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  • 元投稿者が女性初の編集長へ 「ニンテンドードリーム」編集長が考えるゲーム雑誌の役割

    2019年08月11日
    楽しむ
    日販 ほんのひきだし編集部「日販通信」担当
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    任天堂ゲームの専門誌「ニンテンドードリーム」。1996年の創刊以来、ライトユーザーからコアなファンまで幅広い層から支持されている同誌ですが、昨年、初の女性編集長が誕生しました。

    投稿者であった学生時代から同誌に長く携わってきた新編集長は、ゲームを、またネット時代における「雑誌の役割」をどのように捉えているのでしょうか。同誌編集長の冠美花さんに寄稿していただきました。

    Nintendo DREAM (ニンテンドードリーム) 2019年 09月号
    著者:
    発売日:2019年07月20日
    発行所:徳間書店
    価格:998円(税込)
    JANコード:4910071130994

     

    ゲームで繋がる、人と人。ファンと広げる、夢と興味

    ゲーム雑誌の編集長が女性であることは、なかなか珍しいようです。それなりに驚きの声をいただきました。さらに「もともと投稿者なんです」ということをお話しすると、けっこう驚いていただきます。(いいのか、悪いのか?)

    出だしから自分の話で恐縮です。

    ニンテンドードリームは、「マリオ」や「ポケモン」、「どうぶつの森」といったゲームのことを掲載している月刊誌です。今であれば任天堂のゲーム機「Nintendo Switch」の情報がメインになります。

    ゲーム制作者へのインタビューや投稿ページが充実していることに定評をいただいており、「読者との距離が近い雑誌」として親しまれています。愛称は“ニンドリ”。創刊から23年、今年のはじめには通算300号を迎えました。

    作っている自分たちとしては、感謝の気持ちこそあれど「めでたい!」という意識はありませんでした。それでも300号の発売時には、長年の読者、かつての読者、いろんな人からお祝いの言葉をいただいて、長く支持されてきたことを実感しました。子どもの頃から読んでいたという読者さんから、今では親子で読んでいますというお便りも!

    そもそも私が読者としてこの雑誌と出会ったのは、前身「64ドリーム」の頃。「宮本茂×糸井重里 対談」という特集に惹かれたからでした。任天堂・マリオの生みの親と、ほぼ日・MOTHERの生みの親です。今思えばシブイ女子学生……。

    ゲームを作る人のお話って、おもしろい。おもしろいゲームを作る、その人自身がエンターテイナーなんですね。クリエイターとしての発想や考えを知ることも興味深いのですが、「楽しませてやろう!」という気持ちが伝わってくるんです。

    だから、ゲーム雑誌ながら知りたいのは、情報だけではなくそういう“作り手”のこと。もともとゲームを遊んでいなかった初代編集長が、ゲームメディアの世界にイチから飛び込んだからこそ、自然と注目した点でもあったのでしょう。

    私にとってゲームとは、“能動的に新しい体験をさせてくれるメディア”であり、“人と楽しみを分かち合って広がるもの”です。人によっては“ひとりで浸れる世界”であったり、“自由を得られる場所”であったりします。インタビューを通して得られる作り手の思いや人柄は、ゲームへの愛着をより膨らませ、ニンドリは「ファン雑誌」として定着してきました。

    とはいえ現在、情報はおろかゲーム制作者が語る場も、ファン同士が繋がる場も、インターネットが中心となっています。ゲーム機自体がインターネットに繋がるのですから、それらの場所がネットに移るのは自然なこと。

    では雑誌の役割とは……?

    そんな状況で前編集長が掲げていたのは、「ニンドリを開いているあいだは、嫌なことを忘れて好きなゲームに浸ってほしい」ということ。ずっと読んでくださっている読者の皆さんは、そんな時間を買ってくださっているのでしょう。

    そのためには、編集者と読者の思いがうまく重なる必要があります。「楽しい」を届けるために、まずは自分たちの「楽しい」を大事に。「読者と近い」と感じてくださるのは、そういうところなのかもしれません。

    ちなみにニンドリ読者は半分くらいが女性。だから女性が編集長になることはちょうどいいと思いました。いち投稿者から編集長になったことは、いろんな人から「ニンテンドー ドリームだね!」と言われます。それを「ドリーム」と言ってもらえるなら、たくさんのドリームを作りましょう。個人の「楽しい」思いが何かを生み出すことのできる場所、それがニンドリであればと思います。そしてゲームをきっかけに、読者の皆さんの興味が様々な方向に広がれば嬉しいです。


    徳間書店「ニンテンドードリーム」編集長
    冠 美花 KANMURI Mika 
    学生時代よりDTPのできるライターとして「ニンテンドードリーム」に携わり、後に編集者として数々の書籍を制作。2017年末に編集長に就任。


    (「日販通信」2019年8月号「編集長雑記」より転載)




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