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作家・クリエーターとして、活字、映像、音楽、舞台など、幅広いジャンルで活躍するいとうせいこうさん。
11月29日(水)に発売された『「国境なき医師団」を見に行く』は、そんな多忙を極めるいとうさんが、1年半にわたり、「国境なき医師団」に同行して取材したルポルタージュです。
自ら危険な地域へと足を運んだ作家は、何を見て、どのように感じ、それを伝えようとしたのでしょうか。私たちの知らない〈世界のリアル〉に触れる本書について、編集を担当した講談社・文芸第一出版部の見田葉子さんに文章を寄せていただきました。
生きることは難しい。けれど人間には仲間がいる。――大地震の傷跡が残るハイチで、中東・アフリカから難民が集まるギリシャの難民キャンプで、フィリピンのスラムで、南スーダンからの難民が100万人を超えたウガンダの国境地帯で。作家・いとうせいこうが「国境なき医師団」の活動に同行し、世界のリアルな現場を訪ねて描いた傑作ルポルタージュ。日本の小説家がとらえた「世界の今」と「人間の希望」とは?
「国境なき医師団」の活動に同行して、ルポを「Yahoo!」で連載する。かつて開高健がしたように、世界のリアルな現場に立って、自分なりの戦記文学を描きたい。――そんな話をいとうさんから聞いたのは、2016年の初めでした。偶々別件でお会いしていたのですが、それを聞いてすぐ、「連載後はぜひ、うちで御本にさせてください」と申し込みました。
本書は、作家として、クリエイターとして、超多忙ないとうせいこうさんが、1年半にわたり「国境なき医師団」の活動に同行して、世界各地を訪ねて描いたルポルタージュです。
「世界の現実」との向き合い方において、いとうさんは傑出した感度をもつ作家だと思います。繊細な人ほど身の回りの小さな世界で完結してしまう傾向がありますが、自分の視野の外側で、大きな困難を抱えて苦しんでいる人たちに、どこまで想像力を広げることができるか。他者へのリアルで繊細な想像力と、知らない世界へ恐れず踏み出す勇気をもつ作家だからこそ描き得た、感動的な傑作です。
大地震の傷跡が残るハイチで、子供たちの命を救う産科救急センター。中東・アフリカから難民が集まるギリシャの難民キャンプ。フィリピンのスラムで女性の性と生殖を守るプロジェクト。南スーダンからの難民が100万人を超えたウガンダ国境。――ジャーナリストではなく、援助の専門家でもない、等身大の視線で、作家は何を見て、何を聞き、何を感じたのか?
人間の「生」のリアルな手触りと、困難に立ち向かうスタッフの情熱が胸をうつ、〈希望へのルポルタージュ〉。ぜひ手に取ってみてください。
〉連載「いとうせいこう『国境なき医師団』を見に行く」はこちら
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文・講談社 文芸第一出版部 見田葉子