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仕事をあっさり投げ出す「アサリ」や、うっかり者の「ワスレ貝」……どこにでもいそうなダメ社員を貝にたとえて描くアニメ『貝社員』が、なんと小説になりました!
タイトルは『貝社員 浅利軍平』。ノベライズを手がけたのは、“劇中小説”としても話題になった『22年目の告白―私が殺人犯です―』の著者・浜口倫太郎さんです。
おかしいけれどちょっとイラッとさせられるのがアニメ「貝社員」の特徴。しかし気になる小説の内容は、まさかの「涙を禁じ得ないリアルで熱いビジネス小説」なんだとか……!
今回はそんな本作について、編集を担当した講談社 文芸第二出版部の大久保さんに文章を寄せていただきました。
「おい、大久保。『カイシャイン』って知ってるか?」
会社のデスクで鼻毛を抜いていると、突然、部長に訊かれました。
「はあ、会社勤めの人ですか?」
「違うよ、アサリとかの『貝』の『貝社員』だよ。あれ、ノベライズしようぜ」
あまり多くを語らない部長に連れられ「貝社員」の生みの親である株式会社ディー・エル・イー様を訪問。快くノベライズの許可を頂きました。
「貝社員」はいわゆる「ゆるキャラ」で、テレビや、TOHOシネマズの幕間に流れるマナー映像でお馴染みです。私も「貝社員」のイラストを見てピンと来ました。あっさり仕事を投げ出す「アサリ」や「はいはい」と返事だけはいい「ハイ貝」など、どの会社にもいそうなダメ社員をキャラクター化したものです。
ノベライズは浜口倫太郎氏(累計20万部を超えた『22年目の告白 -私が殺人犯です-』の小説版の著者)にお願いしました。しかし、オリジナルの「貝社員」たちはあくまで「貝」なので、基本、硬い貝に挟まっていますし、勤めている会社もいったいどんな仕事をしているのか、よくわかりません。
「これでは小説にはできない!」ということで、浜口さんとまず業種を決めることにしました。「あえて厳しい業界に『貝社員』を突っ込んだら面白くなるのではないか」「せっかくだから業界の内幕がわかる『お仕事小説』的な面白さが欲しい」「私のようなダメ社員が勇気を持てるような話に」……。浜口氏は、厳しい営業で知られるビール業界の取材から始めてくれました。そして、気がつけば、リアルで熱いビジネス小説が完成していました。
原稿を一読して、涙が出ました。「ああ、『貝社員』で泣くなんて」とやや無念でもありました。イタズラ心から生まれたような小説ですが、とてもひたむきな小説です。ご一読いただければ幸いです。
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講談社 文芸第二出版部 大久保恭介