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  • 島田雅彦の徘徊癖が生んだ「159歳、8つの元号を生きた男」:文芸編集者が選ぶ「10連休読むならこれしかない!」vol.7

    2019年05月01日
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    ほんのひきだし編集部
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    史上初のゴールデンウィーク10連休。

    ほんのひきだしでは「10連休読むならこれしかない!」と題し、さまざまな出版社の文芸編集者に「10連休に読むなら?」というテーマでおすすめ本を選んでいただきました。

    今回本をご紹介いただくのは、文藝春秋 第一文藝部の山田憲和さんです。

     

    島田雅彦さんの徘徊癖から生まれた、159歳の男

    これは奇妙な男の話です。

    男は、159歳……万延2年の生まれ。西暦で言うと、1861年になります。まだチョンマゲの世の中でした。
    この10連休で元号が変わりますが、『人類最年長』の主人公の男は、万延から文久、元治、慶応、大正、昭和、そして平成が終わるまで、8つもの元号にまたがって生きています。

    男が生まれたのは横浜で、江戸が東京になるのを目撃しました。とても成長の遅い子どもで、四十を過ぎるまでは報われない女性遍歴を重ねた……などとのたまっております(笑)。
    歴史的瞬間にも立ち会っていて、日露戦争、関東大震災、東京大空襲では危機一髪の状況にも陥りました。五千円札の樋口一葉さんやSONYの井深大さんのような有名人とも出会いました。高度経済成長のころには「不死化細胞」の研究にも協力させられました。

    この男、どういうわけか、死神に逃げられてしまいます。死ぬことができないのです。長く生き続けるというのは、世界一孤独なのでしょうか……。それでも男はへこたれません。明治以来の日本の近代化をたったひとりで生き抜いて「ノーホエア・マン」と呼ばれるようになりました。

    そして30歳の女性看護師に、自らの秘密を語りながら、
    「あなたのおっぱいを触らせてもらえないだろうか?」
    などと頼むのです。本気なのか、ボケているのか、まったく……。

    著者の島田雅彦さんには、徘徊癖があって、いつも街をうろうろしています。最長で36時間ぐらい飲んだくれることもあるらしい。『人類最年長』の男は、まさしく島田さんの分身で、江戸の昔から繁華街を歩き続けて、この国の移り変わりをすべて見つめています。
    大所高所から見下ろすことなく、時の権力者に影響されることもなく、地に足をつけて生きる人たちの本物の歴史があるのです。

    さあ、夢見るようなタイムスリップがはじまります……。

    人類最年長
    著者:島田雅彦
    発売日:2019年04月
    発行所:文藝春秋
    価格:2,035円(税込)
    ISBNコード:9784163910062

    内容紹介
    江戸が東京になって、日露戦争、関東大震災、東京大空襲、そして平成の終わりまで、たったひとりで生き抜いた男がいた。
    男は1861年3月13日、横浜で生まれた。
    とても成長の遅い子どもで、3歳になるまでまともに歩けず、ゆっくりと時間をかけて成長してからは、人並みに結婚もした。
    何度も死に損なったけれど、それなりに人生を楽しんで、あらゆるものを見てきた。
    五千円札の女と懇意になったり、朝鮮人狩りから少女を救ったり、ヤミ市の少年たちに自活の道を施したり、不死化細胞の研究に協力させられたり、数奇な運命とともに生きた。
    この男、159年にも及ぶ人生最後の望みとは?
    30歳の女性看護師に何を託すのか。

    (文藝春秋BOOKSより)

    次回は【集英社 文芸書編集部 佐藤香さん】のおすすめ本です!

    Vol.8を読む 》




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