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翻訳物、上下巻の大作でありながら、「ミステリファン必読の一冊」と評判の『カササギ殺人事件』。4月には2019年本屋大賞「翻訳小説部門」第1位に選ばれるなど、引き続き注目を集めています。
あまたのミステリファンを興奮させる、その魅力はどこにあるのか。ミステリの楽しみを広げてくれる、「本作の次に読むならこれ」というおすすめの一冊とともに、東京創元社編集部の桑野崇さんに文章を寄せていただきました。
「なんて面白いミステリなんだ!」
『カササギ殺人事件』の訳稿を最初に読み終えたときの、私の魂の叫びです。
興奮した私はゲラ(校正刷り)を後輩の編集者に押しつけました。
「これめっちゃ面白いですー!!」
気をよくした私は、さらに上司(部長)にゲラを押しつけました。
「仕事なんかしてる場合じゃない。早く帰って続きを読みたい!」
……などと社内で騒いでいたのが昨年の5月のこと。真夏に校了したとき、「たくさんの読者の方に楽しんでもらえると良いですね」と訳者の山田蘭さんとお話したことをよく覚えています(ただし2人とも校了前のバタバタで肩で息をしながら……)。
おかげさまで予想をはるかに超える読者の方にお読みいただき、あまつさえ本屋大賞「翻訳小説部門」で第1位に選んでいただくなど、7冠達成という望外の評価もいただきました。この場をお借りして厚く御礼を申し上げます。
ミステリを心から愛する著者が、敬愛するアガサ・クリスティへのオマージュをこめて、15年以上を費やして書き上げた二重三重の驚きに満ちたミステリ。それがこの『カササギ殺人事件』です(もっとも、クリスティを1冊も読んでない方でも充分楽しめます)。
「ミステリって面白いよね!」という著者の呼びかけに、「面白いー!」と読者の方がご返事してくださっている――読者の方の反応を見て、訳者さんがそのようにおっしゃいましたが、私もまったく同感です。
本書を手に取って、そんな著者のメッセージを感じていただければ大変幸いです。そして願わくは、ミステリの面白さを再発見してくださいますように。
『カササギ殺人事件』に出てくる探偵のモデルはエルキュール・ポワロですが、ポワロといえばミス・マープル。そういうわけで、今年の1月に新訳で刊行したこの短編集をお薦めします。とても読みやすく、これからクリスティを読んでみようかという方に格好の入門書です。
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東京創元社 編集部 桑野崇