• fluct

  • 横山秀夫『64』から6年ぶりの新作長編『ノースライト』は“再生”を描く熱いミステリー

    2019年02月23日
    楽しむ
    日販 ほんのひきだし編集部「新刊展望」担当
    Pocket

    2012年に発売され、その年の主要なミステリーランキングを席巻した横山秀夫さんの『64』。2016年には佐藤浩市さん主演で映画化され、大きな話題となったことも記憶に新しいのではないでしょうか。

    その『64』の刊行から6年、横山秀夫さんの待望の新刊『ノースライト』が、2月22日(金)に発売されました。

    警察小説の名手として知られる横山さんですが、本作の主人公は意外な職業の人物。「横山ミステリー史上、最も美しい謎」と銘打たれた本作は、はたしてどのような物語となっているのでしょうか。編集を担当した新潮社出版部の高澤恒夫さんに、文章を寄せていただきました。

    ノースライト
    著者:横山秀夫(小説家)
    発売日:2019年02月
    発行所:新潮社
    価格:1,944円(税込)
    ISBNコード:9784104654024



    ミステリーの切れ味、幾度も込み上げる熱い感動

    ノースライト――北に開いた窓から差し込む光。横山秀夫さんの新作長編ミステリー『ノースライト』の主人公・青瀬稔は一級建築士です。横山秀夫さんといえば警察小説。そのイメージをお持ちの多くの読者にとっては、意外な職業かもしれません。

    『陰の季節』、『半落ち』、『クライマーズ・ハイ』、『64』と、横山さんは警察官や新聞記者の世界を通じて、組織と個人の葛藤のドラマを描いてきました。対して青瀬は、小さな設計事務所の「雇われ」の身。バブル崩壊で一時は失職し、家庭も壊れ、中学生のひとり娘とは、月1回の面会日に喫茶店で会うだけの関係です。

    同業者も認める才能を持ちながら、ただ注文に合わせて図面を引く日々。そんな青瀬が何年ぶりかで血をたぎらせた仕事が、信濃追分に建てるY邸の設計でした。ノースライトを存分に取り込んで完成したY邸は、建築雑誌にも紹介される会心作になります。

    ところが――。4か月後に信濃追分を訪ねた青瀬が見たものは、無人のY邸でした。引き渡しの日には、施主の一家もあんなに喜んでいたのに……。一家はどこへ消えたのか? Y邸に残されていたのは、浅間山を望むように置かれた古ぼけた一脚の椅子だけでした。

    事件の謎と、伝説的な建築家ブルーノ・タウトの足跡を追って、青瀬は高崎、熱海、仙台と訪ね歩きます。かつて月刊誌「旅」に連載された故でしょう。全面的に改稿され、「連載時の文章は一割も残っていないかもしれません」と横山さんは話しています。

    事件と事務所の危機を通じて、青瀬は職業人として、家庭人として、再生の手掛りをつかみます。ミステリーの切れ味と、幾度も押し寄せる熱い感動。警察小説であってもなくても、ここにあるのは、まさしく横山秀夫だけの小説です。

    新潮社 出版部 文芸第三編集部 高澤恒夫




    タグ
    Pocket

  • 広告用

    20190320
  • GoogleAd:007

  • ページの先頭に戻る