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サカリアス・トペリウスによる童話集『星のひとみ』が、せなけいこさんの貼り絵と石井睦美さんの文によって、クリスマスにぴったりの絵本になりました。
文章は、石井睦美さんによる書き下ろし。
貼り絵は、せなさんが絵本作家デビュー50周年を迎える節目を前に行なわれた書庫整理で見つかったもので、今回の絵本化にあたり、せなさん自らの手で修復されたのだそうです。
『星のひとみ』は、本作のタイトルであり、物語の軸となる女の子の名前。今回はせなけいこさんの絵とともに、『星のひとみ』の物語をご紹介します。
クリスマス前夜にそりから落ち、雪の上に放り出されてしまった女の子の赤ちゃん。
じっと夜空を見上げる少女のひとみに魅入られた星たちは、自らの輝きを彼女のひとみに宿します。
そこへ一人の農夫が通りがかり、雪に埋もれて凍えそうになっている彼女を見つけました。
女の子は家族として迎え入れられ、一度は「エリザベス」と名付けられましたが、「“星のひとみ”という名前のほうがぴったりだ」という牧師の一言が広まり、誰もが彼女を「星のひとみ」と呼ぶようになります。
家族の一員として大切にされ、すくすくと育った「星のひとみ」。しかし彼女の“ひとみ”は、その不思議な力でさまざまな出来事を起こします。
牧師の妻(おかみさん)も「星のひとみ」を大切に思ってはいましたが、気味の悪さに耐えられなくなり、彼女を床下のあなぐらに住まわせることに。
しかしそれでも十分でなく、おかみさんはお隣さんと相談して、クリスマスの前の夜、彼女をあのときと同じ場所へ置き去りにしてしまいました。
「星のひとみ」が赤ちゃんのときに雪の上に放り出されてから、ちょうど3年後のことです。
クリスマスの朝に帰宅した農夫は、「星のひとみ」が家にもういないことを知らされます。そして……
美しいけれども、決して幸せいっぱいではない物語。
「星のひとみ」の不思議な力にまつわるあれこれは読む者を魅了しますが、大人の方は、きっと我が身を振り返ってしまう内容だと思います。
※この絵本は4歳から読めます。
◆著者情報
せなけいこ:1931年、東京都生まれ。絵本作家。武井武雄氏に師事。1969年『ねないこ だれだ』を含む「いやだいやだの絵本」シリーズ(福音館書店)でデビュー、1970年にサンケイ児童出版文化賞を受賞。児童出版美術家連盟会員。「あーん あんの絵本」シリーズ(福音館書店)、『めがねうさぎ』(ポプラ社)、「せなけいこ・おばけえほん」シリーズ(童心社)など作品多数。ユーモアのある貼り絵で、子どもから大人まで世代を超えて愛されている。石井睦美:1957年、神奈川県生まれ。作家、翻訳家。1990年『五月のはじめ、日曜日の朝』(岩崎書店)で毎日新聞はないちもんめ童話大賞と新美南吉児童文学賞、2003年『パスカルの恋』(朝日新聞社)で朝日新人文学賞(筆名・駒井れん)、2011年『皿と紙ひこうき』(講談社)で日本児童文学者協会賞、2006年、サラ・マクメナミー『ジャックのあたらしいヨット』(BL出版)の翻訳で産経児童出版文化賞大賞を受賞。ほか「わたしはすみれ」シリーズ(偕成社)など作品多数。
サカリアス・トペリウス:1818年生まれ、1898年没。作家、ジャーナリスト、歴史学者。ヘルシンキ大学の学長をつとめた。作家として特に童話が名高く、“フィンランドのアンデルセン”と呼ばれる。