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いよいよ始まった、史上初のゴールデンウィーク10連休。
ほんのひきだしでは「10連休読むならこれしかない!」と題し、さまざまな出版社の文芸編集者に「10連休に読むなら?」というテーマでおすすめ本を選んでいただきました。
今回本をご紹介いただくのは、小学館 出版局の皆川裕子さんです。
中濵ひびきさんに初めて会ったのは、2015年の秋。事前に、2年前の「12歳の文学賞」大賞受賞作や書きためていたという短篇を何作か読み、その年齢とは到底信じられない鋭い視点、深い洞察力や独特の世界観にびっくりさせられたばかりでした。幼少期をイギリスで過ごし、母語の英語で原稿を書き翻訳サイトなどで翻訳していると聞き、一体どんな女の子なんだろう?と会うのを楽しみにしていました。
お母さん、お姉さんと一緒に現れた彼女は、当時中学2年生。すらりとした長身、聡明そうな顔立ちとは対照的な、おずおずと恥ずかしそうな姿が印象的でした。食事をしながら学校や家族のこと、小説のことなどを話す中でも、ぽつりぽつりと英語と日本語を混ぜて喋る程度。とてもシャイな素顔に親近感を持つと同時に、時に大人の胸を揺さぶり心をえぐる言葉の数々が、彼女のどこに潜んでいるのだろうと驚いたものでした。
『アップルと月の光とテイラーの選択』の原稿が届いたのは、それから1年ほど経った頃。初めての長篇で未整理な部分はあったものの、それは私の想像をはるかに超える力を持つ、今まで一度として読んだことがない「新しい形の小説」でした。壮大な世界観、繊細で美しい文章、驚異的な知識量、そして何より彼女が現代社会に対して発する警告、強いメッセージに、ただただ圧倒されるばかりだったのです。
生物学者・福岡伸一先生の「細胞も宇宙も記憶も自由自在に語る天才女子高生作家」という言葉の通り、無限の宇宙からミクロの世界、生命の謎から地球の危機まで、縦横無尽に駆け回る主人公テイラーの視点と共に、次々と新しい世界を体験出来る物語です。先入観を捨て心を柔らかくして楽しんでいただければ幸いです。
内容紹介
父親を交通事故で亡くした15歳の少女テイラー。その死はスキャンダラスに報じられ、母親は精神バランスを崩してしまう。心に壁を作ったテイラーは母と二人で孤独に暮らしていたが、ある日強盗に襲われ危篤状態に。病室に現れた精霊ジョイに導かれ、彼女は二つの人生を生きどちらかを選択することを迫られる。ひとつは意識を戻し後遺症を抱えて生きる人生。もうひとつは別人に転生し地球最後の日を見届ける人生。それぞれの人生で様々な出会いと学びを得たテイラーの選択とは? そして父の死の真実とは?(小学館公式サイトより)
次回は【文藝春秋 第二文藝部 秋月透馬さん】のおすすめ本です!
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