'); }else{ document.write(''); } //-->
女性の恋愛や性、親子のいびつな関係などを鮮やかに描き出し、そのたぐいまれな心理描写で知られる島本理生さん。5月に発売された最新小説『ファーストラヴ』は、「美人女子大生による父殺し」「しかし殺すほどの動機が見つからない」という謎に満ちた設定、そして第159回直木賞にノミネートされていることでも注目を集めています。
そんな島本さんの『夏の裁断』が文庫化され、7月10日(火)、文藝春秋より発売されました。表題作は「文學界」2015年6月号で発表され、第153回芥川賞にノミネートされた作品。同作は心理小説として高い評価を得ただけでなく、島本さんが7月に「純文誌からの卒業」「エンターテイメント作家への移行」を自身のTwitterで宣言したことで、“最後の芥川賞候補作となるのではないか”と話題になりました。
『夏の裁断』は、悪魔のような男性編集者に翻弄され、心に破綻をきたした女性作家の煩悶と再生を描く物語です。
幼少期の性的虐待により心に傷をもつ千紘。彼女は、担当編集者である柴田とのあるトラブルをきっかけに、夏の間、亡き祖父の鎌倉の家で過ごすことになります。そこで、母に頼まれ、祖父の蔵書を裁断して電子化する「自炊」を始める千紘ですが……。物語は千紘の過去と現在を行き来しながら、彼女の変化していく様子を描写していきます。
文庫化にあたり、表題作に、その後の物語である「秋の通り雨」「冬の沈黙」「春の結論」の3編を書き下ろしで収録。四季それぞれに現れる男たちとの交流を通し、解放されていく千紘の姿が描かれていきます。
「本編と続編では空気感がすこしずつ異なるという、不思議な一冊になりました」と島本さん自らがコメントしている本作。『夏の裁断』をすでに読んでいる方も、春夏秋冬の物語が揃った本作を、ぜひ新たな気持ちで手に取ってみてはいかがでしょうか。
書影が出てたので、告知です。https://t.co/jNnSX0Toew
7月10日に発売予定の『夏の裁断』(文春文庫)ですが、本編に続編の短編×3本追加してます。
同じ主人公なのに、本編と続編では空気感が少しずつ異なるという、不思議な一冊になりました。
奇妙な新しい恋と、ゆっくり変わっていく世界と。— 島本理生 (@rio_shimamoto) 2018年6月29日
・美人女子大生による父殺し。その鍵は“初恋”に?『ナラタージュ』の島本理生が描く家族小説の新境地『ファーストラヴ』
・ 「ナラタージュ」という形に込めた、つらくても美しい、一生に一度の恋――島本理生インタビュー【前編】