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史上初のゴールデンウィーク10連休も、早いもので最終日。
ほんのひきだしでは「10連休読むならこれしかない!」と題し、さまざまな出版社の文芸編集者に「10連休に読むなら?」というテーマでおすすめ本を選んでいただきました。
リレー形式で続けてきた今回の企画も、第16弾で最終回となります。
今回本をご紹介いただくのは、講談社 文芸第一出版部の須田美音さんです。
いよいよ来年、東京でオリンピックが開催されるということで、選手や競技を紹介するニュースを目にする機会が増えてきました。この10連休明けには、チケットの抽選申込が始まるそうです。でも、2020年の東京でパラリンピックも開かれることを忘れていませんか。パラスポーツってよく知らないし……という方にお勧めしたいのが、浅生鴨さんの小説『伴走者』です。
内容紹介
「お前は伴走者だ。俺の目だ」自分ではなく他人のために、勝利を目指す。伴走者の熱くてひたむきな戦いを描く、新しいスポーツ小説!(講談社公式サイトより)
伴走者とは、視覚障害のある選手の目の代わりとなって、周囲の状況や方向を伝えたり、ペース配分やタイム管理をしたりする人のこと。2013年、当時まだNHKに勤めていた浅生さんに、初めての短編小説をお書きいただきました。「次は長編小説を」と依頼したところ、浅生さんが書いてみたいテーマをいくつか提案して下さり、その中にあったのが「伴走者」でした。選手ではないのに競技に出るし、その目的はあくまでも選手の勝利だという、パラスポーツならではのユニークな存在だと聞き、「ぜひ『伴走者』を主人公に書いて下さい!」とお願いしました。
NHKで番組制作もしていた浅生さんは、とにかく取材の人でした。そこからマラソン編の取材に2年、スキー編の取材に2年かけ、ようやく2018年に作品として刊行できました。濃密な取材の甲斐があって、登場する選手たちは聖人君子ではなく傲慢だったり怠け者だったり生々しくて魅力的だし、伴走者たちも負けないくらい個性的でした。
スポーツ小説であり、バディものであり、読んでいるうちにパラスポーツのことだけでなく、視覚障害のある人たちの日常や、彼らと時間を共にする伴走者たちの思いが伝わってくる作品になりました。この本を読んで、皆さんも来年の夏はぜひ「伴走者」としてパラリンピックを観戦しませんか。
・【浅生鴨さんインタビュー】『伴走者』ってどんな人?元@NHK_PRの“中の人”浅生鴨が描く「他人の勝利のために戦う人々」