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日本では昨年11月に公開されロングヒットを記録、先日ゴールデングローブ賞作品賞を受賞し、ますます盛り上がっている映画「ボヘミアン・ラプソディ」。
筆者は、偶然ではありましたがフレディ・マーキュリーの命日である11月24日(土)に劇場で鑑賞し、エンターテイナーとしての彼の才能と、才能からくるものだけではない深い孤独(大きな瞳に寂しさをたたえたラミ・マレックの表情がたまらなかった)、あのシーンで歌われた「We Are The Champions」が象徴する圧倒的な“人間賛歌”のメッセージにいたく感動し、ほどなく再び劇場へ足を運びました。
今回紹介するのは、そんな「ボヘミアン・ラプソディ」を鑑賞した方におすすめしたい新作映画。
1月18日(金)に公開される「ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー」です。
映画「ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー」は、全世界で累計6,500万部突破、現在も“青春小説の傑作”として毎年25万部売れ続けているという『ライ麦でつかまえて』の著者 J.D.サリンジャーの半生と、名作誕生の真実を描いた作品です。
なぜ、「ボヘミアン・ラプソディ」を観た方にすすめたいのか。
それは、単に「著名な人物の伝記映画だから」というわけではなく、大きな共通項がありながら、その人生がまったく異なる結末を迎えるから。そしてこの作品も、きっと「これは自分の物語でもある」と思う人が多いのではないかと考えたからです。
まず本作のポイントを3つ挙げると、
【1】今もなお支持される小説家が「人気絶頂のさなかに姿を消した理由」が描かれている。
2010年1月に亡くなったものの、1965年発表の作品を最後に45年もの間サリンジャーは沈黙を守っており、特に晩年は謎に包まれていました。
過去いくつか伝記は刊行されてきましたが、本作は緻密な調査によって初めてサリンジャーの誕生から死去までを書いた『サリンジャー 生涯91年の真実』が原作。
さらに本作は、彼をとりまく人々とのエピソードをくわしく描くことで、小説に対するサリンジャーの姿勢や、作品の本質がより伝わる内容となっています。
【2】ニコラス・ホルト主演映画。
子役時代に「アバウト・ア・ボーイ」で注目を集め、「X-MEN」シリーズや「マッドマックス 怒りのデス・ロード」などで若き実力派俳優として地位を確立したニコラス・ホルト。
ケヴィン・スペイシー、ネクストブレイク必至のゾーイ・ドゥイッチなど、脇を固める俳優陣の充実ぶりも注目したいところです。
【2】監督自身がサリンジャーの熱心なファンである。
14歳のとき「ライ麦」を読んで感銘を受けた監督が、その数十年後に刊行された『サリンジャー 生涯91年の真実』を読んでサリンジャーの生涯のドラマチックさに興奮し、映画化の権利を自ら取得、脚本まで手がけた意欲作。
場面やセリフの随所に、サリンジャー作品の引用が散りばめられています。
なお「ライ麦」は、ビリー・ワイルダーやスティーヴン・スピルバーグも映画化を希望したものの、サリンジャー本人がかたく断ったことで未だ映像化が実現していません。
しかし本作を観るとわかるのですが、「ライ麦」の主人公であるホールデン・コールフィールドは単なる物語の登場人物ではなく、もはや彼自身が投影された“分身”です。つまり、異なる形でそれが実現したともいえる内容となっているのです。
映画「ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー」の内容は、名門私立高校を成績不良で退学、大学入学後も中退を繰り返していたサリンジャーが、コロンビア大学で名編集者 ウィット・バーネットに出会ったことからスタートした作家としての人生と、一人の人間としての生涯。
代表作である『Catcher in the Rye』に対して映画の題名が「Rebel(反逆児)in the Rye」であるように、彼が孤立しながらも、ある思いを貫いた姿が描かれています。
冒頭に書いた「ボヘミアン・ラプソディ」との共通項は、一言でいうと「孤独と才能、アイデンティティ」にあり、
・サリンジャーの小説を読んだことのない人や、読んだけれどあまりよくわからなかった人にとっては「こんな人生を送った人が書いた小説ってどんなものなんだろう」もしくは「だから彼はああいう小説を書いたのか」と知るきっかけになる
・一方で、すでに読者である人にとっては、作品だけでなくサリンジャーという人物への思い入れを生む
映画なのではないかと思っています。
唯一の居場所だった“音楽”で仲間を得て、才能を発揮するものの、それ以前から抱いていた孤独が満たされず、強烈な才能ゆえに一時はその孤独がさらに強まってしまったフレディ・マーキュリー。
サリンジャーの人生もまた、重要な人物との出会いによって作家としての生涯のテーマを見つけ、作風の斬新さゆえに玄人からは理解を示されない一方で“大衆に愛される存在”となるのですが、世間に対する虚無感と圧倒的な孤独が最後まで強く印象に残ります。
“大人”たちの欺瞞を嫌う青い若者だったサリンジャーは、そのままの姿勢を貫いて小説の執筆に(執念ともいえる)情熱を注ぎ、その作品で若者たちの間に熱狂を生みました。しかし晩年には、彼はそれゆえに隠遁生活を送ることとなります。
あまり書くとネタバレになってしまうので、気になった方はぜひ劇場へ足を運んでみてください。
◆プレゼントキャンペーンのお知らせ◆
映画「ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー」の公開を記念して、本作のプレスシート(非売品)を10名様にプレゼントいたします!(くわしくはこちら)
出演:ニコラス・ホルト、ケヴィン・スペイシー、ゾーイ・ドゥイッチ、ホープ・デイヴィス、サラ・ポールソン
監督・脚本:ダニー・ストロング
製作:ブルース・コーエン(「アメリカン・ビューティー」「世界にひとつのプレイブック」)、モリー・スミス(「ラ・ラ・ランド」)
原作:『サリンジャー 生涯91年の真実』(晶文社)
提供:ファントム・フィルム/カルチュア・パブリッシャーズ
配給:ファントム・フィルム
2019年1月18日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
© 2016 REBEL MOVIE, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
(109分/アメリカ/カラー/2017年/英語) 原題:REBEL IN THE RYE