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2014年に刊行された有川浩さんの『キャロリング』が文庫化、12月6日(水)に発売されました。
舞台化を前提に執筆された本作。原案は演劇集団キャラメルボックスの脚本・演出を担当している成井豊さんと共作し、役者全員と面談しながらキャラクターを作り上げていったそうです。舞台「キャロリング」は2012年に上演、2014年にはNHK BSプレミアムにて三浦貴大さん・優香さんのダブル主演でテレビドラマ化されました。
『キャロリング』の舞台は、クリスマスを目前にひかえた東京。人々が聖夜の予定を考えながら行き交う都会の、あるオフィスビルから物語は始まります。
クリスマスに倒産することが決まった子ども服メーカーに勤める、主人公・大和俊介。彼は同僚の柊子に、密かな思いを寄せていました。実は、柊子は俊介の元恋人。2人が別れてしまった背後には、俊介がかかえる家族問題がありました……。
俊介の勤める会社は学童保育も併設しており、こちらもクリスマスで閉鎖されることに。子どもたちが次々にほかの学童へ移っていくなか、小学6年生の田所航平だけは最後まで残ることになっていました。年明けから海外転勤になる母親についていくことが決まっていたためです。航平の両親は別居中で、このままだと離婚は確実。彼は、「両親の離婚を止めたい」と、俊介・柊子を頼ります……。
俊介と柊子が訪ねていった航平の父親は、横浜の接骨院で働いていました。その接骨院にお金を融資しているのは、あまりスジの良くない金融会社・赤木ファイナンス。その社長・赤木は、苛烈な取り立てで有名ながら人情家の一面もあり、使えない部下やホステスから引き上げた“わけあり”の女性・レイの面倒を見ていました……。
それぞれが独立した物語の主人公になりそうな、個性豊かな登場人物のドラマが交錯する『キャロリング』。会社の倒産、両親の離婚、家庭内暴力、浮気、借金など、深刻な問題を抱えた彼らに、幸せな聖夜は訪れるのでしょうか?
物語は緊迫感溢れる展開を交えながら、「家族とはなにか」「幸せとはなにか」という問いを読者に投げかけます。考えさせられる読後感ながら、ほっこりと優しい気持ちになれること請け合い。今、大切な人がいる方に、ぜひ手に取ってみてもらいたい一冊です。
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