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これまで欧米の作品が主流だった海外文学ジャンルで、実は近年、中国人・韓国人作家(および中国系アメリカ人作家)による作品が静かなブームを巻き起こしています。
中華料理や三国志をはじめ、韓国料理や韓流ドラマ、K-POPなどで“文化”自体にはなじみがあるものの、なぜか文学に関しては、灯台下暗しとばかりにあまり光が当たってこなかったように思います。
そんななか、今、どのような形で中国・韓国の文学は脚光を浴びているのでしょうか?
※主なテーマは4つ。今回は「韓国編」と題して③④をお届けします(中国編はこちら)。
① SFの勢いが目覚ましい中華圏
② 負けず劣らずの存在感を放つ華文ミステリー
③ 空前の豊饒ぶり! 百花繚乱の韓国文学
④ フェミニズムとの強い結び付き
中国文学がSFやミステリーといった、ある意味特殊なジャンルを中心に活気づいているのに対し、韓国文学は特定のジャンルに偏らず、とにかく刊行点数が豊富です。
複数の出版社によるシリーズの創刊が相次ぎ、ラインアップがますます充実しています。
たとえば……
・「新しい韓国の文学」シリーズ(クオン):2011年6月~
・「韓国女性文学」シリーズ(書肆侃侃房):2016年9月~
・「韓国文学のオクリモノ」シリーズ(晶文社):2017年10月~
・「となりの国のものがたり」シリーズ(亜紀書房):2018年9月~
・「韓国文学ショートショート」シリーズ(クオン):2018年10月~
もともと韓国の文化・文学を積極的に日本に紹介していたクオンは、他社に先駆けてシリーズを創刊。日本国内での注目度がまだ高くない頃から、コンスタントに刊行点数を重ねていました。
他社から新シリーズが続々誕生するようになるのは、2016年以降。
なぜ急に韓国文学が人気になったか、筆者が考えるターニングポイントは2つあります。
まず1つ目は、2015年4月にパク・ミンギュさんの『カステラ』が第1回日本翻訳大賞を受賞したこと。
同賞は、柴田元幸さん・金原瑞人さんといった著名な翻訳家5名が選考委員をつとめており、海外文学の愛好家は密かにその動向に関心を寄せていました。
記念すべき第1回大賞を本作が受賞したことで、読書界において、いわば“韓国文学流行の素地”ができあがったといえるでしょう。
そして2つ目、こちらのほうがインパクトとしては大きいかもしれません。2016年5月、ハン・ガンさんの小説『菜食主義者』がブッカー国際賞を受賞しました。
この賞は、世界的に権威のある文学賞「ブッカー賞」の国際版。すなわち「韓国文学の質の高さがこれ以上ない形で保証された」といっても過言ではないということです。
前述の通り、すでに日本では韓国文学ブームの兆しがあったため、同作の受賞を機に、韓国文学が一躍海外文学のメイン舞台に躍り出ることになりました。
冒頭で挙げた5シリーズだけでも、刊行点数は計40点近くにのぼります(2019年3月時点)。もちろんそれ以外でも出版されているため、現在入手できる韓国文学が何冊あるのかは数えるのも難しい状況です。
そんな中から、あえて“重要”あるいは“反響の大きかった作品”としていくつか選ぶとしたら、(幾分筆者の独断と偏見が混じってしまいますが)次の4作になるでしょう。