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清水富美加さん・飯豊まりえさんのダブル主演で実写映画化された『暗黒女子』で、一躍注目を集めた秋吉理香子さん。12月8日(金)に発売された『婚活中毒』は、恐怖あり、笑いあり、そしてラストのどんでん返しが鮮やかな「婚活」ミステリー。日本推理作家協会賞(短編部門)にノミネートされた「リケジョの婚活」を含む4編を収めた短編集です。
子どもの頃から大の本好きだった秋吉さんは、『暗黒女子』の連載後、作家活動と並行して、ずっと憧れていた“司書”として図書館で働いていたそうです。
その中で、新しい本との出会いや、懐かしい本との再会があったという秋吉さん。今回は特に印象深かった作品について、本への愛情がたっぷり詰まった読書日記を寄せていただきました。
運命の出会いはいのちがけだ――。この人となら―と思ったその時、あなたはもう騙されている! 『暗黒女子』著者が贈る、サプライズ満載の〈婚活〉ミステリー。
「理想の男」………崖っぷち女が紹介された運命の相手は連続殺人犯?
「婚活マニュアル」…街コンで出会った美女の暴走に戸惑うマニュアル男は…
「リケジョの婚活」…本命男を絶対に落とす〈婚活ツール〉の中身とは?
「代理婚活」………息子の見合いで相手の母親に恋心を抱いた父親は…〈実業之日本社公式サイト『婚活中毒』より〉
子供の頃から本が好きで好きで、いつも読んでいた。もう寝なさいと言われ電気を消されても豆電球をつけてこっそり読み、授業中も教科書で隠してずっと読んでいた(よい子はマネしちゃダメ)。
だから本に囲まれて仕事ができる司書にずっと憧れていた。私にとって図書館は、本がザクザクある宝の山。『暗黒女子』の連載が終わったタイミングで、大阪の市立図書館での非常勤司書の募集を見つけたので応募し、晴れて働けることになった。
しかしいざ始めてみると、司書の仕事は想像を絶する大変さだった。申し訳ないが、本の場所を聞かれたら館内用のPCで調べて「はい、〇番の棚にありますよ」とご案内すればいいだけ、という楽な仕事だと思い込んでいた(司書の方、本当にスミマセン)。しかし実際は、そもそも〇番の棚がどこにあるのかを覚えるのが大仕事。特に私の勤務先は巨大だったので、どの分野の本が何階のどのエリアにあるか、というざっくりとしたことを覚えるのにさえ1か月ほどかかった(いや……もっとかも)。毎回出勤時間より1時間早く行き、まだ真っ暗な図書館の中を歩き回り、場所を一生懸命覚えた。
と、まあそんな風に必死で業務をこなしていたのだが、やはり本に囲まれた職場は楽しく、新しい本との出会い、そして懐かしい本との再会があった。今回は、その中でも印象深かった作品をご紹介。
まずは新しく出会った本から。
『ミッケ!』は写真の中に隠されているものを探す絵本。ボタンやビーズ、ミニチュアなどが細かく配置されていて、脇に書いてある「xxはどこ?」という指示に沿って探していく。本当に美しく楽しい絵本で、早速息子用にも入手。心より感服したのが、糸井重里氏による訳。『ミッケ!』の原題は『Can You See What I See?』で、直訳すれば「私の見てるものがあなたにも見える?」なのだけど、それを「ミッケ!」とした氏のセンス! 子供にも親しめる日本語でありながら、ちょっぴり外国語風でもある。邦題含め、全てが素晴らしい絵本。
そして『かいけつゾロリ』シリーズ。絵も魅力的だし、ストーリーは大人でもワクワクする。息子もやっとひらがなを読めるようになってきたので、そろそろ買いそろえようと計画中。きっと夢中になるはず(私も!)。
この機会に再会することができたのは、村上春樹さんのエッセイ『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』。ご利用者さまに「村上春樹さんを一度読んでみたいんだけど、読み易いのはない?」と聞かれ、焦った末、昔読んでいたこの本を思い出しご紹介すると、大喜びで借りていってくださった。
現代の子供たちにも人気で嬉しかったのが『ズッコケ三人組』シリーズ。私も子供の頃、何度も読んだし、たくさんのことを学んだ。お子さまや保護者の方に「児童書のおすすめ」を聞かれた時には、迷わずこちらをご紹介。もちろん息子にも読んであげる予定。
ちなみに、もしも今でも司書をしていたら絶対にお勧めしたい本は『遺産ゲーム』(藤原一裕著)。著者は言わずと知れた人気お笑いコンビ・ライセンスのお一人。スピード感あふれる第一級のアクション・ミステリーで、読み終わった時は面白すぎて悔しくなったほど。「こういう書き方もあるのか」とハッとされられたこともあり、この作品と出会えたことは私にとって大きな収穫だった。
図書館で働き始めて数か月後に『暗黒女子』が発売。勤務の合間を縫って、東京まで雑誌の取材に出かけていた(非常勤なので兼業OK)。『放課後に死者は戻る』は司書をしながら書き上げ、ちょうどそのタイミングで退職となった。
憧れの図書館で働けたことは本当に素敵な経験で、今でも当時の職場の方々とは交流がある。本がつないでくれたご縁。やっぱり本が大好き!
秋吉理香子 Rikako Akiyoshi
兵庫県出身。早稲田大学第一文学部卒。ロヨラ・メリマウント大学院にて、映画・TV製作修士号取得。2008年、「雪の花」で第3回Yahoo!JAPAN文学賞を受賞。2009年、同作を含む短編集『雪の花』でデビュー。映画化もされた『暗黒女子』で話題を集める。他の著書に『聖母』『自殺予定日』『絶対正義』など。