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史上初のゴールデンウィーク10連休。
ほんのひきだしでは「10連休読むならこれしかない!」と題し、さまざまな出版社の文芸編集者に「10連休に読むなら?」というテーマでおすすめ本を選んでいただきました。
今回本をご紹介いただくのは、KADOKAWA 文芸局 文芸図書編集部の山田剛史さんです。
33年間ひたすら働き続け、還暦を機に引退したご隠居。だがいざ好きなことをやろうとしても、したいことがない。長年口もきかずに過ごしてきた妻ともギクシャクし、息子ともうまくいかない……。
どこかで聞いたような話ではありませんか?
そう、団塊の世代をはじめ、猛烈に働いてきた人々に共通する問題が、この作品には描かれています。
舞台は江戸後期の巣鴨。6代続く糸問屋・嶋屋の主人として働きづめに働き、質素倹約を貫いてきた徳兵衛が隠居するところから、物語は始まります。当初こそ、釣りや俳句に精を出そうとするものの、商売以外を小馬鹿にしてきた徳兵衛には耐えられません。そんなとき、孫の千代太がやっかいごとを持ちかけてきたことで、転機が訪れます。心優しい千代太の人々への接し方をみて、徳兵衛は徐々に心を動かされていきます――。
ここから先は、ぜひ本を手にとって読んでいただきたいのですが、時代小説でありながら、現代に通ずるテーマを、この小説は持っているのです。しかも文章によどみがなく、ときに笑って、ときに胸を打つ描写にあふれています。編集者としても、そのうまさに唸りながら読みました。
人生80年時代を生きる我々にとって、仕事以外のやりがいは大きな課題でもあります。
本当に大事なものとは何なのか? ぜひその答えをこの作品で見つけていただければと思います。
内容紹介
巣鴨で六代続く糸問屋の嶋屋。店主の徳兵衛は、三十三年の働きに終止符を打ち、還暦を機に隠居生活に入った。人生を双六にたとえれば、隠居は「上がり」のようなもの。だがそのはずが、孫の千代太が隠居家に訪れたことで、予想外に忙しい日々が始まった! 千代太が連れてくる数々の「厄介事」に、徳兵衛はてんてこまいの日々を送るが、思いのほか充実している自分を発見する……。果たして「第二の双六」の上がりとは?(KADOKAWA公式サイトより)
次回は【河出書房新社 編集部 吉田久恭さん】のおすすめ本です!
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