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昨年の夏は観測史上有数の酷暑が続きました。今年も同じような暑さが来ると嫌ですね。
今回ご紹介するイシズマサシさんの短編怪談集絵本『あっちがわ』は、この夏にピッタリの湿り気たっぷりな恐怖を経験できます。
きのうと おなじ かえりみち、
しらないばしょに でてしまう。
きのうと おなじ おともだち、
どうして しらないこがいるの。
きのうと おなじ ぼくのかお、
なんだか ちがう きがするよ。
不気味な語りから始まる『あっちがわ』。
どの場面もはじめは誰もが経験するような状況なのですが、「きのうと おなじ」はずの日常は気がつくと「あれ?」と思ってもいない状況になっています。
1つ『あっちがわ』を覗いてみましょう。
▼おえかき
子どもたちは写生大会でしょうか、
その場所から見える景色を描くよくある学校行事の一つです。
大きな入道雲があるけれど晴天で、絶好の日和のよう。
しかし、子どもたちの向かうキャンパスに描かれているのは
黒、黒、黒。
必死に、中には泣きながらも黒で塗りつぶしている姿はあまりに不気味。
最初に感じた爽やかな青の景色は、入道雲と共に薄暗さが広がっていくよう……。
「おえかき」のような怖くて不気味な「あっちがわ」は全部で15本。すべてイシズさんがこれまで描き溜めてきた怪奇譚が元になって作られています。
岩崎書店から出ているシリーズ「怪談えほん」を思い起こすような怖い絵本ですが、イシズさんが20代の頃から描き溜めてきた『あっちがわ』は業界内外の評判を呼び、発売前から部数の上乗せが決定しています。大人たちはどのような感想を抱いたのでしょうか。その一部をご紹介します。
『あっちがわ』は神と悪魔が手を組んで、人類に鬼胎をいだかせるためイシズマサシに描かせた呪詛に違いありません。この絵本のせいでとうとうあの世がこの世になってしまいました。恐すぎてワクワクしてきました。(映画監督/脚本家 佐藤佐吉様)
まさに「この世のものとは思えない」面白さ! 本当の恐怖はいちばん身近にあってジワリと後からついてくる。これは本当に怖すぎます……。だから決してひとり占めしないでください。こういういい本が売れないとしたらそれが一番怖い!! (三省堂書店有楽町店 内田様)
子供の頃から大好きな「あおいろ」。こんなにも鮮やかに描かれている「アオイロ」が、読めば読むほど底知れぬ不気味さをまとって、僕の視覚野と心を占めていく。「青色」がこんなにも恐いなんて。この体験を、誰かに伝えたくて仕方がないーー。(HMV&BOOKS 瓜生英司様)
大の大人たちが読んでこれだけ「ぞっ」としている様子だと、子どもに一人で読ませるのは考えたほうがいいかもしれませんね……。
発売前から受注が多く、2度の初版部数上乗せを決定。あっちがわの世界はこっちがわの世界でもたいへんな勢いがあります。
書店さん店頭用のスタンドパネル完成。イシズさんの散歩道にある神社にて撮影していると、そこにいた各国の方から「これなに?これだれ?」と、質問が。この神社は映画「君の名は。」ロケ地として観光地化されているよう。はい、おとこのこ のなまえは「しろちゃん」です。#あっちがわ #岩崎書店 pic.twitter.com/pYtuWYnMSp
— イシズマサシ「あっちがわ」 (@masashiishizu) May 27, 2019
「しろちゃん」と名付けられた彼は「あっちがわ」に近い書店店頭のパネル展・原画展で出迎えてくれる予定です。▼パネル展情報はこちら
まだ今年の夏はどうなるかわかりませんが、暑くて過ごしにくいなら『あっちがわ』に行って気持ちだけでも涼しくなってみませんか。
「気持ちだけ」で済めばいいですね。