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  • 「原作がオモテなら、映画は“下”から見上げた世界」 『東京喰種 トーキョーグール【S】』永江智大プロデューサーに見どころを聞く

    2019年07月18日
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    日販 ほんのひきだし編集部 浅野
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    石田スイさんの大人気漫画を原作に、2017年7月に公開された実写映画『東京喰種 トーキョーグール』。2018年7月の原作シリーズ完結を経て、7月19日(金)、待望の映画続編『東京喰種 トーキョーグール【S】』が全国公開されます。

    原作シリーズ全30巻(『東京喰種トーキョーグール』全14巻、続編『東京喰種トーキョーグール:re』全16巻)は、現在4,400万部を突破。実写映画1作目は29か国で公開されて世界的ヒットを記録し、今作『東京喰種 トーキョーグール【S】』には、国内のみならず海外のファンからも期待が寄せられています。

    今回ほんのひきだし編集部は、『東京喰種トーキョーグール』実写化の企画を自ら立ち上げた 永江智大プロデューサー をインタビュー。製作にかける思いを伺いました。

    永江智大(ながえ・ともひろ)
    1987年、佐賀県生まれ。成城大学文芸学部卒業後、松竹株式会社へ新卒入社。映像製作部映画製作室でアシスタントプロデューサーを経験したのち、松竹撮影所への出向を経て、現在は映像企画部映画企画室に所属。『ジャッジ!』(2014年/永井聡監督)、『母と暮せば』(2015年/山田洋次監督)などのプロジェクトに携わり、2017年公開『東京喰種 トーキョーグール』(萩原健太郎監督)で初めてプロデューサーを経験した。

    『東京喰種 トーキョーグール【S】』あらすじ
    不慮の事故によって、人を喰らわないと生きられない喰種と人間のハーフ【半喰種】になってしまったカネキは、2つの世界の狭間で葛藤しながらも、いまは喰種たちの駆け込み寺でもある喫茶店「あんていく」に身を寄せており、トーカらとともに生活をしている。
    そんな最中、「美食家」と呼ばれる喰種・月山が「あんていく」を訪れる。月山を厄介者だと言い露骨に嫌な顔をするトーカは、カネキに「あいつとは関わらない方がいい」と釘を刺す。だが、月山は半喰種であるカネキの特殊な「におい」に目をつけ、カネキを「喰種レストラン」へ招き入れる……。

     

    キャスティングからヘアメイクまで “月山習”というキャラクターへのこだわり

    ――『東京喰種 トーキョーグール【S】』がついに公開となります。待望の続編とあって、注目が集まっていますね。

    前作『東京喰種 トーキョーグール』のプロジェクトが発足したときから、続けていけるといいなという思いはありました。とはいえ、当時は「いずれにしてもまず第1弾を成功させなければ」と動いていたので、続編を製作することができてよかったです。

    ―― 前作の手応えはいかがでしたか?

    劇場だけでなく、DVDや配信で観た方からもかなりの反響をいただきました。原作の世界観を大切にしているところ、特にキャスティングを評価してくださる方が多かったですね。「続編が観たい」という声もたくさんいただいて、それが今作の製作につながりました。

    2017年7月の『東京喰種 トーキョーグール』公開後、年末にかけてDVDのリリースや配信を行なって、年が明けてから『東京喰種 トーキョーグール【S】』に取り掛かり始めました。

    ―― 今作はなんといっても、松田翔太さん演じる「月山習」が一番の見どころですよね。先日試写で拝見しましたが、最ッ高に変態でした……。オファーの経緯を教えていただけますか?

    最初の段階は本当に“直感”としか言いようがないんですけど、華があって、色気を持っていて、大学生くらいのキャラクターを演じられる世代の方で……と考えていたとき、「松田翔太さんはどうだろう」とふと思ったんです。

    それから、キャスティングに限らず「ファンの方々を出し抜いて驚かせたい」というのは常に考えていました。『東京喰種 トーキョーグール』の実写化が決まったとき、キャストが未発表だったのでいろんな方が予想してくれていたんですが、そのなかに松田翔太さんの名前はなかったんですよね。「誰も予想していない松田翔太さんに月山習を演じていただいて、それが受け入れられたら今回の映画は自分の“勝ち”だな」と。

    実際に松田さんにお会いして、その勝算は確信に変わりました。「月山を演じられるのは松田さんしかいない」「松田さんがダメだったらやめよう」という気持ちでオファーしました。

    映画ではぜひ、アニメ版とも違う、松田さん演じる月山ならではの「トレビアン」を楽しみにしていただきたいです。

    ―― 演技はもちろん、髪型や衣装からも“月山習というキャラクター”に対する並々ならぬ熱意とこだわりを感じました。

    そこに関しては、僕たちはもちろん、松田翔太さんが一番こだわりを持ってやっていらっしゃいましたね。特に、原作ともアニメ版とも違う「映画ならではの表現」についてはすごく考えました。

    たとえば、マスク。もともとは白を基調とした半月型のマスクですが、あのデザインをそのまま実写に落とし込むと、右の横顔を映したときに素顔がほとんど全部見えてしまうんです。最終的に映画版ではフルフェイスにしたんですが、とはいえまったく変えてしまったわけではなくて、よく見ると、ちゃんと原作と同じ月の形をしているんですよ。

    髪型や衣装も、“現実世界”に落とし込むうえで非常に重要なポイントです。ただの黒髪ではなく、光が当たったときに青く見えるように染めてもらっていたり、実際に私たちの生きている世界にいても不思議ではないような「非現実的でないセレブファッション」だったり、細かいところまでかなり作り込みました。

     

    「OFFになっていたものをONにする」で、原作ファンにも新たな発見を

    ―― もうひとつキャストに関してお聞きしたいことがあるんですが、その前に、ストーリー構成について質問させてください。ネタバレになってしまうので詳細は避けますが、原作シリーズが『東京喰種 トーキョーグール』で全14巻、「:re」まで含めると30巻あるなかで、「カネキ vs 月山」は第4巻・第5巻に収録されているエピソードなんですよね。でも映画のストーリーは、とてもじゃないけど「まだ5巻分しか進んでいない」とはいえない内容になっていて……。

    そこまでにしておきましょうか(笑)。でも、そこは『東京喰種トーキョーグール』を実写映画化するにあたって、僕がもっとも意識していた点でもあります。

    一言でいうと、原作の読者が見ているものを“表”だとして、「それを“下”から見上げたときに何が見えるか」。だから、僕たちが見ているのは原作も映画も〈同じ世界〉なんですよ。

    連載当時はOFFになっていたものをONにすることで、原作を大きく改変することなく、同じ世界の“見えていなかった面”を見せようというのが映画のコンセプトです。

    ―― 目からウロコが落ちました。そういうことですか……。今、ものすごく原作を読み返したいです(笑)。この巧みな展開は、TVアニメの脚本をシリーズ通して手がけた御笠ノ忠次さんだからこそかもしれませんね。

    前作は「カネキが喰種になってしまう」という明快な流れがありましたが、今作以降はそうはいかないということで、何よりもまず脚本を担当していただく方を先に決めました。(原作者の)石田スイ先生と相談して、「原作を徹底的に理解していて、そのうえで映画ならではのアレンジができる方にお願いしたい」ということで、石田先生も全幅の信頼を寄せている御笠ノ忠次さんに脚本を書いていただくことになりました。

    「これまで観たことのない『東京喰種』を」という考えはすべてに一貫していて、監督を川崎拓也さんと平牧和彦さんにお願いしたのもそれが理由です。

    ―― 監督のお二人は、長編映画はこれが初挑戦なんですよね。『東京喰種 トーキョーグール』の続編がデビュー作というのは、かなりプレッシャーだったのでは……。

    そうですね。ただ二人とも、『東京喰種 トーキョーグール』自体にはずっと関わっているんですよ。そもそも『東京喰種 トーキョーグール』実写化が実現できたのは、彼らのおかげでもあるんです。

    というのも、『東京喰種 トーキョーグール』の実写化については何度も社内で企画を出していたんですが、やっと集英社さんに持ち込める段階になったときには、すでに多くの会社がオファーを出している状況だったんです。それでコンペを勝ち取るために、勝手にパイロットムービーを作ったんですが、 その映像を編集してくれたのが川崎監督と平牧監督なんです。

    それから、続編で前作以上のことをやるために「ダブル監督に挑戦したい」とも考えていました。お二人ともCMを多数手がけてきた方なので、お互いのアイデアをかけ合わせて、映画の型にはまらない“CMならではの発想”をたくさん織り交ぜてくださいました。

    【次ページ】※ややネタバレ※
    もう一つの見どころは◯◯◯、【S】の意味とは…… 〉〉



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