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『先生の白い嘘』『地獄のガールフレンド』などで知られる漫画家の鳥飼茜さん。9月21日(金)、鳥飼さんによる初めての“文芸作品”『漫画みたいな恋ください』が、筑摩書房より発売されます。
日記形式で綴られた本書の内容は、恋人との確執や、元夫との間に生まれた息子との衝突、漫画家としての苦悩など。
これまで欲望や理不尽、男女間の無理解などを容赦ない表現で漫画にしてきた鳥飼さんが、“日記”を執筆することになったのはなぜなのか? 編集を担当した筑摩書房第一編集室の柴山浩紀さんに、文章を寄せていただきました。
鳥飼茜さんとは以前から親交があり、ぼんやりと、文章を書いてほしいと思っていた。今年の4月、会社を移ったこともあって久しぶりに三軒茶屋の喫茶店でお茶をした。その席で、日記を書いてみることを勧めた。近況を伺っていて、鳥飼さんを取り巻く状況が切迫している感じがあったからだ。
この本は、その日の日付からはじまっている。すぐ書きはじめてしまうあたり、鳥飼さんらしいなと思う。送られてきた日記には、彼氏とこれまで2年以上付き合えたことがないこと、いまの彼氏と大きな喧嘩をしてしまったことが書いてあった。正直で、おもしろかった。
それからはだいたい週に1回のペースで、1週間分の日記が送られてきた。鳥飼さんはパソコンを持っていないので、日付をメールのタイトルにして、毎日の日記を送ってくる(おかげで、メールボックスが日記であふれた)。鳥飼さんを取り巻く状況が目まぐるしく変わっていくのを、応援するような気持ちで読んでいた。
鳥飼さんはたぶん、漫画を通じて、自由に生きるとはどういうことかを描いている。日記には、自由に生きることのむずかしさが書かれている。女性として、母として、漫画家として。いろんなレッテルを貼られながら、それでも前に進んでいこうとする姿に、どこか背中を押されるような気がしていた。
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正直、いまの世の中で生きていくのはけっこうしんどいと思う。鳥飼さんの日記を読んでも、生きやすくなる「コツ」みたいなものは書いていない。だけど、この本を読むことで、鳥飼さんのことを遠くにいる同志のように感じてもらえて、どこか勇気づけられることがあったら、とてもうれしい。
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筑摩書房第一編集室 柴山浩紀
※本書は連載に110ページの書き下ろしを加えて書籍化されています。
▼鳥飼茜さんの漫画『前略、前進の君』は10月12日(金)発売。
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