'); }else{ document.write(''); } //-->
11月8日(木)に発売される、かこさとしさんの最後の絵本『みずとは なんじゃ?』。
もちろんかこさんは、この絵本を最後の作品にするつもりではなかったはずですが、“水”とかこさとしさんは昔から深い関係にあり、ライフワークのように取り組んでいた重要なテーマでした。
今回はそんな「かこさとしさんと水」について、実際に『みずとは なんじゃ?』に収録されているイラストとともにご紹介していきます。
まずはかこさとしさんのプロフィールから見ていきましょう。
かこさとし(加古里子)さんは、1926年、福井県今立郡国高村(現在は越前市)生まれ。7歳のときに東京都板橋へ転居、それから中学校、高等学校へと進学しますが、高校入学の約3年前に第二次世界大戦が始まりました。
そして1945年、19歳のときに東京帝国大学(現在の東京大学)工学部応用化学科へ入学。大学卒業後、1948年に昭和電工へ入社します。
そのかたわら、大学在学時から子ども向けの演劇作品の創作を始め、社会人になってからはセツルメント活動にも参加。そのなかで紙芝居やおはなしなどを創作し、1959年、33歳のときに『だむのおじさんたち』で絵本作家としてデビューします。
『だむのおじさんたち』は、発電所を作るために山奥の谷川をのぼり、測量から始まって、工事、完成まで、雨の日も雪の日も働く“おじさんたち”の姿をとらえた絵本。ブルドーザーなどの働く車や山に住む動物たちなどを登場させながら、私たちの生活には欠かせない取水源である「ダム」をありのままに描いています。
以降も『かわ』『あまいみず からいみず』など、水をあつかった絵本を多数発表してきました。
絵本作家・児童文化研究家としてのイメージが強いかもしれませんが、かこさとしさんは東大工学部出身。工学博士、化学の技術士でもありました。
学生時代や研究所勤務時代は、「水蒸気や氷に姿を変えても、不純物が混ざらない」など、水のもつ特殊な力を利用した実験を行なっており、水の特異性とその大切さを実感していたといいます。
今回刊行される『みずとは なんじゃ?』も、そんな水の特性を子どもたちに幅広く伝えたいという、かこさんの思いから生まれました。
あさ おきて、かおを あらう みず。
うがいを したり、のんだりする みず。
みずとは、いったい どんな ものなのでしょうか?
「水をどんなときに使うか?」とあらためて考えたとき、上記のように「のどを潤す」「汚れを洗い流す」などを思い浮かべる方は多いと思います。
しかしたとえば「水を飲む」ということは、単純にのどを潤すだけでなく、体内に水を取り込み、水に栄養を運んでもらうという目的があるのです。
また自分の体に直接かかわること以外にも、夏の暑い日にする“打ち水”など、私たちは暮らしのなかで、水の特性をさまざまにいかしながら生活しています。打ち水は、気化熱を利用して周囲の気温を下げる工夫のひとつですよね。
本作には男の子・女の子・幼い男の子の三兄妹と猫が登場し、身近な例から“水”の不思議な性質にせまります。
性質やはたらきをわかりやすく紹介するだけでなく、それが私たちの暮らしにどのようにかかわっているか、そして地球や生命全体においてどんなはたらきをしているかにまで視野を拡げて、「みずとは なんじゃ?」と興味を喚起する内容となっているのが特徴です。
また、かこさんの水への思いは、『みずとは なんじゃ?』初回特典の特製冊子でくわしく紹介されています。
かこさんが執筆した水にまつわるエッセイ、ご遺族が回想するかこさんとの水の思い出なども、こちらの冊子で読むことができます。