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7月にTBS日曜劇場でスタートする大泉洋さんの主演ドラマ「ノーサイド・ゲーム」。ドラマの放送に先がけて、池井戸潤さんによる原作小説が発売されました。
池井戸さんの小説でスポーツが題材になるのは、役所広司さん主演でドラマ化された『陸王』以来。今回は、低迷する大企業のラグビー部をビジネス的視点で再興する話となっています。
ちなみに皆さんは、題名の「ノーサイド」という言葉の意味をご存じでしょうか。「ノーサイド」という言葉は、ラグビーにおいて試合終了という意味。試合が終われば敵味方関係なく健闘を称えあうことから、この名称になったといわれています。
『ノーサイド・ゲーム』ではこうしたラグビーのもつ独特な思想が作用し、単なるチームの再興物語とはいえないラグビーの熱さをもって物語が進んでいきます。
主人公は、大手自動車メーカー・トキワ自動車の経営戦略室で働くエリート社員、君嶋隼人(きみじまはやと)。常務である滝川の提案する大型案件に異を唱えた結果、横浜工場の総務部長に左遷されてしまいます。
さらに、かつて強豪として名を馳せていた同社のラグビー部「アストロズ」のゼネラルマネージャーを任されることになりました。
「アストロズ」を再建せよーー出世の道を断たれた君嶋の挑戦が始まります。
ゼネラルマネージャーとして着任した君嶋の前には、さまざまな敵が立ちはだかります。かつての栄光は消え、ラグビー部「アストロズ」は今や年間予算16億円をそのまま赤字にするお荷物チーム。ラグビーについてまったくの素人の君嶋から見ても再建は絶望的です。
また、滝川はもともとラグビー部廃止論者の筆頭でもありました。君嶋を左遷後もラグビー部の予算に反対し、君嶋を執拗に攻撃します。
君嶋はこの絶体絶命の状況において、経営戦略室で鍛えた知恵を使って勝負します。廃部寸前のラグビー部を一つの企業として捉え、具体的なチームビルディングや目標達成のプロセスなどを落とし込んでいくようすはビジネス書としても読み応え十分。
実際に「アストロズ」のように大企業が予算を持って強化するラグビー部は珍しくなく、日本ラグビーの状況も含めてノンフィクションのようなリアルさがあります。
君嶋の経営戦略室で培った手腕にラグビーの思想が加わったとき、どのようなシナジーが起こるのか。
過去(慣習)に囚われているところから、君嶋のように新しいビジョンでスマートにチームを作っていくことはよくある話です。
そこで、ラグビーの「ノーサイド」や「One for All, All for One(一人はみんなのために、みんなは一人のために)」という熱い思想がどのように混ざり合うのか。物語の展開も、楕円球のように予想できない小説になっています。
この『ノーサイド・ゲーム』の発売とドラマ化にあわせて、『陸王』の文庫版も発売されます!未読の方はこの機会にぜひ読んでみてください。
ちなみにこの『陸王』、2017年10月に役所広司さん主演でドラマ化されたタイミングで大きく売上を伸ばしましたが、箱根駅伝があった年始にもふたたび売上を伸ばしています。
今回の文庫化によって『陸王』がふたたび注目されることはもちろん、『陸王』同様、7月のドラマ化、9月にラグビーワールドカップを控えた『ノーサイド・ゲーム』は今もっとも読むべき注目作です!
・『ノーサイド・ゲーム』ラグビー題材の池井戸潤書き下ろし小説が大泉洋主演でドラマ化
・池井戸潤が語る『陸王』創作秘話とエンタメへの思い〈インタビュー〉