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  • これほど読む人によって読み方が変わる作品は、めったにない―今村夏子『むらさきのスカートの女』

    2019年06月12日
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    ほんのひきだし編集部
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    新興宗教にのめり込む両親を子どもの視点で描いた『星の子』が、第157回芥川賞候補となった今村夏子さん。日常に潜む違和感を平易な文章で描く独特な世界観で多くの読書好きを唸らせています。

    そんな今村さんの待望の新作『むらさきのスカートの女』が、6月7日(金)に発売されました。今回は本書について、編集を担当した朝日新聞出版の四本倫子さんに文章を寄せていただきました。

    むらさきのスカートの女
    著者:今村夏子
    発売日:2019年06月
    発行所:朝日新聞出版
    価格:1,404円(税込)
    ISBNコード:9784022516121

     

    多様な読み方を許容する今村夏子さんの作品、その魅力

    原稿が出来上がるまでは、作品に関してあまり多くを語らない今村夏子さんから、「職業:ホテルの客室清掃 近所の子供たち最初ちやほや 職場でも友だちできる→だんだん立場悪くなる」という新しい作品に関するメモをいただいたのは、2018年の8月のことでした。

    その断片的な構想が、野間文芸新人賞を受賞し、芥川賞と本屋大賞にノミネートした『星の子』以来、約2年ぶりの200枚を超える中篇作品『むらさきのスカートの女』として結実しました。

    近所に住む「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性のことが、気になって仕方のない〈わたし〉は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で働きだすように誘導し……。このあらすじの先に、想像もつかないような展開が待ち受けています。

    本作『むらさきのスカートの女』を読み終わったあと、みなさんの胸にはどんな感想がよぎるでしょうか。「むらさきのスカートの女」に関して、視点人物である〈わたし〉に関して、また彼女たちの職場の同僚に関して……きっと、読み終わった誰かと感想を語り合いたくなるに違いありません。

    小説の読み方には正解などありませんが、これほど読む人によって読み方が変わる、多様な読み方を許容する作品も、めったにないのではないだろうかと思います。

    ただし、読み終わったあとに、素晴らしい小説を読んだあとにだけ訪れる、ため息がでるような幸福感に包まれることだけは、間違いありません。ぜひ、お手にとっていただければ幸いです。

    朝日新聞出版 書籍編集部 四本倫子

     

    今村夏子さんのおすすめ既刊

    あひる
    著者:今村夏子
    発売日:2019年01月
    発行所:KADOKAWA
    価格:562円(税込)
    ISBNコード:9784041074435
    星の子
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    発売日:2017年06月
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