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  • 日経朝刊掲載時から話題!林真理子が匂い立つエロスと上流階級の“地殻変動”を描いた『愉楽にて』作品ガイド

    2018年11月19日
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    日販 ほんのひきだし編集部「新刊展望」担当
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    シンガポールと日本を舞台に、美と恋に生きる名家の男たちの情事を描いた『愉楽にて』。日経新聞朝刊掲載時から「史上最高のエロス」と話題になった林真理子さんの新聞小説が、11月20日(火)に発売されます。

    林さんならではの、あでやかな官能美の世界が味わえる本作ですが、その魅力はなんといっても“大人の小説”であること。朝から読者の心を鷲掴みしたその読みどころについて、編集を担当した日本経済新聞出版社の苅山泰幸さんに、文章を寄せていただきました。

    愉楽にて
    著者:林真理子
    発売日:2018年11月
    発行所:日経BPM(日本経済新聞出版本部)
    価格:1,980円(税込)
    ISBNコード:9784532171483

     

    「日経新聞」読者を朝から虜にした、まさに大人の小説

    日経朝刊連載直後に、「新聞史上最高のエロス」と取り上げた男性向けメディアもあり、濃密な性描写でまずは注目されたこの作品。もちろん、男女問わず、朝から日経新聞読者を虜にした、日本の“上流階級”の絢爛な官能美の世界はたっぷりご堪能いただきたいのですが、作品の魅力はそれだけではありません。

    林真理子さんが特に日経のオジサマ読者を唸らせたいと執筆された意欲作であり、いろいろな意味で、まさに大人の小説に仕上がっています。

    この作品の背後に流れているもうひとつのテーマ、それは日本の上流階級の“世代交代”です。老舗企業の創業家に生まれた男たちが主人公ですが、時代に流されることなく優雅な人生をたゆたうような彼らの生き方とはまったく異なる、新しいタイプの上流階級が台頭しつつあることを匂わせる場面がところどころに顔を出します。

    詳しくはお読みいただくしかないのですが、欧州の貴族の、現代における盛衰を描いたイタリアの映画監督、ルキノ・ヴィスコンティの「山猫」などに通じるものがあり、美と恋に生きる男たちが重ねてゆく甘美な情事を通して、現在の日本で起こっている政治や経済の世界での“地殻変動”も見えてきます。

    そして、もうひとつの魅力が、性愛における男女のかけひきの心理描写です。官能に溺れているように見えて、実は男は女をこう見ているのか、実は女は男をここまで見抜いているのか、ということが怖いほどに鋭く描かれており、読者をくぎづけにします。

    日本経済新聞出版社 編集部 苅山泰幸

    愉楽にて
    著者:林真理子
    発売日:2018年11月
    発行所:日経BPM(日本経済新聞出版本部)
    価格:1,980円(税込)
    ISBNコード:9784532171483

    大手医薬品メーカー九代目、久坂隆之は53歳。副会長という役職と途方もない額の資産を与えられた素性正しい大金持ちで、シンガポールと東京を行き来し、偏愛する古今東西の書物を愛でるように女と情事を重ねる。スタンフォード留学中に知り合った友人、田口靖彦は老舗製糖会社の三男。子会社社長という飼い殺しの身が、急逝した妻の莫大な遺産により一変。家の軛から自由になるために、女からの愛を求め、京都で運命の出逢いを果たす。時代の波に流されず、優雅で退嬰的な人生をたゆたう男たちが辿り着いたのは――

    日本経済新聞出版社 公式サイト『愉楽にて』より〉

     

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