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視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚。私たちはこれら“五感”から日々多くの情報を得て生きていますが、その約8割は“視覚”に由来する情報だといわれています。
視覚を取り除いたとき、身体は、そして世界の捉え方はどう変わるのか?
『目の見えない人は世界をどう見ているのか』で書かれたそんなテーマをもとに、今年7月、ヨシタケシンスケさんによる『みえるとかみえないとか』という絵本が発売されました。
・リビングのりんごを見て「これは本当にりんごか?」と想像をふくらませる『りんごかもしれない』
・服が途中で脱げなくなった男の子が「もしこのままだったらどうなるだろう」と思いをめぐらせる『もうぬげない』
・おじいさんが“死後”についてあれこれ妄想する『このあとどうしちゃおう』
など、これまでにも独特な発想とユーモアで〈想像する楽しみ〉と〈身近な世界を捉え直すきっかけ〉を与えてくれたヨシタケシンスケ作品。
『みえるとかみえないとか』は、どんなお話なのでしょうか?
『みえるとかみえないとか』の主人公は、宇宙飛行士。いろいろな星を調査するなかで、あるとき「目が3つあるひとの星」に着陸します。
目が3つあるひとは、かたつむりとカエルがかけ合わさったような見た目。前に2つ、後ろに1つ、触角のように3つの目がついていて、2本の足で歩きます。
目が3つあると、前と後ろが一度に見えるのだそう。主人公は、普通にしているだけなのに「後ろが見えないなんてかわいそう」「背中の話はしないでおいてあげようね」と気を遣われてしまいます。
前側に目が2つついている主人公は、人間の世界では〈普通〉でも、この星では〈後ろに目がないひと〉なのです。
そんな星には、目の数は同じ3つでも〈前の2つしか見えないひと〉や〈3つとも見えないひと〉がいます。〈前の2つしか見えないひと〉は主人公と同じ。自分の星では“珍しい”と言われるのが、主人公の星では当たり前だと聞いてうらやましそうです。
それから主人公は〈3つとも見えないひと〉に、見える人とは生活がどんなふうに違っているのか話を聞き、「目が見えないひとばっかりの星があるとしたら……」と想像します。
どんな服が流行るだろうか、その世界でモテるのはどんなひとだろう、そんなひとたちが住む街はどんなふうだろうか。
見た目は重要じゃないから、手触りやにおいのいい服が人気かも。声のかっこいいひとがモテるんじゃないかな。
考えているうちに「そんな世界があったら面白そう」「ほかにも◯◯な人ばかりの世界を考えてみよう」と、想像がふくらんできませんか?
『みえるとかみえないとか』は、4歳から読むことのできる絵本です。軽やかで楽しいお話ですが、もしかしたら大人の方がハッとするポイントは多いかもしれません。
出版元であるアリス館の公式サイトでは、『目の見えない人は世界をどう見ているのか』の著者・伊藤亜紗さんとヨシタケシンスケさんの対談も公開されています。
企画が生まれてから刊行までの3年間、おふたりがどんなことに悩み、どんなふうにこの絵本ができていったのか。大人の方はぜひこちらも読んでみてください。
〉アリス館公式サイト『みえるとかみえないとか』
http://www.alicekan.com/books/post_141.html
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