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  • 『わたし、定時で帰ります。』絶対残業しない主人公が続編で戦う「上司よりもハイパーな敵」とは

    2019年04月05日
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    日販 ほんのひきだし編集部
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    「働き方改革」が掲げられ、その実現が大きなテーマとなっている中、「残業はしない」と決めている女性会社員の奮闘を描いて話題となった『わたし、定時で帰ります。』。4月16日(火)からは、吉高由里子さん主演のドラマがスタートします。

    そんな注目作の第2弾『わたし、定時で帰ります。ハイパー』が、3月29日(金)に発売されました。

    その名の通り、前作よりもさらにテーマを広げて、働く上での問題に向き合っている本作。執筆時のエピソードと作品に込めた思いについて、著者の朱野帰子さんにエッセイを寄せていただきました。

    わたし、定時で帰ります。
    著者:朱野帰子
    発売日:2019年03月
    発行所:新潮社
    価格:1,512円(税込)
    ISBNコード:9784103516422

     

    さらにハイパーな敵と戦います

    『わたし、定時で帰ります。』の続編を書きましょう、と編集者さんに言われたのは、1作目が刊行される前のことでした。まず思ったのは、大事に育てた登場人物たちと別れずにすむのが嬉しい、ということでした。

    でも、1作目でやりたいことは全てやってしまっています。これ以上、何を書いたらいいんだろう。正直、途方に暮れました。

    そんな私に勢いをくれたのは、刊行されてすぐに「読んだよ!」と連絡をくれた会社員の友人たちでした。感想もそこそこに「もっと濃いキャラクターがうちの会社にいるから」とか、「外資にもネタあるから」とか口々に話してくれる彼らは、このテーマはまだまだ大きく広がる、ということを私に気づかせてくれました。

    そうこうしているうちに1作目は順調に売れ、ドラマ化も決まりました。取材もたくさん受け、主人公の結衣を支持してくれる人たちのレビューも嬉しく拝見しました。

    しかし、その一方で、「読んではいないが、タイトルを見ただけで怒りを感じた」というレビューも目にしました。読んでもいないのに辛い評価をつけられるなんて理不尽だ、と思いつつも、その言葉は私の中に残り続けました。

    帰りたくても帰れない時に、「定時で帰る」という文句を目にして攻撃的な気持ちになった経験は私にもあります。それは、もっぱら裁量労働制だった1社目に勤めていた頃に起こりました。朝の4時までプレゼン資料を作成し、7時の飛行機で大阪へ飛び、10時から会議をする。そんな非人間的な生活を強いられていたあの頃は、定時で帰れる人がいるなんて事実は耳にも入れたくなかった。

    でも、本当に自分の働き方に満足しているなら、他者の働き方に怒りを感じる必要などないはずです。あの頃の私は顕在意識では「自分の働き方こそ正しい」と思ってはいたけれど、潜在意識では強いストレスに苛まれていたのではないか。

    そんな思いをもとに、2作目では主人公の東山結衣が戦う相手をストレスフルな職場で働く事を強いられている人々に設定しました。長時間労働は人の心から余裕を奪い、他者の尊厳を損なう行為が見過ごされやすい環境を作りだします。1作目では書ききれなかったこの問題を今回書こう。そう思いました。

    奇しくも、この話を「yomyom」に連載していた2018年は、職場でのパワハラやセクハラが次々に告発されました。また、版元である新潮社も『新潮45』に差別的な論文が掲載されたことにより、大きく揺れていました。

    恐怖や不安を感じている時、仕事のパフォーマンスは落ちると言われています。それなのに、なぜ他者を傷つける人たちが職場からいなくならないのか。正解はないかもしれません。でも、主人公の東山結衣は、前作同様、全ての人の心に寄り添い、誰もが安心して働ける職場を作ろうとします。

    どんな人の働き方も、生き方も、尊重される社会になってほしい。そんな思いをこめて、『わたし、定時で帰ります。ハイパー』を送り出します。

    ドラマ化の情報はこちら
    『わたし、定時で帰ります。』吉高由里子主演でドラマ化 ブラック上司に立ち向かう新時代のお仕事エンタメ

    朱野帰子 Kaeruko Akeno
    東京都生まれ。2009年、『マタタビ潔子の猫魂』で第4回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞。2013年、『駅物語』がヒット。2015年、『海に降る』が連続ドラマ化される。生き生きとした人物造形と、緻密でありながらダイナミックなストーリー展開で注目を集める。他の著書に『真壁家の相続』『超聴覚者 七川小春 真実への潜入』『賢者の石、売ります』『対岸の家事』『会社を綴る人』などがある。




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