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試練を乗り越えて結ばれる2人や、切ない真実の愛、時代や場所を超えてめぐり会い、美しく燃え上がるハッピーエンドロマンス……。
ハーレクインが日本に上陸してから40年。小説や漫画で多くの女性をときめかせてきたその魅力について、「ハーレクイン」の外川卓編集長に綴っていただきました。
僕がハーレクインコミックを編集するようになって、約14年。ハーレクイン漫画家である妻と結婚して、一緒に「新婚さんいらっしゃい!」に出演したり、生活と仕事の境目がなくなってハーレクイン一色に染まる人生を送ったりしています。会社ではネーム(漫画の下描きのようなもの)を読んで打ち合わせ、家に帰ると妻はアシスタントさんと漫画を描いています。
ハーレクイン小説が日本での刊行をスタートしたのが1979年の9月、今年で40周年になります。ほぼ僕が生まれた時から、女性に永遠のハッピーエンド・ロマンスをお贈りしています。
ペーパーバックという珍しい形態で、書店に特設棚を置いてもらっていることもあるので、熱心なファンでなければ見慣れない方もいるかもしれません。でも、読んだことがなくても「ハーレクインみたいな恋」と言ったらイメージできる人も多いのではないでしょうか。
地味でさえない秘書が傲慢な社長にもちかけられた契約結婚。メガネをはずされ、ブティックにつれていかれ、社長は「ドレスを、はしから全部よこせ」と注文する。華麗に変身して、シンデレラのような恋が始まる……。
または旅先で出会い、一夜の恋に落ちた男性の正体がなんと小国の王様で、身ごもってしまったことから王国を揺るがす一大スキャンダルになってしまう。
あるいは、シークと呼ばれる砂漠の君主にさらわれ、ハーレムに閉じこめられたヒロインが持ち前の勇気をもって行動し、シークは「私と対等にやりあう女性には初めて会った」と衝撃を受け、恋をする――。
自分の住んでいる世界とは違う、あこがれの海外で、次から次へと、とんでもない恋の障害が起きて、ジェットコースターのようにふりまわされるストーリーがハーレクインです。ふりかかる運命の波の中、周囲の人への気づかいや愛をもつヒロインが、健気な努力をもって問題を解決し、恋はハッピーエンドを迎えます。
ハーレクイン小説をコミック化するようになってからは21年になります。その頃、少女漫画は学園ものが流行っていて、それまで「キャンディ♥キャンディ」や「ベルサイユのばら」を読んでいた女性が大人になって読む漫画が少なくなっていました。働きはじめたり、子育てをするようになった今、いくら絶大な権力をもっているといっても、生徒会長にキュンとしないし……。
かといって、その頃のレディースコミックはホットな作品が多く、不倫や禁断の愛もまた違う。そんな漫画ファンのために、ハーレクインコミックは生まれました。電子書籍にもいち早く進出し、今、力をいれているのは多言語に翻訳して全世界に配信することです。
40年の間に、「女性の幸せの形」は少しずつ変わってきましたが、それでも大事にしているのは“女性”を肯定することです。恋の相手であるヒーローは、人類の上位3%に属するような上流階級の男性が多いため、独善的で愛を信じることができません。そんなヒーローが、ヒロインが捧げる真心によって変わり、男性としてのポリシーを捨て、愛にひざまずくんです。
成就した愛に、周囲の人たちも影響を受けます。ヒーローの会社の社員や国民が恩恵を受け、愛を信じるようになり、世界は美しく輝いていく……。すべてはヒロインの小さな勇気から始まるんです。女性が幸せになることによって世界が一歩よくなる、それがハーレクインです。
読みきりスタイルが基本なので、たとえば夜、寝る前に1話だけ、美しく、情緒的に正しい世界にふれ、優しい気持ちで一日を終えることができたら、次の日、またがんばる気力が湧いてきます。これからも恋の大切さ、愛し愛されることの素晴らしさを伝えていきます。
ハーパーコリンズ・ジャパン「ハーレクイン」編集長
外川 卓―TOGAWA Taku
1978年山梨県生まれ。2005年、宙出版に入社し、ハーレクインコミック編集部に配属。2010年ハーレクイン社に移り、2016年より現職。
(編集部注:イラストは、漫画家である奥様作「ハーレクイン♥ウエディング」のキャラです)
(「日販通信」2019年11月号「編集長雑記」より転載)