'); }else{ document.write(''); } //-->
平成の時代が終わり、「令和」が始まってはや1か月。皆さんは“平成の女子マンガ”と聞いて、どんな作品を思い浮かべますか?
今回は女子マンガ研究家の小田真琴さんに、「これから読みたいマンガ・今読み返したいマンガ」というテーマでお話を伺いました。
小田真琴(おだ・まこと)
女子マンガ研究家。「FRaU」「サイゾーウーマン」「SPUR」「ダ・ヴィンチ」「婦人画報」など各誌で主に女子マンガについて執筆。2017年にTBS「マツコの知らない世界」に出演。少女マンガとお菓子をこよなく愛し、自宅の6畳間にはIKEAで購入した本棚14棹が所狭しと並び、その8割が少女マンガで埋め尽くされている(しかも作家名50音順に並べられている)。
〈 前編:平成編 はこちら 〉
―― それでは続いて、「これから読みたい女子マンガ」について伺います。
(前編で話した)作品の多様化に連なるんですが、かつては「白馬の王子様がやってきて、結婚して、子どもを産んで、幸せに暮らしました」という“幸せのテンプレート”があったのが、今の読者はもう、同じ夢を見ていないですよね。「それぞれが自分たちの夢をもっている」ともいえるし、「見ていた“夢”が自分の幸せにつながるものではないと知った」ということでもあると思います。
―― 私、多様化と“生きづらさ”は表裏一体だと思っているんですけど……。
そうでしょうね。これから女子マンガを語るにあたって、外せないテーマだと思います。たとえば渡辺ペコさんの『1122(いいふうふ)』は、結婚制度の相対化を描いています。恋愛の延長線上に結婚があって、結婚したら浮気はNGという図式が“ふつう”だとして、それってどうなんだっけ?という疑義なんですね。それによって疲弊する人たちの心情もうまく描かれています。
妻・相原一子。夫・相原二也。結婚7年目の仲良し夫婦。セックスレス。子供なし。そんな二人が選択したのは「婚外恋愛許可制(公認不倫)」。おとやには、いちこも公認の“恋人”美月がいる。美月との恋に夢中になり始めるおとやを見て、いちこにも変化が……。
(講談社コミックプラス『1122(1)』より)
『凪のお暇』も、同調圧力や彼氏からのモラハラという“生きづらさ”からスタートしています。この作品は、それプラス貧困の問題が入っているのも現代的ですね。いろんなことを振り切ってリセットして、自由になったと思ったけれど、そこからもなかなか難しいという。
―― 元恋人やご近所さん、会社の人たちだけでなく、母親との関係性も描かれますが、それもまた闇深いんですよね……。
一人の視点だけでなく、さまざまな“生きづらさ”がいろんなところにあるというのをうまく描いていますよね。コナリミサトさんの作品はもともとマンガ読みや評論家からの評価は高かったんですが、『凪のお暇』で今の時代にぴったりはまったなと思います。
あとブレイクといえば、海野つなみさんは『逃げるは恥だが役に立つ』でブレイクしたという印象を持っている人も多いもしれませんが、かなりベテランの漫画家さんです。逆にいうと、数十年のキャリアがある方が今新しい大ヒット作を打ち出しているということで、これはとても重要なことだと思います。
いつも場の空気を読むのに必死で、「わかるー」が口癖の大島凪 28歳。
ある日、元カレの一言がきっかけでついに過呼吸をおこして倒れてしまい…?(秋田書店『凪のお暇』特設サイト)
―― 「りぼん」で2018年8月に始まった『さよならミニスカート』はどうですか? 女子マンガと呼ぶには、ちょっとメイン読者の年齢が低いかもしれませんが。
「りぼん」で連載されているというのが重要なところですね。「まだ考えが凝り固まる前の女の子たちに、この作品を届けることが重要だ」と、編集長もおっしゃっていました。『さよならミニスカート』は、マジョリティが読む作品にならないと意味がないんです。だから映像化されるなどして、もっとメジャーな作品になってほしいです。
そして読者が『さよならミニスカート』をどう受け取るか、それから商業的に成功するかどうかで、今後連載される作品もかなり変わってくるだろうし、少女マンガというジャンル全体にも影響するんじゃないかなと思います。
その日、彼女は「女子」をやめた――。
女子で唯一、スラックスで通学する仁那が抱える秘密とは。
衝撃のドラマが幕を開ける。(集英社 りぼん『さよならミニスカート』特設ページより)
―― (前編で話した)『逃げるは恥だが役に立つ』は、ドラマ化されたことで若い世代の男性にもリーチしましたよね。女子マンガといいつつ、これだけいろんな作品があって、しかもラブストーリー的な要素がそこまで強くないとなると、男性も楽しめる作品が増えているんじゃないかなと思います。
そうですね。これまで紹介してきた作品は、女性に読んでもらいたいという思いはもちろんありますが、男性に読んでみてもらいたいという気持ちも強いです。
物語のいいところって、他人の人生を追体験できることですよね。逆もしかりですけど、男性が今の自分のまま、女性として人生を送り直すのは難しいでしょう? でもマンガでなら、女性が置かれている状況を体験してみることができます。
自分の同僚や奥さん、恋人がどんなことを考えているのか、理解できるのはほんの一部でも、それによって視野が広がって、人生がより楽しくなるのではないかと思います。
あと傾向として、男性向けのマンガは「強さ」がテーマになることが多いです。その一方で「強さ」や「何かに勝つ」とかではなくて、人間関係とか、個人の内面的なところを細かく描くのが“女子マンガ”です。そういう意味で、まったく違う面白さがあると思います。
―― それでは最後に、小田さんが今ハマッているマンガを教えてください! すでにたくさん紹介してくださってはいるんですが、個人的な推しが知りたいです。
では、まずは慎結(しん・ゆい)さんの『かぞくを編む』をおすすめしましょう。「BE・LOVE」で連載されている作品で、養子縁組の話です。シリーズものになっていて、それぞれのエピソードで異なる人物が主人公として描かれるんですが、いずれも“養子縁組の制度を利用した家族の話”という点で共通しています。すごく現代的なテーマですが、とてもやさしい、愛のある物語です。この方は以前、生活保護をテーマにしたマンガも描いています。
さまざまな事情で産みの親による養育が困難な子どもを、新たな温かい家庭に迎え入れる特別養子縁組。民間養子縁組あっせん機関「ひだまりの子」のケースワーカーとして働く主人公・ひよりの元には、予期せぬ妊娠や不妊に悩む人々が訪れる。家族にとって一番大切なのは心の繋がりだと信じ、親と子に寄り添うひより。複雑な時代だからこそ読んでほしい、新しい「かぞく」の形を描いた感動作!
(講談社コミックプラス『かぞくを編む(1)』より)
もう一つ紹介したいのは、これ、ずーっとおすすめしてるんですけど(笑)、『かげきしょうじょ!!』です。この作品は強烈な“女子への応援歌”で、マンガの楽しい要素がいっぱい詰まっています。女子をエンパワメントするマンガですね。
「渡辺さらさ、オスカル様になります!」大正時代に創設され、未婚の女性だけで構成された『紅華歌劇団』。その音楽学校に入学した少女たちの青春が、幕を開ける──!
(白泉社公式サイト『かげきしょうじょ!!(1)』より)
―― ありがとうございました!
今回お届けした「これから読みたいマンガ・今読み返したいマンガ」は、コミックシーモア「We Loveコミック総研」が提唱する“マンガーマネジメント”に端を発しています。
記事で紹介した作品以外にも、あなたがかつて好きだったマンガをぜひ今一度読み返してみてください。
きっとあの頃の思い出とともに、心と体にのしかかったストレスを癒やしてくれるはずです。
「マンガーマネジメント」とは……
いろんなことが、どんどん変化していく今の世の中。
特に女性を取り巻く環境は、大きく変わり続けています。イライラしたり、落ち込んだり、悲しくなったり、寂しくなったり……。
でも、いつでも誰かに頼れるわけでもないし、ひとりになりたい時だってあります。
それでも前に進まなければならない皆さんにとって大切なのは
感情をコントロールし、モチベーションを保つセルフマネジメントといえます。マンガ、特に電子コミックは、いつでもどこでも、すぐに、
無数にあるラインナップから選んで読むことができます。
あわただしい毎日の中で、ひと息つけるちょっとした時間に
自分の世界に没頭し、ココロを刺激し開放できる、とても便利なツールです。そんな電子コミックの良さを活かし、
ストレスフルな現代女性に必要なセルフマネジメントを実現するのが
コミックシーモアが提唱する「マンガーマネジメント」という新発想です。