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世界一美しく優雅な踊りと称される「フラ」。「HULA Le’a(フラレア)」は、ハワイ好きフラダンサーに大人気のフラ専門マガジンです。
この雑誌を創刊したのは、現在も発行人・編集長をつとめる平井幸二さん。なんと以前は自動車雑誌の編集者だったそうですが、20年前、まったく畑違いのフラダンス雑誌を創刊しようと計画し、自らフラダンサーとなって日々踊る生活を始めたのだといいます。
今回はそのときのことを、“踊る編集長”こと平井さんにエッセイとして寄せていただきました。
フラレアとはどんな意味があるの?と、多くの人から聞かれるので、最初にこの意味を説明します。ハワイ語で「フラ」=踊り、「レア」=楽しむ。フラレアとは「フラを楽しむ」という意味です。そしてこの言葉をタイトルにつけたのが日本のフラダンサーに向けた季刊誌「フラレア」なのです。
フラダンサーに向けた雑誌を作りたいと思ったのが1998年で、創刊したのが2000年7月ですから、この雑誌の出版計画を立ててから創刊まで2年ちょっとの時間がかかりました。
当時、日本ではフラメンコや社交ダンスの雑誌はありましたが、フラダンス(フラダンスはハワイ語的に言うと「踊り踊り」になるのだけれど)の雑誌は、本場ハワイにも日本にもなかったのです。そんな経緯から、最初に思ったのは、「雑誌を創刊する前にフラダンスのレッスンを観てみよう」。結果的にはプラスになりましたが、このことで「フラレア」の創刊までに長い時間を要します。
鎌倉のフラ教室へ見学に赴いたのは1998年の春先。自動車雑誌の油臭い世界で育った自分にとって、フラのレッスンはニュービーズの香りくらいだろうと思っていましたが、眼の前で観るフラはハードで、自分の頭の中のものと大きく違っていました。
レッスンを観て思ったのは、自分もフラを踊ってみるのが一番良い、でした。見学が終わると早々に、フラの先生に入門を頼みました。しかし、当時の日本は男性のフラダンサーなどほとんど存在せず、先生からは「男の人ひとりでのレッスンは出来ないから無理なのよ」と、やんわり断られてしまいます。ですが説得の末に最後には、複数ならOKとの許可をいただくことが出来ました。ここから僕のフラダンサーとしての生活が始まったのです。
友人と一緒に2人でのレッスンが始動し、半年後には米国人の英語教師に若いお坊さん、海辺のマリンショップの店主など、個性のある者が集まりメンズフラのチームが結成されました。
男性フラダンサーの生活が一年目に入る頃にはチームメンバーは8名に増え、踊れる曲数も多くなり、ステージで踊ることもありました。男がフラを踊るなんて珍しいのでしょうか、どこで踊っても拍手喝采。その気持ちの良さに図に乗った僕は、本来の目的であるフラの雑誌を作ることなんて頭からすっかり抜け落ち、踊る阿呆とばかり日々呆けていたのです。日常の話題もフラのことが中心になり、毎日行うフラの自主練習は深夜に帰宅しても2時間と、フラダンサーの生活にどっぷり浸っていました。
自動車誌の油臭い男どもには「平井ちゃん、最近たいまつを持って踊っているんだって?」なんて冷やかされていました。
そんな頃、机の引き出しの整理をしていたら、鎌倉の教室でフラを始める前に作ったフラ雑誌のダミーが出てきたのです。
ダミーの雑誌の表紙には、〈Stylish Hula & Hawaii Magazine〉、タイトルは「Ku’u(クウ)」(ハワイ語で「私」)。僕がフラを始めるきっかけになり、踊りばかりでなく、さまざまな知恵と知識を授けてくれた大本を再発見したのです。
そして中身を見直し、編集もライターも、すべてフラダンサーが作るフラ雑誌が出来あがりました。
タイトルは「Hula Le’a(フラレア)」に変わりましたが、創刊から今に至るまで、〈Stylish Hula & Hawaii Magazine〉の文字が表紙を飾っています。
文踊社「HULA Le’a」編集長
平井幸二―HIRAI Koji
1960年生まれ。自動車雑誌の編集を経て、2000年7月に「フラレア」を創刊。「フラレア」発行人であり、編集長も務める。
「HULA Le’a」
フラ専門誌。ハワイ好きフラダンサーのためのフラブック。フラを通じてハワイのさまざまな文化、歴史、自然や、国内外イベントなども紹介。1月12日(土)発売号の特集は、「私たちハワイの文化を習っています」「ハワイの源流をたどるタヒチの旅」ほか。
(「日販通信」2019年1月号「編集長雑記」より転載)