変わります。村木さんがやっているのも、そういう出会いを提供することだと思います」
    「今回の映画は、英題にも惚れ込みました。『Family of Strangers』、つまり『見知らぬ人たちの家族』ですね。見知らぬ人たちの集団でも、それこそが家族になるときがある。これもポジティブな出会いを積み上げています」

    村木さんは「福祉において専門家の支援はとても大切ですが、お友達や近所の人、それこそ“見知らぬ人”から始まった仲間は、それ以上に重要です。私が支援している方たちについても、職業として支援してくれる人以外とのつながりができたときに初めて立ち直ると言われています」
    「映画を観て『こういう人たちがいるんだ』と知ることで、温かい気持ちを持ってくださったら嬉しいなと思います。彼らを見る人たちが温かい目をもつことで、彼らもまた変わっていくと思います」

    平山監督は「映画には、事件の1年後、証言台に立った由紀が『家族はいません』とはっきり答えるシーンがあります。これは彼女の強さとも取れるけれど、一方で悲惨な感じもするんですね。映画の由紀さんはこのあと強く生きていかれるだろうなと思いますが、“現実の由紀さんたち”はどうなんだろう、というのは考えていました」
    「この映画を作る前は、僕は精神医療に関しても『あずかり知らない』という感じで、きっと映画がなければ今もその思いは変わっていなかったと思います。でも小説を読んで、自分なりに脚本に書いて、役者の皆さんに動いてもらったときに、大げさじゃなくていいから“想う”ことが大切なのかなと、そんな気がしています」「自分の周りにいるのは“家族”だけじゃないと、思ってもらえたら嬉しいです」

    最後に監督から披露されたのは、小松菜奈さん演じる由紀が“朝”を迎えるシーンについてのエピソード。

    「実は脚本の段階では、皆さんがご覧になるような形ではカットをつないでいなかったんです。でも編集していたときに、ある女性スタッフに『由紀の気持ちになってつなげてみてください』と言われて、自分なりにやってみました。本当に由紀の気持ちになれていたか、ということは置いておいて、『由紀の気持ちになってつなげてくれ』と言ってくれたスタッフがいたことが、嬉しかったです」

    映画「閉鎖病棟―それぞれの朝―」

    笑福亭鶴瓶 綾野剛 小松菜奈
    坂東龍汰 平岩紙 綾田俊樹 森下能幸 水澤紳吾 駒木根隆介 大窪人衛 北村早樹子
    大方斐紗子 村木仁 / 片岡礼子 山中崇 根岸季衣 ベンガル
    高橋和也 木野花 渋川清彦 小林聡美

    監督・脚本:平山秀幸
    原作:帚木蓬生『閉鎖病棟』(新潮文庫刊)
    音楽:安川午朗
    主題歌:K「光るソラ蒼く」(ビクターエンタテインメント)

    企画協力:新潮社
    制作プロダクション:ブースタープロジェクト
    配給:東映

    heisabyoto.com

    2019年11月1日(金)全国ロードショー

    ©2019「閉鎖病棟」製作委員会

    ※本作は「PG12」指定作品です。




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