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「このマンガがすごい!2009オンナ編」で第1位を獲得、TVアニメ化でさらにファンを増やした漫画『坂道のアポロン』が実写映画化され、3月10日(土)に公開されます。
映画完成当初から「控えめに言って最高です!」と絶賛を送り、誰よりも「多くの人に映画を見てほしい」と熱っぽく語る原作者の小玉ユキさん。
今回は映画の見どころとともに、漫画『坂道のアポロン』の誕生エピソードについて伺いました。
小玉ユキ(こだま・ゆき)
9月26日長崎県生まれ。2000年デビュー。2007年~2012年に「月刊flowers」(小学館)にて連載した『坂道のアポロン』で第57回小学館漫画賞一般向け部門を受賞。ほかの作品に『月影ベイベ』などがある。現在も同誌にて活躍中で、2018年5月号(3月28日頃発売)より長崎・波佐見を舞台にした『青の花 器の森』の連載をスタートする。
――「控えめに言って最高」という小玉さんのご感想で、映画に対して期待が高まったファンは多かったのではないかと思います。それよりも前、実写映画化が決まった時の、率直なご感想はいかがでしたか?
映画坂道のアポロン初号試写見てきました。控えめに言って最高です。最高です。見てください。実写アポロンすごいです。
— 小玉ユキ 2/9単行本2冊同時発売 (@yukicdm) 2017年11月7日
実写映画化のお話自体は、けっこう前からいただいていたんです。確か、TVアニメの放送が終わった頃でしょうか……。そこから少しずつ、企画内容が決まっていった感じです。
――TVアニメが放送されたのは2012年の春クールですよね。ということは、4~5年ほど前ですか。
そうですね。その時はあまり現実味がなくて、「どうなんだろう、まだよくわからないな」「様子を見るしかないかな」という感じでした。アニメもすごくよかったので、まだその満足感でいっぱいだったんですよ(笑)。だから、その先の実写化というのがうまく想像できなかったんです。
なので、気持ちとしてはかなりフラット。嫌な気持ちはありませんでした。むしろ「アニメであれだけいいものができて、実写化されたらどうなるんだろう」という興味がありましたね。
――実感がわいてきたのは、いつ頃でしたか?
監督が決まって、キャストの皆さんが決まって、音楽の方が決まって、脚本を詰めて……というふうに少しずついろんなことが決まっていく過程で、だんだん「これはいいかもしれない」という気持ちが強くなっていきました。
テンションがわっと上がったのは、衣装合わせの写真を見せていただいた時です。「あの子たちがそのまま漫画から出てきた!」と衝撃を受けました。期待が確信に変わったのは、この時でしたね。
――『坂道のアポロン』は思い入れの強いファンが多い作品です。小玉さんご自身の思い入れも強いかと思いますが、実写映画化にあたって不安はありましたか?
不安というか……演奏シーンや方言、時代背景なんかもそうですが、『坂道のアポロン』はいわゆる“普通の恋愛少女漫画”とは異なる作品なので、「どうなるんだろう?」という気持ちはありました。でも制作過程で一つひとつ報告を受けるたびに、「えっ、こんなにやってくれてるの!?」と思うくらい、皆さんの愛をすごく感じたんです。
三木孝浩監督とお会いして最初から感じていたのは、「考え方が似ているな」ということでした。話していて違和感がないというか、『坂道のアポロン』をどういう映画にしたいか、それぞれのキャラクターがどんな人物かと話している時に、こちらが「あっ、そうじゃないんですよ」と説明する必要が一切なかったんです。それもあって、原作者としてとても信頼を置いていました。
――キャストの皆さんについてはいかがでしょう? 衣装合わせの写真を見た時の感想もお聞きしたいです。
最初にHey! Say! JUMPの知念侑李くんが主人公の薫を演じるって聞いた時は、「あんなにキラキラしたアイドルの方が、薫を?」と思いました。「輝きが隠せないんじゃないか」「ちょっと浮いた感じになってしまうんじゃないか」ってドキドキしていたんですが、写真を見ると、頭が良くて、ちょっとひねくれていて、人付き合いが苦手そうな、まさに“薫”の姿がそこにあって。「本当にこれが、あの某カレーのCMの……?」とびっくりしましたね(笑)。
中川大志くんに関しても、これまでに出演された作品から「線の細い、振り回される感じの男の子」というイメージを持っていたんです。でも衣装合わせを見て、ドン!と胸を張って立っている姿に「ああ、千太郎だ」と。薫と千太郎を見て、「もう心配することは何もない」とすら思いました(笑)。
――中川大志さんは、笑った時のいたずらっぽい表情もまさに千太郎でしたね。律子役の小松菜奈さんはいかがでしたか?
キャラクターとのイメージに一番ギャップがあったのが、小松菜奈ちゃんでした。
律子は素朴で、自分に自信がなくて、大人っぽい百合香に対しても気後れしてしまうような女の子です。一方で、菜奈ちゃんは都会的でクールなイメージ。ちょっと妖艶な役も演じてらっしゃったので、律子を演じるには美しすぎるんじゃないかって思っていました。
でもプロデューサーの八尾さんが、「この子なら大丈夫だ」ってすごく推してくださって。「そこまで言うなら」と思っていたんですけど、実際にやってみていただいたら、これも本当に“律子”そのものだったんです。内側に優しさとかわいらしさを持っている田舎娘。その魅力が、表情の一つひとつによく表れていました。
薫と千太郎を見つめる優しい視線や、あれこれ想像してうっとりしている姿……。特に文化祭のシーンで感激して涙ぐむところは、ぜひスクリーンで見ていただきたいです!
――実際に、撮影現場にも何度か行かれたそうですね。
薫が坂道をのぼる冒頭シーンの撮影を最初に見て、全部で4回見に行きました。高校生3人組(薫・千太郎・律子)が本当に仲良しで、楽しそうにおしゃべりしていたり、バドミントンをしていたり、リンボーダンスをしていたり(笑)。映画の撮影現場ってピリピリしているイメージがあったんですが、本当に“家族”という感じで温かかったです。
外見や演技を超えて、彼らが“薫たち”になっていることを感じた場面もありました。淳兄(桂木淳一/演:ディーン・フジオカ)の演奏シーンを個別に撮っている時に、薫と千太郎がカメラに映っていないのに真剣に、しかも楽しそうに楽器を演奏していたのは特に印象的でしたね。
あとこれは写真で見せていただいたんですが、ディーンさんが両手を構えて大志くんがそこにパンチしているオフショットがあって。「これはもはや、淳兄と千太郎そのものじゃないか!」ってびっくりしました。原作の漫画はもちろん、映画にもそんなシーンはないのにですよ。休憩中の一コマにさえ、キャラクターと俳優さんの境目がわからなくなる瞬間がありました。
――ディーン・フジオカさん演じる桂木淳一の“兄貴感”にはぐっときましたね。アニメで諏訪部順一さんが演じられた時もかなり色気が漂っていましたが、特にジャズバーで歌うシーンは、マイクを持った瞬間に空気が“淳兄”のものになっていました。
淳一は大学生という年齢設定なのでディーンさんはそれよりも年上なんですけど、1960年代あたりの大学生ってすごく大人なんですよね。逆にリアルな20代の方が演じると、それこそ“兄貴感”というか、説得力が全然違って物足りなかったんじゃないかと思います。
淳兄は、私の思う「かっこいい」を詰めて詰めて詰め込んだ理想の存在です。男前で喧嘩が強くて頭もよくて、音楽もできる。淳兄は、そんな普通の少女漫画にはいないような「男が憧れる男」にしたかったので、ディーンさんはぴったりでした。むしろそれを超えてきましたね。
――演奏シーンのお話が出ましたが、キャラクターもさることながら『坂道のアポロン』は音楽も重要です。なかでも大一番は、やはり文化祭の演奏シーンですよね。ご覧になっていかがでしたか?
文化祭は、本当に「最高」としか……。もう言葉が出てこないです(笑)。
原作がお好きな方、アニメが一番だという方、いろいろいらっしゃると思うのですが、原作者として皆さんに言いたいのは「とにかく見てみてほしい!」ということです。実際に見たなかでも、文化祭のシーンは本当に圧倒される映像になっていました。実際に皆さんが生で演奏しているので、迫力と躍動感が違います。おそらく誰の予想も超えていると思いますよ。
(※インタビューの続きは、2018年3月9日に公開予定です)
医師として病院に勤める西見 薫。忙しい毎日を送る薫のデスクには1枚の写真が飾られていた。笑顔で写る三人の高校生。10年前の夏、二度と戻らない、“特別なあの頃”の写真……あの夏、転校先の高校で、薫は誰もが恐れる不良、川渕 千太郎と、運命的な出会いを果たす。二人は音楽で繋がれ、荒っぽい千太郎に、不思議と薫は惹かれていく。ピアノとドラムでセッションし、千太郎の幼なじみの迎 律子と三人で過ごす日々。やがて薫は律子に恋心を抱くが、律子の想い人は千太郎だと知ってしまう。切ない三角関係ながら、二人で奏でる音楽はいつも最高だった。しかしそんな幸せな青春は長くは続かず――
知念侑李 中川大志 小松菜奈
真野恵里菜 / 山下容莉枝 松村北斗(SixTONES/ジャニーズJr.) 野間口徹
中村梅雀 ディーン・フジオカ
監督:三木孝浩
脚本:髙橋泉
原作:小玉ユキ「坂道のアポロン」(小学館「月刊flowers」FCα刊)
製作幹事:アスミック・エース、東宝
配給:東宝=アスミック・エース
制作プロダクション:アスミック・エース、C&Iエンタテインメント
2018年3月10日(土)全国ロードショー
©2018 映画「坂道のアポロン」製作委員会 ©2008 小玉ユキ/小学館