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  • 『ダルちゃん』に込められた思い 「ふつうの人」に擬態して生きる女性を描く物語【10万部突破!】

    2018年12月19日
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    ほんのひきだし編集部
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    はるな檸檬『ダルちゃん』単行本が全2巻で発売!

    資生堂の企業文化誌「花椿」のWeb版で連載された漫画『ダルちゃん』が全2巻で単行本化され、12月6日(木)に発売されました。

    作者は『れもん、うむもん!』などのコミックエッセイで知られるはるな檸檬さん。本作は2017年10月から1年間にわたって連載され、このたび待望の単行本化となりました。

    ダルちゃん 1
    著者:はるな檸檬
    発売日:2018年12月
    発行所:小学館
    価格:918円(税込)
    ISBNコード:9784091792686

    ダルちゃん 2
    著者:はるな檸檬
    発売日:2018年12月
    発行所:小学館
    価格:918円(税込)
    ISBNコード:9784091792693

    『ダルちゃん』は、24歳の派遣OL「丸山成美」として仮の姿で生きるダルダル星人の「ダルちゃん」が、あることを通して「居場所とは何か」「幸せとは何か」の答えを獲得していく姿を描いた作品。“普通”に縛られて生きることの息苦しさ・つらさに多くの女性が共感し、連載時からSNSを中心に大きな話題になりました。

    事前注文が殺到したことで発売前に重版が行なわれた本作。発売後さらに緊急重版され、第1巻・第2巻あわせた発行部数は発売後1週間を待たずに10万部を突破しています。

    今回はそんな話題作について、「ウェブ花椿」で連載を担当した資生堂の渡辺恵理さんと、単行本化を手がけた小学館の竹井怜さんに、作品の背景や魅力についてそれぞれ文章を寄せていただきました。

     

    20代の女性がさまざまな壁にぶち当たり、それを乗り越えていく物語を

    (文・株式会社 資生堂 企業文化部 花椿編集室 渡辺恵理)

    はるな檸檬さんの『ダルちゃん』は、音楽、カルチャー、アート、ビューティーの情報などを発信する資生堂の「ウェブ花椿」で、2017年10月より連載がスタートしました。(週1更新、4ページ、全52話)

    読者ターゲットは、主に20代女性。自分の未来への不安や、いろいろな選択肢や分岐点があるこの年代から共感を得られるような物語を求めていました。

    私が、はるな檸檬さんの作品に出合ったのは、「れもん、うむもん!-そして、ママになる-」(新潮社)でした。母となり喜びが溢れているはずなのに、ハッピーとは言えない精神状態を、的確に捉え表現されており、産後数年経っているのにも関わらず、心の奥底に押し込めていた感情が鮮明に蘇り、「みんな同じ思いをしているんだ」と安堵し、「自分はダメな母親なんだ」という思いから解き放たれ、とても心が救われました。

    この忘れていた、またはあえて忘れようとしていた感情や小さな心の揺らぎまでも丁寧に掬い上げ表現するはるな檸檬さんに、20代の女性がさまざまな壁にぶち当たり、それを乗り越えていく物語を。また、心の奥にある闇の部分も含め表現してもらいたいと、お願いして誕生したのが「ダルちゃん」でした。

     

    「もう一人のダルちゃん」たちにとって自分の気持ちに輪郭を与えるきっかけとなってほしい

    (文:小学館 週刊ポスト編集部 竹井怜)

    私が『ダルちゃん』に一気に惹きこまれたのは、「ウェブ花椿」連載時の第6話(単行本1巻25ページ~)で、「はじめて嫌いになったのは スギタさんではなく サトウさんの方だったのでした」とダルちゃんが思う回でした。
    社会で生活する以上、多くの人が、程度の差こそあれ、自分を少し「作って」周りに失礼のないように、その場にうまくなじめるように、行動していると思います。それを「ダルダル星人から人間への擬態」と描くのは、とても腑に落ちる表現で、第1話は「わかるわかる~」と気軽に作品を読んでいました。

    ですが、ここで登場するのがこの第6話、「サトウさんが嫌い」と、むき身の言葉でダルちゃんが思う場面です。自分が違和感をうっすら感じつつも受け流していた部分に対して「あなたは本当は苦しいはずだ」と意識させてきた人(サトウさん)のことを嫌うシーンによって、私自身もどれだけ自分の内面を直視することから逃げてきたかを突きつけられた気がして、「この作品は私が読むためのものだ」と心拍数が上がりました。

    求められる「役割」を一生懸命に演じるダルちゃん同様、誰にも後ろ指をさされないように、恥ずかしくないように、ほめられないまでも怒られないように…当座の「正解」の基準を他者の中から手探りで見いだして、なんとか安心して毎日を過ごしたい気持ちは私にもあります。そして連載時の「ダルちゃん」に対するSNS上での感想で、「わかりすぎる」「ダルちゃんは私だ」といった共感するコメントが多いのを見て、おそらく多くのかたが「生きるための作法」として内面化してしまったものが、「ダルちゃん」の象徴するところなのではないかと思いました。これまで自分ではうまく表現することのできなかった「違和感」を、見事に絵と言葉で表現されるはるな檸檬さんの、作品に対する覚悟も感じました。だからこそ、「ダルちゃん」を何度も手元で読み返せる形で残すことで、人生のいろいろな局面で多くのかたが読めるようにしたい(何より私が読みたい)、そしてあちこちにいる「もう一人のダルちゃん」たちにとって自分の気持ちに輪郭を与えるきっかけとなってほしいと思い、単行本化させていただきたいと申し込みました。

    書籍の形にする際は、Webで内容をすでに読んで知っていてもなお「紙でこそ読みたい」という読者のかたの気持ちにそえるものにしようと、はるなさんやブックデザイナーのかたとご相談しました。ダルちゃんが作品中で「詩の創作」と出会うことで、自分のほんとうの気持ちを表現していく姿がこの作品の重要な部分でもあるので、「創作物」に対して敬意をもって向き合う読者のかたが多いだろうと思い、用紙や箔加工等、本としてのたたずまいにはできる限りのことはしたいという気持ちで作りました。

    実際に買ってくださった方からも、愛着をもって、手元で大事にしてくださっているのが伝わる写真がSNSに上がっていて、モノとしての「本」の力を感じます。『ダルちゃん』や、はるなさんのこれまで描かれた『ZUCCA×ZUCA』『れもん、よむもん!』『れもん、うむもん!』等で、描くテーマやテンションはそれぞれ違えど、一貫して私が作品から感じてきたのが「この世界に踏みとどまって生きていこう、とがんばる人間への連帯感」です。

    宮崎駿監督が長篇アニメーション制作からの引退会見で「この世は生きるに値する」とおっしゃっていましたが、まさにそこに通じる「希望」を感じます。本作の最後のページにある「生きていけるよ」の一言が、ひとりでも多くのかたに届くように、これからもプッシュさせていただきますので宜しくお願い致します。

    ダルちゃん 1
    著者:はるな檸檬
    発売日:2018年12月
    発行所:小学館
    価格:918円(税込)
    ISBNコード:9784091792686

    ダルちゃん 2
    著者:はるな檸檬
    発売日:2018年12月
    発行所:小学館
    価格:918円(税込)
    ISBNコード:9784091792693




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