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初小説『ふたご』が第158回直木賞候補作となり、文筆活動に注目が集まっている「SEKAI NO OWARI」のSaoriこと藤崎彩織さん。
自身の経験をベースに、人と異なる感性をもつ繊細な若者たちを描いた『ふたご』は、多くの人の心を掴みました。
そんな藤崎さん初のエッセイ『読書間奏文』が、12月15日(土)に発売されます。文芸誌「文學界」での連載に加え、書き下ろしエッセイを収録した1冊です。
小学生の頃、休み時間になるといつも図書室へと向かった。
(中略)
私は図書室で泣いていた。私にとって本は、泣いている姿を隠す壁だった。(本書P8~9より)
ただの壁だった本のページをぽつりぽつりとめくり始めたのは、自分を守るために演じていた文学少女になれたら良いと思ったからだ。
いじめられたくないから愛想笑いをするなんて下らないよと言って、一人で本を読んでいる女の子。誰かの意見に左右されず、自分の大切なものを大切に出来る強い女の子に。
演じていたはずのはりぼての文学少女が気付かせてくれたのだ。
「あなたにはこんなに素敵な本があるじゃない」と。(本書P10~11より)
かつては自分を守るために文学少女を演じていたという藤崎さん。
少しずつ読書をし始めたことをきっかけに、やがて「本」は、恋人と別れたときや友達とうまくいかないとき、眠れない夜など、あらゆる場面で自分を守ってくれる存在に変わっていったといいます。
本書は、藤崎さんがこれまで読んできた作品に出てきた文章や登場人物を紹介しながら、身の周りのできごとや自身のターニングポイントについて綴ったものです。
引用されている作品は、村田沙耶香さんの『コンビニ人間』、村上春樹さんの『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』、西加奈子さんの『サラバ!』などさまざま。
「SEKAI NO OWARI」の活動について、炎上した日の話や金銭感覚について、そしてあまり明かされてこなかった妊娠や出産について。「気に入った本のページの端を折り、考えごとをする時間が好き」という藤崎さんの、色んな想いや考え方に触れられる一冊です。