'); }else{ document.write(''); } //-->
小説、漫画、映画といった形式にかかわらず、物語の登場人物にはそれぞれ何かしら“役割”があります。
学園モノひとつとっても、クラスの問題児、真面目な学級委員長、男子生徒からはモテモテでも女友達はいない美少女、授業をサボりがちなのになぜか成績は常にトップのイケメン……。それぞれのキャラクターが互いに関係しあって作品のメインストーリーに関わりつつ、世界全体では同時多発的にサイドストーリーが繰り広げられています。
今回紹介するのは、そんな「同時多発的に起きるラブストーリーの“蚊帳の外”であり続けようとする主人公」の物語。
Web連載時から話題を呼んでいるギャグ漫画、『絶対BLになる世界 VS 絶対BLになりたくない男』です。
あらすじ
ある日、自分が「BL漫画の世界の住人」だと気づいてしまった主人公の男子大学生。
やたらイケメンの多いこの世界には“LOVEフラグ”が常にそこらじゅうに立っており、油断しているとひょんなことから簡単にカップルが成立してしまう。
女の子(特に巨乳)が好きな主人公は、フラグを回避するためBL漫画を読み漁り、恋愛に発展しそうなシチュエーションについて知識を得た。しかしリサーチを経て、主人公は戦慄する。
なんと自分のような「非イケメンで超平凡な属性の人間」こそが、この世界ではメインキャラクターにされやすいというのだ……。
女の子と結ばれることを望む主人公は、果たしてこの世界の“お約束”に負けず、次々に襲いかかるフラグを回避し続けることができるのでしょうか?
『絶対BLになる世界 VS 絶対BLになりたくない男』が面白いのは、BL漫画におけるキャラクター設定や展開が徹底的にパターン化されているところ。BL漫画の読者なら「あるある!!」とうなずくことしきりでしょう。
その一方で、普段BL漫画は読まないという方にとっても、この作品はBLの世界を覗くときの“地図”としてかなり役立ちます。
なんてったって主人公が「絶対BLになりたくない男」、すなわち“第三者”なのですから(あくまで「今のところは」ですが)。
▼ BLの世界にはヤンキーや刺青の入った怖そうな人がたくさんいますが、治安は悪くありません(ヤンキーもの、ヤクザものは人気ジャンルの一つです)。
▼とはいえ、うっかりぶつかると……
▼命の危険はないものの、恋が始まる可能性が高いです。
▼長く友人関係にある相手でも油断できません。「こいつ、こんなふうだったっけ……」と思い始めたら、恋が始まります。
「焼肉弁当見てなかったのかな」(この直前に、黒髪のキャラクターは「焼肉弁当ゲット♪」と喜んでいました)。主人公の冷静なツッコミも笑えます。
『絶対BLになる世界 VS 絶対BLになりたくない男』は、幕間も見逃せません。
幕間には本編に登場したキャラクターのカットが挟まれており、属性やシチュエーションがおさらいできるとともに、身長などの“追加情報”も記載されているのです。
最後にまとめて図鑑にしたい。
物語の序盤で“亡き者”となってしまった主人公の弟の名前が、あるページで判明するのもポイントです。
▼第1話直後の幕間。このときはまだ“名もなきモブ”でした。
最後に紹介するのは、“BLの世界”を捉える切り口の多さ。これはそのままそっくり、主人公が闘う“敵”の多様さともいえます。
目次をごらんください。
現在発売されている第1巻だけで、実に19ラウンド。
BL漫画好きの方は、目次を見ただけで「ははーん、なるほど」と思うかもしれませんね。
どんな展開が待っているのか想像しながら、ぜひ実際の内容を単行本でお確かめください。ちなみに単行本連載には、主人公の弟とその彼氏とのなれそめ(!?)が収録されています。
『絶対BLになる世界 VS 絶対BLになりたくない男』は、現在第1巻が発売中。筆者としてはぜひ巻数を重ねて、主人公の彼には奮闘しながらも着実に人生を歩んでもらい、「歳をとっても、独身じゃなくなっても“フラグ”はたくさんある」ということを知ってもらいたいなと思っています。
〉『絶対BLになる世界 VS 絶対BLになりたくない男』をためし読みする
https://www.shodensha.co.jp/mangajam/jam008.html
『絶対BLになる世界 VS 絶対BLになりたくない男』は、「次にくるマンガ大賞2019」Webマンガ部門ノミネート作です。現在読者投票受付中! 投票締切は【2019年7月5日(金)11:00】です。