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父親の仕事が、悪役レスラーだった。そんな衝撃の事実を知ったら、あなたはどうしますか?
9月21日(金)に公開の映画「パパはわるものチャンピオン」は、父親の仕事が悪役レスラー「ゴキブリマスク」だと知ってショックを受けた息子の葛藤と、家族のため悪役レスラーとして闘う父親の姿が描かれています。
原作は板橋雅弘さん・作、吉田尚令さん・絵による幼児向け絵本“パパわる”シリーズ。映画では新日本プロレス所属のプロレスラー・棚橋弘至さんが悪役レスラーでもある父親役を務め、母親役で木村佳乃さん、息子役で寺田心さんが出演します。
プロレス界で「100年に一人の逸材」「エース」と呼ばれ、デビュー以来、ほぼ一貫してベビーフェイス(リング上での「善玉」のこと)の棚橋さん。
今回は、本作品で悪役レスラーの父親・大村孝志役を演じた棚橋さんに、“パパわる”を通して感じたことについてお伺いしました!
棚橋弘至(たなはし・ひろし)
1976年11月13日生まれ、岐阜県出身。1999年立命館大学を卒業後、新日本プロレスに入門。挫折を繰り返しながらも、業績が低迷していた新日本プロレスをV字回復させた立役者の一人。著作に『全力で生きる技術』(飛鳥新社)、『史上最強のメンタル・タフネス』(PHP研究所)などがある。
――9月21日公開の映画「パパはわるものチャンピオン」の原作絵本2作(第1弾『パパのしごとはわるものです』、第2弾『パパはわるものチャンピオン』)では、棚橋さんがベビーフェイスのドラゴンジョージ選手のモデルになっていました。まず、原作絵本を読まれた時にどのような感想を持たれましたか?
嬉しかったですね。明らかに棚橋がドラゴンジョージのモデルになっているんだな、というのが一目でわかったので。ポーズといい、髪型といい。
▼原作絵本の「ドラゴンジョージ」(左)と「ゴキブリマスク」(右)
――棚橋さんは所属団体の新日本プロレスでは一貫して本隊に所属されていて、グッドハート(良い心を持っているという意味)でベビーフェイスのままトップを獲られたレスラーだと思っています。その棚橋選手に「ドラゴンジョージではなくヒールレスラーのゴキブリマスクを演じて下さい」というオファーとなりました。オファー内容を知られた時、どう思われましたか?
てっきりドラゴンジョージだと思っていたので、ゴキブリマスク役って聞いたときは、びっくりしましたね(笑)。
でも、2011年と2014年当時は、たしかに棚橋はチャンピオンだったんですが、2018年になって、世代交代が進んで、オカダや、内藤とかが出てきて、僕も怪我があったりとかするんです。その状況と、今回の主人公・大村孝志が、かつてエースだったにもかかわらず今は怪我によってヒールになっているという設定に、すごくシンクロしたんですよね。だから、大村孝志という器に、棚橋弘至がスポッと入ったんです。
まさに、2018年版で絵本が出るとしたら、今の自分はゴキブリマスクなんだろうな、という気がします。そういう状況もあって、何の抵抗もなく役にはスッと入れました。
――私も試写を拝見しましたが、なるほど、ずっとベビーフェイスだった棚橋選手が、ヒール役にすごく自然体で入られたのはそういうことだったのですね。私は演じられているうちにどこかで「逸材感」が漏れ出てしまうのではないかと思っていたのですが、そんなことはなくて驚きました。
逸材感を封じ込めました。僕は何もしないとキラキラし始めてしまうので(笑)。
▼寺田心さん演じる息子とのシーンでは、父親としての素顔も垣間見えます
――棚橋選手は2人のお子さんの父親でもいらっしゃいます。お子さんが棚橋選手の仕事を理解したのはいつごろでしたか?
子どもたちが生まれた時から僕はプロレスラーですからね。でも会場に観に行くようになったのは、3~4歳の時ですね。
――その時に、リングに上がっているお父さんの姿を会場で観ていたんですね。観戦後にお子さんがお父さんの仕事について、何か言ったりとかはありましたか?
ないですね。「パパがんばって」とは言われますが、プロレスについて何かを言うということはなかったです。
――映画で寺田心さんが演じる「大村祥太(孝志の子)」とは違い、そういうリアクションだったんですね。そんな中、物語の大きな柱として「理解されない父親」というテーマがあると思うのですが、映画の中の演技とはいえそれを経験されて、何か感じるものはありましたか。
そうですね、この映画の中では父親が一生懸命働いている「ゴキブリマスク」というものが、子どもにとっては「なんでこんなことまでしてやるんだ」という捉え方しかできないようなものでした。でも結果的にこの映画では、なぜ父親がゴキブリマスクをかぶって、悪役を演じながらもプロレスを続けているのかという答えが見えます。
「子どもと父親」との関係性の中でも理解できないことがある。でもそうした理解できないシチュエーションっていうのはきっと夫婦間でもあるし、友達間でもありますよね。そうしたわかりあえない苦しさは皆がどこかに抱えていると思うんです。
だけどこの映画を観ると、わかりあえたときに、主題歌でもある「ありがとう」と思えるような、いいヒントが隠れていると思います。
――新日本プロレスの冬の時代の時に、プロレスは面白い、プロレスは凄いということを一番アピールされていたご自身が、フラッシュバックするようなこともありましたか? それで客席がいっぱいになって、時間がかかったけど理解された、みたいな思いが。
そうですね、劇中に、「大人になっても好きなこと続けるってすごいことなんだよ」っていう木村佳乃さんの台詞があるんですけれど、プロレスを観てほしいな、という思いの延長線でずっとプロモーションをやってきて、一人ずつお客さんが戻ってきてくれた、という感謝には通じます。
――ちなみにもう、棚橋選手のお子さんたちは映画は観られたんですか?
観てないです。公開したら一緒に観に行こうかなと。主演俳優つき、副音声つきで(笑)。
▼息子とどう向き合うか、父親としての葛藤が描かれています
▼インタビュー後編はこちら
・観ると、子どもの親を見る目が変わる――映画「パパはわるものチャンピオン」主演のプロレスラー・棚橋さんインタビュー【後編】
出演:棚橋弘至、木村佳乃、寺田心、仲里依紗、オカダ・カズチカ、田口隆祐、大泉洋(特別出演)、大谷亮平、寺脇康文 ほか
監督・脚本:藤村享平
原作:板橋雅弘・作、吉田尚令・絵『パパのしごとはわるものです』『パパはわるものチャンピオン』(岩崎書店)
配給:ショウゲート
©2018「パパはわるものチャンピオン」製作委員会
▼映画のノベライズも発売中!