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まだ誰も体験したことのない、北極での「極夜の探検」を描き、昨年11月に第1回Yahoo! ニュース本屋大賞ノンフィクション本大賞を受賞するなど、高い評価を受けた角幡唯介さんの『極夜行』。
この探検の準備にかけた3年間の日々を描く『極夜行前』が、2月15日(金)に発売されました。
命がけの旅が繰り広げられる『極夜行』ですが、その“準備行”も本番に負けず劣らずの過酷なものだったそう。本作では一体どんな冒険が描かれているのか、編集を担当した文藝春秋ナンバー出版部の藤森三奈さんに、文章を寄せていただきました。
2018年、ノンフィクション界の話題をさらった『極夜行』。作家であり探検家の著者、角幡唯介さん本人が、「最高傑作になった」というほどの作品でした。
太陽が昇らない冬の北極を、1匹の犬と80日間旅をし、次から次へと現れる危機を乗り越えた果てに、大きな太陽と出会うという内容です。いや、実際は60文字そこそこで言い表せる旅ではありませんでした。
そしてさらに、この旅を迎えるには3年の準備期間がありました。その3年の間にも毎年北極へ行き、本番のための準備を重ねてきたのです。『極夜行前』は、その準備行をまとめたものです。
角幡さんは「この準備がなかったら、もっと危険な目に合っていた。3年をかけて、グリーンランド北部の土地を歩くことで、危険な場所を知り、動物がどこで獲れるかを知った。またライフルの使い方も覚えることができた。ライフルは持っているから安心なのではなく、いざというときに使えないと意味がない」と言います。
相棒の犬をしつけることも、大事な準備でした。何百キロとある橇を角幡さんと犬とで来る日も来る日も引き続けます。犬が仕事をするよう育てるのも、生死にかかわることなのです。
『極夜行前』にはこれらにまつわる失敗だらけの試行が描かれています。角幡さんはそのプロセスを大切にしています。「考える力、判断する力はそこで養われるのだ」と。
『極夜行』を読んだ人もそうでない人も、角幡ワールドに引き込まれる作品です。
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文藝春秋 ナンバー出版部 藤森三奈
・探検家・角幡唯介『極夜行』が「Yahoo!ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞」を受賞
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