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2019年の本屋大賞ノミネート作が発表されました。
本屋大賞にノミネートされるのは、全国の書店員が「売りたい本」として投票したもののうち、得票数の多かった10作品。参加する書店員は、これから二次投票としてこの10作をすべて読み、すべてにコメントをつけ、順位づけを行ないます。
書店員さんたちの“売りたい”気持ちを受けて出揃った10作は、これまでにどんな売れ方をしてきたのでしょうか? それぞれの売れ行きを見ながら、あらためてノミネート作を見ていきましょう。
今回も、ほんのひきだしでは恒例となった「これまでの売上冊数が少ない順」でお届けします。
※売上冊数および記事中で紹介する売れ行き動向のデータは、すべて日販 オープンネットワークWIN調べです。
あらすじ
母の故郷の鳥取で店を開くも失敗、交通事故死した調理師だった父。
女手ひとつ、学食で働きながら一人っ子の僕を東京の私大に進ませてくれた母。
──その母が急死した。柏木聖輔は二十歳の秋、たった一人になった。
全財産は百五十万円、奨学金を返せる自信はなく、大学は中退。
仕事を探さなければと思いつつ、動き出せない日々が続いた。そんなある日の午後、空腹に負けて吸い寄せられた商店街の惣菜屋で、買おうとしていた最後に残った五十円のコロッケを見知らぬお婆さんに譲った。
それが運命を変えるとも知らずに……。(祥伝社『ひと』特設ページより)
著者の小野寺史宜さんは、オール讀物新人賞、ポプラ社小説大賞優秀賞などを受賞してデビュー。心温まる作品には、多くのファンがついています。
今回ノミネートされた『ひと』は、昨年6月放送のNHK総合「ひるまえほっと~関東甲信越~」で紹介されて火がつき(※グラフ▼印)、じわじわと売れ続けてきた作品。人の縁の温かさ、優しさが心をうつ感動作です。
あらすじ
1945年7月。ナチス・ドイツが戦争に敗れ米ソ英仏の4ヵ国統治下におかれたベルリン。
ソ連と西側諸国が対立しつつある状況下で、ドイツ人少女アウグステの恩人にあたる男が、ソ連領域で米国製の歯磨き粉に含まれた毒により不審な死を遂げる。
米国の兵員食堂で働くアウグステは疑いの目を向けられつつ、彼の甥に訃報を伝えるべく旅立つ。
しかしなぜか陽気な泥棒を道連れにする羽目になり――
ふたりはそれぞれの思惑を胸に、荒廃した街を歩きはじめる。(筑摩書房『ベルリンは晴れているか』特設ページより)
『戦場のコックたち』に続き、2度目のノミネートとなった深緑野分さん。
今作は、戦争の爪痕がくっきり残るベルリンを舞台に、ある男の服毒死の謎を追う歴史ミステリ。年末のミステリベストでも高い評価を得、第160回直木賞にノミネートされたことで、年末年始に大きく売上を伸ばしました。
戦中のドイツで何が起こっていたのかや、狂気が蔓延するなかで正義に生きようとする市井の人たちの姿など、考えさせられるところの多い作品です。
あわせて『戦場のコックたち』も売れていますので、ぜひ一緒に読んでみてください。
あらすじ
大学病院で過酷な勤務に耐えている平良祐介は、医局の最高権力者・赤石教授に、三人の研修医の指導を指示される。彼らを入局させれば、念願の心臓外科医への道が開けるが、失敗すれば……。さらに、赤石を告発する怪文書が出回り、祐介は「犯人探し」を命じられる。岐路に立つ外科医に課せられたミッション。医師として、人として、一番大切なものは何か。
(新潮社公式サイト『ひとつむぎの手』より)
『崩れる脳を抱きしめて』に続き、2度目のノミネートとなった知念実希人さん。残念ながら前回は大賞を逃しましたが、その後も着々とファンを増やし、本作も発売直後から売上が急上昇しています!
過酷な医療現場に振り回されながら、後進の医師を育てるため邁進し、疲弊していく主人公。社会人の読者には、どこか既視感のある展開にぐっと引き込まれた方も多いのではないでしょうか? ノミネート以降の動向も気になるところです。
あらすじ
「神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」。突然の依頼に、かつての凄惨な体験が作家の脳裏に浮かぶ。解けない謎、救えなかった友人、そこから逃げ出した自分。作家は、事件を小説にすることで解決を目論むが――。(新潮社公式サイト『火のないところに煙は』より)
昨年6月から7月にかけて「王様のブランチ」(TBS系)で取り上げられたのをきっかけに大ブレイクし、その後ぐんぐんと売上を伸ばしている『火のない所に煙は』。本屋大賞に“怖い話”がノミネートされるのは比較的珍しいことで、そういう意味でも注目の作品です。
『屍人荘の殺人』を読んだ方からの注目度も高い一冊。ホラー・オカルトを普段読まない層が、どう動くか気になります。
あらすじ
私には五人の父と母がいる。その全員を大好きだ。
森宮優子、十七歳。継父継母が変われば名字も変わる。だけどいつでも両親を愛し、愛されていた。(文藝春秋BOOKS『そして、バトンは渡された』より)
『あと少し、もう少し』などで駅伝を書いてきた瀬尾まいこさん。てっきり「これも駅伝かリレーか!?」と思ってしまいますが、本作は、ちょっと変わった家庭に暮らす少女の成長を描いた小説です。
複雑な家庭環境で育ってはいるものの、主人公を“かわいそう”に描いておらず、身近な人をあらためて大切に思える、心あらわれるような作品。
すでに「ブランチBOOK大賞2018」「キノベス!2019」などを受賞していますが、本屋大賞での評価はどうなるでしょうか?