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ノルウェー発の世界的ベストセラー小説『蜜蜂』が、6月28日(木)に発売されました。
舞台は自然破壊により蜜蜂が絶滅し、人類までもが滅亡の危機にさらされている2098年の中国。そこに19世紀のイギリス、現代のアメリカで蜜蜂に関わりながら生きる家族のストーリーが絡み合い、壮大な物語が展開されます。
著者は、これまで児童向けの作品を中心に手掛けてきたマヤ・ルンデさん。本書は大人向けとしては初めての作品でありながら、ドイツを中心に世界で旋風を巻き起こしています。そんなルンデさんが、作家として、また母として本作に込めた思いについて、編集を担当したNHK出版編集部の加納展子さんに文章を寄せていただきました。
「もし蜜蜂が姿を消したら、世界はどうなる?」
こんな設定で物語は始まります。2098年、蜜蜂が絶滅した後の世界。人々は人工授粉で農作物を育てているけれど、食料生産量は激減し、人類は滅亡寸前だった――。
これは決して荒唐無稽な未来像ではありません。なぜなら蜜蜂は多くの農作物の受粉を媒介していて、人間は蜜蜂なくして存続できませんが、20世紀末頃から蜜蜂の大量死が現実に世界各地で起きているからです。そういう意味で本書は、予言的な小説と言えるでしょう。
小説は未来から始まりますが、あるとき子供が姿を消す事件が起き、その謎を解く手がかりとして過去と現代の物語が展開します。それぞれにトラブルを抱え、もがきながら生きる親子が登場する家族再生の物語でもあり、消えた子供と消えた蜜蜂の謎を追うミステリーでもあります。さらに、過去・現代・未来の物語が一つにつながり、思わぬ結論がみちびかれる衝撃のラストは圧巻です。
原書は2015年にノルウェーで刊行されましたが、たちまち話題を呼び、すでに33か国で刊行が決まっているという世界的な注目作です。とりわけドイツでは爆発的なヒットとなり、2017年の年間総合No.1ベストセラーに輝いています!(現在でも64週連続でベストセラーリスト入りし、記録を更新中だそうです)
著者は3人の子を持つ母でもあり、ひとつには普遍的なテーマである親子の問題を描きたかったそうです。そして子供たちの未来を左右する、地球環境や生態系の問題も著者の中で重要なテーマだったとのこと。小さな蜂、そしてちっぽけな人間ひとりひとりが、社会や地球の構成員として欠かせないばかりか、時に大きな力を持ちうる――そんな心揺さぶるメッセージが込められているように感じています。
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NHK出版 編集部 加納展子
2098年の世界では、環境破壊が進んで蜜蜂が絶滅。受粉ができずに農作物の生産が激減し、人類は滅亡寸前だった。管理社会化した中国で人工授粉をして細々と暮らすタオは、ある日、幼い息子とピクニックに行くが、息子が突然気絶してしまう──。その謎の病には、実は過去に地球で起きた出来事が深く関わっていた──。
1852年のイギリス、2007年のアメリカ、2098年の中国を舞台に、蜜蜂に関わる3つの家族の物語が繰り広げられる。それらはどうつながっていて、どんな運命を導いていくのか?〈NHK出版『蜜蜂』より〉