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猫の眼で、世界はこんなふうに見えている――。そんな情景を5つの短編と絵で紡いだ作品集『猫のエルは』が、9月28日(金)に発売されました。
文章は、数多くの猫と暮らし、その日々を描くエッセイでも人気の町田康さんによるもの。作中に登場する猫たちをヒグチユウコさんがイラストに描き下ろし、まさに猫好きにはたまらない顔合わせが実現しています。
そんな本作の内容と魅力について、編集を担当した講談社 文芸第一出版部の森山悦子さんに、文章を寄せていただきました。
文・町田康×絵・ヒグチユウコ。
猫を愛する人なら、この組み合わせに胸躍らないはずがありません。
発端は、町田さんの短編集を作らせていただくべく、単行本未収録の短編をリストアップしたことでした。猫にまつわる小説が3作品。それぞれ視点も書きぶりもまったく異なりますが、どれも町田さんにしか書けない魅力あふれる猫文学でした。
人間の感情を仮託しやすい猫という動物は、かねてから文学作品のモチーフになってきました。が、町田さんの猫作品は違います。町田さんは猫に人間の感情を仮託するのではなく、自身が猫になりきってこれらの作品を書いているのです。数多くの猫たちとともに暮らし、作家の眼と深い愛情とで彼らを見つめ続けてきた町田さんだからこそ書き得た作品群でした。
猫の話だけを集めて1冊に――そう思いついた瞬間、ヒグチユウコさんにイラストをいただけたら、とドリームが。大ブレイク中のヒグチさん、ダメ元でしたがご快諾いただき、夢のコラボが実現しました。
作中に登場するユニークな猫たちを、ヒグチさんはこれ以上ないほど生き生きと表情豊かに描き下ろしてくださいました。まるで眼前に猫がいるかのような、内面も含めた存在感あるイラストです。町⽥さんは、作品のモデルになったご⾃⾝の家の猫たちのイラストに、思い出が迫ってきたそうです。
担当していて、とても楽しい本作りでした。ぜひお手にとって、文章と絵で織りなすユニークな猫の世界をご堪能ください。
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講談社 文芸第一出版部 森山悦子
〈収録作品〉※全5編
・諧和会議
・猫とねずみのともぐらし
・ココア
・猫のエルは
・とりあえずこのままいこう