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お笑い芸人のサンシャイン池崎さんが一緒に暮らす愛猫・風神と雷神との生活を写真と文章で綴った『空前絶後の保護猫ライフ! 池崎の家編』が、8月9日(金)に発売されました。
風神(ふうちゃん)と雷神(らいちゃん)は、サンシャイン池崎さんが2018年に、NPO法人「猫の森」から迎えた2匹の保護猫。池崎さんがInstagramやTwitterに2匹の写真を公開、その溺愛ぶりが大きな反響を呼びました。
2019年7月には毒舌で猫たちへの愛情を語る裏アカウントが発覚、現在サンシャイン池崎さんの公式アカウントを超える43万ものフォロワーを獲得しています。
筆者はちょうど現在猫を飼おうか迷っており、しかも保護猫にも興味があったので、ぜひ池崎さんのお話を参考にしたく、いろいろお伺いしました。
サンシャイン池崎(さんしゃいんいけざき)
1981年、鹿児島県鹿屋市生まれ。お笑い芸人。ワタナベエンターテインメント所属。2007年デビュー。2018年に保護猫2匹を引き取り、里親に。現在は保護猫活動にもボランティアとして参加。Twitterで愛猫への愛を叫ぶツンデレな“裏アカウント”も話題となり、フォロワー数は40万人を超えた。テレビ東京系「おはスタ」、NHKラジオ第2「基礎英語0」にレギュラー出演するほか、さまざまなバラエティ番組でも活躍中。
―― このたびは『空前絶後の保護猫ライフ! 池崎の家編』の発売おめでとうございます!
ありがとうございます! ちなみに、気持ち的には「池崎のイエェェーイ編」というのが正しい読み方です。
――「イエェェーイ編」ですか(笑)。 風ちゃん、雷ちゃん、ネットでの反響がすごいですよね。
風ちゃん、雷ちゃんが家に来たのは、去年の7月23日。ちょうど1年ぐらいですね。こんなに大きな反応があるとは予測していませんでした。
Twitter、Instagramで風ちゃん、雷ちゃんが有名になって、野良猫の救助や保護を行っているNPO法人「猫の森」から2匹をもらい受けたことをきっかけに保護猫のボランティア活動をするようになって……。今回の出版は、それを見ていた宝島社さんが声をかけてくださったのがきっかけです。
――この本には、保護猫を譲り受ける手順から、猫と一緒に暮らすために必要なこと、猫を飼った後に起こることがもれなく載っています。初めて猫を飼う人のハウツー本として、とても参考になると思いました。
せっかく出版するなら、写真集のようなものではなく、より保護猫のことを知ってもらえる内容、これから猫を飼いたい人や、猫との暮らしに興味がある人に役立つものにしたいと思いました。
それと、僕の小学生のファンも楽しく読めるような本にしたかったんです。すべての漢字にふりがなが振られているのは、担当編集の九内さんのアイデア。「保護猫」というとちょっと大人びたテーマに感じられるかもしれないけれど、興味を持って踏み込んできてくれたらうれしいですね。夏休みの読書感想文にも向いているのではないかと思っています。
もちろん風ちゃん、雷ちゃんの写真もたくさん載っています。僕が撮った写真もありますし、周りの人が撮ってくれたものや、今回新しく撮り下ろしたものもあって、すべてを集結していますね。Twitterにアップしていない写真のほうが多いです。
――「猫と一緒に暮らすことは、子どもの頃からの夢だった」と本の中でも書かれています。また、風ちゃん、雷ちゃんと出会う前に、あらかじめペット可の物件に引っ越したところにかなりの本気を感じました。今、決断したのは何かきっかけがあったのでしょうか?
これまで猫を飼えなかったのは、お金がないっていうのが一番大きくて。猫を飼って不自由な暮らしをさせるのも可哀想だし。次第にテレビにもたくさん出させてもらえるようになって、猫を飼えるぐらいのお金の余裕もでてきて……。
飼いたい猫が見つかった時に、それから部屋を探すのは絶対に嫌だったんです。すぐに一緒に住みたい。だったら、最初から住んでおこうと思って、当時住んでいた部屋の契約更新のタイミングでペット可の物件に引っ越しました。
でもペット可の物件って本当に少なくて、僕の場合は1~2件の候補から選ぶしかありませんでした。今の部屋はメゾネットタイプなので、最初は「階段を上り下りするのが面倒くさいな」って思ったんですけど、「階段があると猫は喜ぶ」って聞いて、「じゃあいいかも!」って決めました。
――池崎さんが子どもの頃、家の中に野良猫が入ってきて、天井裏に住み着いていたとか。昔から猫は身近な存在だったそうですが、実際に飼ってみていかがですか?
猫と一緒に暮らすのは初めて。これまで、野良猫しか見たことがなかったので、意外なことがいろいろあります。雷ちゃんは信じられないぐらい甘えん坊。どこにでもついてくるし、すごい「撫でろ、撫でろ」と言ってくるし。風ちゃんは気まぐれなんですけど、たまに甘えてくるのがかわいい。
猫って物陰に隠れるイメージがあったんですけど、「ここは俺の家」って感じでめちゃくちゃリラックスしている。本当にいい意味でわがままで、僕が持っていた「猫観」とは全然違いましたね。野良猫は餌にガツガツしているものだったので、風ちゃん、雷ちゃんが餌をけっこう残すのも驚きでした。
――雷ちゃんは雄、風ちゃんは雌。やはり性格に違いはありますか?
雷ちゃんのほうが甘えん坊でビビりですね。風ちゃんのほうが体は小さいんですけど、立場は若干、強い気がするんです。猫じゃらしで遊ばせるときも、2匹同時には来ない。風ちゃんはすぐ来るんですけど、雷ちゃんはちょっと遠慮して近くで見ている。そんなところもありますね。
かと思うと、急にスイッチが入って、2匹で暴れ始めることも。それを見ていると癒されます。僕が疲れてかまってあげられないときは、猫同士で勝手に遊んでいてくれる。2匹いると、そういった気楽さもあります。僕は仕事柄、家を空けることが多いほうなので、2匹いるのは安心ですね。
――猫を飼ったことにより、生活は変わりましたか?
うちの子は、朝、6時か7時ぐらいに起こしに来るので、早起きになりました。あと、掃除をこまめにするようになりましたね。2匹が散らかすんで、散らかすことによって片付けが始まる。猫中心の健康的な生活になっていきますよね。
夜も、前より早く帰るようになりました。飲みには行くんですけど、一回帰ってから飲みに行くとか。一回顔を見ておかないと心配なんで。休みの日は映画を見に行くこともありますが、長時間家を空けると気になり始めます。
――でも、今はいろいろなグッズがあるから、少し家を空けることがあっても、便利で助かりますね。最近の猫用品の進化にも驚きました。猫がトイレをすると、全自動で掃除をしてくれる猫用トイレや、タイマー付きの自動給餌器…。
あの全自動のトイレはめちゃくちゃいいですね。猫が用を足したらクルッと回って、ウンチやおしっこで固まった砂だけが穴の中に落ちる。2日ぐらいなら全然きれいですね。
自動給餌器は、好きな時間に「これくらいの量をあげる」って指定ができます。遠隔でも操作できるんですよ。
外出中も見られるWebカメラも付いているんですが、定点カメラなんで、あんまり映らないです。餌の時以外は猫たちがその前に来てくれないし、どこにいるのかわからない。スマホを通して声も届けられるんですけど、「風ちゃん! 雷ちゃん!」って呼んでも全然来ないんです(笑)。
――風ちゃん、雷ちゃんはわりとおとなしいイメージですが、見ていないうちに何かイタズラなどして困ることもありますか?
トイレの砂を外にかき出しちゃうとか、観葉植物の軽石を全部出しちゃうとか、そういうのはちょっと困りますね。ソファをガリガリするのは覚悟してたんで、全然いいんですけど。
この前、「なんでこんなに床が濡れてんだ?」ってことがあったんです。ウォーターサーバーのボトルの上で風ちゃん、雷ちゃんが遊んでいて、爪がブスっといったらしくて。ボトルが1個ダメになりました。でも、基本的にそんなに困ることはないですね。
――まさに猫中心の生活という感じの池崎さんですが、風ちゃん、雷ちゃんと暮らし始めてから「猫人脈」は広がりましたか?
ちょっと広がった気はしますね。岩井(ハライチの岩井勇気さん)とは、猫が来る前から仲よかったですけど、より仲よくなったし、ブルゾン(ブルゾンちえみさん)も家に風ちゃんと雷ちゃんを見にきてくれたし、LINEで自分が飼っている猫の写真を送ってくれる方もいます。まんぷくフーフーとはいっしょにボランティアに行ったり。
Twitterで、風ちゃん雷ちゃんの写真に、広瀬アリスさんが「いいね」を付けてくれました。「アリスさん、いいね付けてるじゃん!」って。浜辺美波さんも付けてくれてて、「えー!」ってなったこともあります。ほぼしゃべったことないのに(笑)。猫効果ですね。そういう広がりはありますね。
元プロ棋士のひふみん(加藤一二三さん)が謎にコメントをくれてたり。年齢はずっと上ですが、事務所の後輩なんです。僕よりあとにワタナベに入ったので。
――風ちゃん、雷ちゃんとの出会いについてお聞かせください。“市岡博士”こと、サイエンスアクターの市岡元気さんからNPO法人「猫の森」を紹介されたと本にありました。
僕が猫を飼いたいって言ったら、市岡博士が「僕が猫を譲渡してもらったことがある『猫の森』で、ちょうど子猫が生まれるよ」と教えてくれたんです。それで「猫の森」を紹介してもらい、生まれた子猫の写真を送ってもらえることになりました。写真を見て、選んだ子猫を世話してくれているスタッフさんの家に会いに行くっていう流れでした。
――「猫の森」では、そういった譲渡の流れが一般的なのでしょうか。いわゆる譲渡会や、保護猫カフェで出会うことが一般的というイメージがあります。
※譲渡会:保護猫団体などが主催する、里親希望の方が複数の保護猫に面会することができる出合いの場。
※保護猫カフェ:里親募集を目的とした猫カフェ。店内にいる猫はみな保護猫で、希望する猫を譲り受けることができる。通常の猫カフェとしての利用も可能。
どうなんでしょう。僕はたまたま市岡博士と知り合いだったから、そういう形になっただけかも。「猫の森」では、月2回ぐらい譲渡会を開いているので、そこで実際に猫に会って選んでもらうケースが多いと思います。
ただ、「猫の森」のホームページやブログにも里親募集中の保護猫たちの情報が掲載されているので、それを見て「この子がいい!」となって応募することもあるかと。実際に里親になるには、「写真付き身分証明書の提出」「家族全員が猫の飼育に同意している」「ペット飼育可物件の賃貸契約書の提出」など、いくつかの条件をクリアする必要はあります。
――本にも書かれていましたが、猫を譲り受ける際にこれまでかかった医療費などの費用を里親が負担することはあまり知られていない事実かもしれませんね。
――最近では、「猫の森」のボランティア活動もされているとか。先日は、譲渡会にも参加されていました。池崎さんをきっかけに譲渡会を知った人も多いのではないでしょうか?
Twitterで当日に告知したんですが、いつもよりたくさんの人が来てくれたと聞いています。譲渡会に来る方は、初めて猫を迎えたいという人がけっこう多いんです。そういった人に、一から猫を飼い始めた僕が体験談を話すことができたので、とても喜んでもらえました。
――ボランティア活動では、大人の猫が保護されている「保護猫部屋」で、トイレ掃除やフードの用意などもされていました。猫が増えすぎて世話ができなくなる、いわゆる多頭飼育崩壊の現場から保護された猫たちだとか。
今まで、4回ぐらいボランティアに入ったのですが、最初は「かわいそうだな」と思いました。みんな劣悪な環境にいた猫なので、耳が欠けていたり、病気にかかっていたり……。風ちゃんと雷ちゃんは、「猫の森」に保護されたお母さん猫が生んだ子猫。生まれてからずっと、めっちゃいい環境しか知らないんです。でも、そういう厳しい現実もあるんだと知りました。
その保護猫部屋にいる猫たちは、最初は人間に全然なついてないんですよ。凶暴だったり、めっちゃビビっていたり。そういう子たちが、1か月ぐらいすると、明らかに変わっていくんです。どんどん人慣れしていく。
この前の譲渡会には、僕が保護猫部屋に行き始めたころに出会った成猫も参加していました。「あいつ、大丈夫かな?」と心配していたら、里親さんが決まって……。嬉しかったですね。「猫の森」は、保護猫部屋をすごいきれいにしているし、エサもきちんとあげている。そういった世話を通じて、だんだん人間に心を開いていくんでしょうね。
保護猫のなかには、人に慣れるまで、時間がかかる子もいると思います。けど、いつかは多分慣れる。一緒に住んだら慣れると思います。それも保護猫の醍醐味だと思うんですよね。もし、僕がそういう子を飼って、徐々に懐いてくれたら、めちゃめちゃうれしいと思うんです。
「猫の森」の代表の北村由紀子さんは、猫好きMAX の人。怒って「シャーシャー」言ってくる猫のほうが好きなんですよ。バッシバシ引っかかれてるんですけど、「いいね! いいね!」みたいな。人に慣れていない、警戒している猫もかわいいんですよね。「この野郎、猫やってんな!」みたいな(笑)。 風ちゃん、雷ちゃんが「シャー」ってやってるの見たことないですもん。箱入りで、野性味ゼロですから。
――本のタイトルを「猫ライフ」ではなくて「保護猫ライフ」にしたあたりに、保護猫に対する並々ならぬ思いがあるんだなと感じました。
保護猫を推したいですよね。猫を飼うときに、保護猫という選択肢があると思いつくようになってほしい。もちろんペットショップにいる子もめちゃくちゃかわいいですし、それはそれでいいと思うんです。でも、保護猫にも興味をもってほしい。
ボランティアに行っていると、本当にそう思うんです。かわいい子がたくさんいます。野性味のある子も「猫感」があってかわいいですし。そういうことを知っている人が増えるといいですよね。
――今、風ちゃん、雷ちゃんは1歳半ぐらいですよね。子猫って問答無用にかわいいですけど、大人猫になっていかがですか?
大人猫、いいっすね。大人になってからのほうが、ちょっとふてぶてしさがあって。猫のふてぶてしさってかわいいじゃないですか。どっしりとして、わがままで、存在感もあって。譲渡会では、子猫のほうからどんどん里親さんが決まってしまうけれど、今回の本で、大人猫の魅力が伝わったらいいですよね。
――猫の平均寿命は今、15年。20年生きる猫も珍しくありません。風ちゃんと雷ちゃんが20歳になると、池崎さんは60歳近くに。
60歳までって考えると、すごいですよね。でも、もっと長く生きてくれそうな気がします。いい環境にいるし、長生きしてほしいですね。
風ちゃんと雷ちゃんがさらに歳を取っていくのも楽しみです。どっしりして、ゆっくり歩く、ドスンとした猫。いいっすよね。保護猫にもいますね。やたらデカくて、長老猫みたいなの。そういうのもいいんですよね、貫禄があって。
――いやー、うらやましいですね! 確実に幸福度上がりますね。
幸せ度、上がってますね!
――本のタイトルは「池崎の家編」。ということは、続編の可能性も?
実を言うと、「イエェェーイ」というのを入れたくて、「編」にはあまり深い意味はなかったりして(笑)。最初、編集者の九内さんから提案されたのは、「池崎家の場合」だったんですけど、それだと「イエェェーイ」と読めないので、話し合って変えたんです。ただ、発売前から反響をいただいているので……もしかしたら第2章はあるかもしれません。
――この本を読んで、猫を飼いたくなる人が多いと思います。
それはうれしいです! 猫を飼うなら覚悟を決めて飼ってほしいけれど、そんなにハードルが高いことじゃないと思うんです。猫と暮らすと、生活が明るくなるというか、一緒にいるととにかく楽しい!
本を通して、猫を飼ってる気分を疑似体験してもらいたいんです。それで、本当に飼いたくなったら飼ってほしいですね。それが保護猫だとなおうれしいです。猫を飼いたいけれど、一歩踏み出せていない人には、ぜひ読んでほしいです。