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  • 東大・京大・慶應・早稲田のミステリ研が対抗「ミステリ・ビブリオ!」取材レポート

    2018年09月02日
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    ほんのひきだし編集部
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    書店員も気づかなかった“殺し文句”を発見

    最後に登壇したのは、早稲田大学「ワセダミステリクラブ」の3人。揃って白衣で登場し、「病院とかけまして、国立印刷局と解く。その心は、どちらも“しんさつ”する場所です」と謎掛けを披露して会場からは拍手がわきました。課題図書は『甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ』。

    甦る殺人者
    著者:知念実希人
    発売日:2017年11月
    発行所:新潮社
    価格:693円(税込)
    ISBNコード:9784101801094

    ワセダミステリクラブは、観客を巻き込んでいくプレゼンが特徴的でした。まず「このなかにお医者様はいらっしゃいますか?」「一度死んで、甦った方はいらっしゃいますか?」と問いかけます。

    「お医者さんというのは、名探偵ではないかと常に思っています。患者の抱える症状から正しく診断を下すというのが、本格ミステリの構造によく似ているからです。メインキャラクターの天久鷹央も、名医にして名探偵です」

    「このシリーズの魅力はキャラクターにあり、なかでも『小鳥遊』という苗字の由来をベースにした天久鷹央と小鳥遊優の関係性と、2人の会話にまで伏線が張られた抜け目のなさが特に魅力的です」

    そしてシリーズの特徴を紹介したうえで、本作を「こんな仕掛けは見たことがないと自信を持って言える、アクロバティックな謎解きを楽しめる小説」と紹介。

    本作は一言でいうと“死者復活の謎”を扱った小説ですが、ワセダミステリクラブの3人は「タイトルをなぜ『蘇る』ではなく『甦る』としたのか」「表紙で天久鷹央が持っている、ハーゲンダッツとつぎはぎのぬいぐるみ。これを読後に深読みしてみるのも楽しい」と、作品をすみずみまで楽しめるヒントを提供しました。

    このプレゼンに対して審査員の宇田川さんは、「普段書店でPOPを書いたりもしているが、『物語の外枠までおいしい』という切り口は思いつかなかった。非常に勉強になりました」とコメント。

    また高橋編集長は「医者は探偵のようなものであるというのは、著者の知念実希人さん本人もおっしゃっていたこと。天久鷹央が形作られてきた要素を冒頭から指摘していたことに感動した」、また「実際にいとうのいぢさんは、作品を読んで、それに着想を得てカバー絵を決めている。そこまで着目していたのが、読みとして実に鋭い」と評価していました。

    書籍の表紙にまで言及したのは、4組のうちワセダミステリクラブのみ。“外枠までおいしい”というフレーズに、シリーズ全巻の表紙を振り返りたくなるプレゼンでした。

    >>【インタビュー】河北編集長・高橋編集長、課題図書の著者2人は「ミステリ・ビブリオ!」をどう見たか?



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