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ここ2~3年の間に急速に存在感を増している「無料漫画アプリ」。代表的なものでは、「マンガボックス」(DeNA)、「comico」(NHN PlayArt)、「LINEマンガ」(LINE株式会社)、「少年ジャンプ+」(集英社)、「MangaONE」(小学館)などが挙げられます。最近電車の中でも、これらの無料漫画アプリで作品を読んでいる人をよく見かけるようになってきました。
「無料で読めちゃったら紙の漫画が買われなくなるんじゃないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。確かに、無料で読むことで満足して、紙の漫画を買わなくなる人もきっといるでしょう。しかし紙の漫画にとって、無料漫画アプリの存在が必ずしもマイナスに作用するとは限りません。むしろ大きなプラスの影響を与えるケースがあるのです!
紙の漫画へのプラス影響として分かりやすいのが、「無料漫画アプリで連載されているオリジナル作品が単行本になって発売される」というケースです。
代表例をいくつかご紹介します。まずは「comico」で連載されている『ReLIFE』です。
『ReLIFE』のコミック単行本(発行:アース・スター エンターテイメント/発売:泰文堂)は、第1巻発売直後から売行好調でした。重版を重ね、「全国書店員が選んだおすすめコミック2015」では第6位にランクインしています。
その後も『ReLIFE』の売上は伸び続け、第3巻発売時には累計発行部数が75万部を突破(第1巻~第3巻の合計)。8月には第4巻が発売され、これを合わせるとついに累計発行部数は100万部目前というところまできています。無料漫画アプリ発でありながら、単行本がミリオンに届くレベルの作品が生まれて来ているということです。
その他にも「comico」連載のオリジナル作品からは『ネト充のススメ』や『保留荘の奴ら』といった人気作が生まれています(単行本はともにKADOKAWAから発売)。9月12日には、「comico」で『ReLIFE』に次いで人気の高い『ももくり』が発売されます(発行:アース・スター エンターテイメント/発売:泰文堂)。
また、当サイトでご紹介した「上半期コミック第1巻売上ランキングBEST 50」で第3位にランクインしていた『恋と嘘』(講談社)も、「マンガボックス」で連載されているオリジナル作品です。
「マンガボックス」からも、『天空侵犯』『高遠少年の事件簿』などのオリジナル作品が単行本化され、人気を集めています(ともに講談社から発売)。
「少年ジャンプ+」では、ネットを中心に話題を呼び先日TVアニメ化が発表された『トンカツDJアゲ太郎』や、人気ホラー小説のコミカライズ『カラダ探し』の単行本がヒット。
また最近では、「LINEマンガ」から『かわれて候。』『微笑女Mitsu』『コドクゲーム CO-DOKU GAME』、「Webtoons」からは『少女・ザ・ワイルズ』『ノブレス』など、次々と単行本が発売されています(単行本はいずれも双葉社から発売)。
このように、無料漫画アプリは、オリジナル連載作品が単行本化されることで紙の漫画の売上に貢献しているのです。漫画雑誌の売上が苦戦している中、作品が生まれる新しい場として無料漫画アプリが機能していると言ってもよいでしょう。
普段無料漫画アプリを利用されない方は、「なんでタダで読めるのに単行本を買うのだろう?」と不思議に思うかもしれません。しかし多くの無料漫画アプリは、掲載後一定期間が経過すると過去のエピソードを読めなくなります。読み返したい場合は単行本を買うしかないということです。
ただし『ReLIFE』を連載している「comico」は、過去話も含め全話無料で読める状態にあるのに、あれだけ単行本が売れています。それはなぜでしょうか?
「comico」は、アプリ上では全てのコマが縦に並んでおり(4コママンガのようなコマ割りがずっと続くイメージです)縦スクロールで読む形式ですが、単行本になる際は、いわゆる通常の漫画のようなコマ割りになるよう加筆・修正が加えられます。単行本を買っているのは、「話は面白そうだけど、縦スクロールではなく慣れ親しんだコマ割りで読みたい」という層と、「縦スクロール漫画に違和感はないけれど、(ファングッズのように)モノとして所有したい」「アプリ版と紙版を見比べたい」というコアなファン層なのではないかと思われます。
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いかがでしたか?今回は、無料漫画アプリで連載されているオリジナル作品の単行本化についてお話ししました。
しかし、実は無料漫画アプリが紙の漫画にプラスの影響を与えるケースはもう一つあります。こちらは一般的にはあまり知られていないかもしれません。次回詳しく説明しますので、お楽しみに!